出会いのほとんどは職場だと言うけれど…「職場の不倫」バレたら何が起きる？体験者は語る

ジェクス　ジャパン・セックスサーベイ2020によれば、浮気・不倫経験があると答えた男性は67.9％、女性は46.3％。40代女性の32.9％が「特定の人物1人と（現在も）している」と答えています。婚外恋愛は、決して遠い対岸の火事ではありません。

では、過去に不倫を経験した人たちは、その後どんな人生を歩んでいるのでしょうか。

相手との関係や自身の生活の変化について、女性たちのリアルをお伝えします。

【不倫のその後#4】

職場で「不倫バレ」すると、どれだけ居づらいか

その日、由佳里に電話をした用件は来週末にある友人たちとの集まりのことだった。お酒を飲むつもりがなくクルマで行く予定で、ルートの途中に由佳里の家があるため乗せていこうかと提案するためだった。

 

「助かる、ありがとう！」

由佳里の明るい声を聞いてほっとしたが、「仕事が入ってないから早めに会ってちょっとおしゃべりしようよ」と続いたときに

「仕事はどう？　順調？」

と尋ねたらふっと空気が重くなったのを感じ、一瞬で後悔した。

 

「大丈夫よ、楽しくやってる」

落ち着いた口調だが硬い響きがこもるのは、職場は少し前まで由佳里にとって居心地のいい場所では決してなく、大変な思いをしていたからだ。最近話を聞いていなかったので忘れていたことを反省しながら、「よかった」と軽い感じで返した。

 

別の話題をと思っていたら、

「耐えた甲斐があったというか、みんな普通になってくれてね、前みたいな思いはしなくなったの」

と由佳里が続けた。状況が良くなっていっているのは以前教えてもらっていたが、由佳里自身がそう言えるのなら大丈夫だろうと思い、「「がんばったもんね」と息をついた。

 

「前はもう辞めちゃおうかって思ったけどね」と由佳里は笑いながら言うが、そのつらさを生んだのは自分である、という事実を彼女は忘れておらず、そして「この仕事が好き」と言い切ったときの強い語気を思い出した。

 

由佳里は、半年前まで勤務先の上司と不倫関係にあり、それに勘付いたほかの従業員たちから白い目で見られていた。

 

略奪しようとしたわけではない。ただちょっとだけ「魔が差した」不倫

由佳里は、年上の夫とふたりのお子さんと暮らしている。夫婦仲はいいほうで、戸建ての家に遊びに行ったときに愛想よく挨拶をしてくれる夫も見ていた。妻の友人をあたたかく迎える姿には夫の愛情を感じたが、由佳里の悩みは「何年もレス」であることで、それを話し合おうとしない話も聞いていたため、複雑な思いはあった。

 

そんな由佳里は、会社の上司と不倫に走った理由について「魔が差した」と暗い声で打ち明けた。クルマで20分ほどの距離にあるスーパーでパートとして働く彼女は、5年を超える勤務で職場ではベテランと言われており、その上司と仲がいいのも当然のことではあった。一線を超えたのは、上司を含めほかのパートの仲間たちと開いた飲み会で酔いつぶれてしまった流れからだった。

 

その上司については以前から「既婚同士だから話が合う」と由佳里は話していて、お互いの家庭についてもよく話題にし、何かの折に「レスは仕方ない」のような話をしたこともあったという。そんな距離感からホテルで抱き合うような関係に発展したのは、由佳里のなかで欲求不満がくすぶっていたからかもしれない、と当時は感じていた。

 

酔いを冷ますためにホテルに入るなんて、第三者から見れば「それ」が目的としか思えない。提案したのはどちらだったか由佳里は言わなかったが、問題はその一晩の後からふたりの仲が急速に親密度を増していったことだった。職場であるスーパーでもあえて用事を作ってはふたりで会話する機会を増やしていることは、由佳里からの報告で知っていた。

 

「見られちゃったの」

と暗い声で由佳里が話したのは、業者が出入りする駐車スペースの片隅で顔を寄せ合って話しているところをほかのパートの女性に目撃されたことで、次の日から「あのふたりはおかしい」と噂が流れたのだった。

 

うっかりとはいえ、確かに不倫だから、自業自得ではあるけれど

由佳里にとってまずかったのは、この噂が店長の耳まで届いたことだった。1年ほど前に配属されてきたこの店長と品出しのやり方で揉めたことがあった由佳里は、「ここぞとばかりに嫌味を言われた」と憤慨した様子で話していた。だが、実際に不倫をしており「不適切な距離感」で上司と接していたことは事実で、そんな事態もいわば自業自得だと感じざるをえなかった。

 

その上司は噂が流れはじめて早々に関係から手を引き、由佳里に「連絡をとるのも会うのもやめよう」と言い渡していた。手のひらを返すような対応にその頃の由佳里は傷ついていたが、自分も既婚で守るべき家庭がある身なら、追いすがることはできなかった。

 

「私が悪いのはわかっているの」

と、ほかのパートの女性たちから無視される自分について由佳里は口にした。業務は問題なく進めるが「お局さまになると不倫も平気なのね」と陰で言い合う仲間には、「何もないの」と弁明するしかなかったという。ふたりで息がかかるほど近い距離で話していた姿以外にも「よくくっついているのを見ていた」と“目撃情報“は出てきていた。あれこれと嫌味を言ってくる店長や仲間たちに、適当な言い逃れが通用しないのは彼女自身もわかっていた。

 

だから「黙って耐えるしかない」と由佳里は言った。パートの仲間たちと同様に自分とは目も合わせようとしない「元不倫相手」の上司との関係にも心は病んだが、あの頃の由佳里は味方のいない職場でひとりで嵐が去るのを待っていたのだった。

 

つづき＞＞してしまった不倫を後悔しても得るものがない。ただ自分の選択に胸を張るしかない

 

≪恋愛相談家 ひろたかおりさんの他の記事をチェック！≫