平安時代の貴族、「愛をコクるとき」にはどうしていた?意外なキューピッド役とは【大河ドラマ『光る君へ』#9】
OTONA SALONE / 2024年3月4日 20時1分
*TOP画像/まひろ(吉高由里子)と藤原道長(柄本佑) 大河ドラマ「光る君へ」9回(3月3日放送)より(C)NHK
大河ドラマ『光る君へ』では、毎熊克哉さんが演じる直秀が道長(柄本佑)とまひろ(吉高由里子)の“恋のキューピット”のような存在であるとSNSを中心に話題になっています。
平安時代には男女の恋仲を取り持つ直秀のような存在はいたのでしょうか。
「家のための結婚」が主流の時代だが…恋愛結婚の「惹かれ合う男女」も実際にいた!
平安時代における結婚は現代における結婚とは考え方や目的が大きく異なります。当時は個人の恋愛感情ではなく、家のために結婚するのが一般的でした。男性は結婚相手に対して実家の経済力を重視しており、いわゆる逆玉婚を目指していました。貴族が出世するには主君への献上が必要となるため、その後盾を妻に求めたのです。当時の貴族の女性にとって美貌や和歌などの芸事と同じくらい、父親の位の高さが重要でした。
特に、天皇にも近い上級以上の貴族の女性については、結婚における本人の意思決定権は皆無に等しいと言えます。娘には天皇に入内し、天皇との間に子を授かり、父の地位を高めるという役割があったためです。『光る君へ』において吉田洋さんが演じる藤原詮子はまさにそうした女性。
また、天皇は自分好みの女性を傍に置いていたというわけではありません。天皇は入内した女性を彼女たちの父親の地位にしたがって扱わなければならず、個人的な恋愛感情のみで性行為をしたり、優遇したりしていたわけではありません。当時の天皇はワガママも寛容に受け入れてもらえる傾向にあったため、自分好みの女性ばかりを傍に置いておくという選択もできたはず。しかし、このようなことをしていたら、一族の秩序は瞬く間に崩壊し、ライバルに地位を奪われるでしょう。
とはいえ、人間は時代を問わず異性にときめく生き物です。平安時代の人たちも恋愛に関心を抱いており、好みの異性像がそれぞれにありました。『源氏物語』の「雨夜の品定め」は男たちが理想の女性像について語り合う有名なシーンです。また、中宮定子に仕える女房が『うつひ物語』に登場する涼と仲忠のどちらがよい男か議論していたと伝えられているように、女性たちも女子トークに花を咲かせていました。
貴族たちが好みの異性の話で盛り上がっていたというエピソードには、現代の私たちがアイドルグループの好きなメンバーについて語り合う姿や、クラスのイケメンツートップのどちらがタイプか話し合う姿と重ねてしまいますよね。
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貴族たちの恋のキューピットは「女房」!?
自由恋愛による結婚は難しい時代であったものの、当時においても貴族が恋心を抱く相手にアプローチを行う試みは多々ありました。男性から女性にアタックするのが一般的であり、男性は好意を抱く女性に女房をとおして文(ラブレター)を送り、関係を育んでいきました。
女房はお仕えする娘の教育や身のまわりの世話だけでなく、性愛の成就にも貢献していたのです。当時、男女の性愛を実現するには男が女の寝所に入るしか方法がなかったのでしょう。女性は生理になると里屋敷に下ったため、男性は愛すべき女性のもとに女房に協力してもらって入り込みました。
女房にとって二人をひそかに導くという行為にはリスクがあります。男性は恋心を抱く女性に会うために、女房に根気強く頼むことも珍しくなかったと言われています。また、女房の多くがお仕えする娘を心から尊敬し、かわいがっていたため、お力になりたいという母性的な思いもあったようです。
現代の私たちは恋する相手とスマホ1つあれば連絡をリアルタイムで取り合えます。それゆえに、恋人からの連絡であってもうとましく感じたり、粗雑なやりとりになったりすることも珍しくありません。
一方、平安時代における貴族のカップルは人づてに届く手紙が主なコミュニケーションのツールでした。手紙が思うように届かないことや相手に気持ちを伝える機会が得られない時期もあったはずです。相手に思いを届けられる機会は貴重であるからこそ、手紙の内容をじっくりと考えていました。また、自分の気持ちと草花や季節の移ろいに重ねながら向き合っていました。
参考資料
・木村朗子 「紫式部と男たち」
≪アメリカ文学研究/ライター 西田梨紗さんの他の記事をチェック!≫
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