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上司への「枕営業」で勝ち組になった40才。そんな彼女が辿った末路は…【エリート銀行員たちの不倫事情】後編

OTONA SALONE / 2024年3月10日 19時1分

メガバンクで働く、あずささん(仮名・40歳)。丸の内本部の融資部で上席調査役をしていますが、息子の学校トラブルで仕事を休みがちになり、出世が危うくなっています。そんな中、かつて三田会で懇意にしてもらっていた、人事部の副部長である賢一さん(仮名・45歳)と飲みに行き、一次会で解散かと思いきや……

激動の後編をご紹介します。


賢一さんは『駅まで送るよ。一緒に歩こう』と言いました。店を出て、二人で駅に向かって並んで歩いていると、彼は声を小さくして聞いてきました。『で、人事異動の話だろ?』と。

驚く梓さんに、彼は続けました。『カウンターの席にしたのは、周りから怪しまれないためだよ。シェフが証人になってくれるしね。個室にすると、噂が立った時に面倒だ。東京は意外と狭い街だからね』と。

 

東京に本社があるメガバンクの人事部副部長となれば、周囲の目を気にする必要があります。彼女は感心すると同時に、自分の行動のうかつさを恥じました。

『近くに家を買ったんだ。この辺りはあんまり物件が出ないんだけど、最近見かけてね』と彼は続けます。

『ローンを組んだら銀行にばれるんじゃないの?』と梓さんが聞くと『全部キャッシュで買ったよ』と彼は微笑みました。全て手に入れた男が見せる特有の、余裕のある笑みでした。

 

辺りに人がいないことを確認して、彼はタクシーを拾うために手を上げました。そして、タクシーを降りた場所は、都心の高級住宅街らしく、感じの良い一軒家でした。それほど広くはありませんが、シンプルな装飾と上質な家具で、心地い良い空間が広がっています。

 

リビングのソファに座ると、賢一さんがジンソーダを作って持って来てくれました。彼は『A支店の法人第一課、B社の稟議をよく見ると良い』と言います。『B社は本当はラブホテルなのに、ビジネスホテルだと偽って融資をしてもらってる。それを見破れば、融資部内で梓さんの評価が上がるだろう』と。

 

ちょうど良いわ、と彼女は思いました。A支店の法人第一課では、梓さんの嫌っている女性が課長を務めていたのです。早稲田を出て、明るく誰からも好かれる同期です。彼女は早々に行内結婚し、息子は二人とも早稲田中学に入学していました。

 

梓さんの心の内を知ってか知らずか、賢一さんは続けます。『次に次長へ上がるのは、彼女か梓さんか、どちらかと言われている。彼女が結果を出さなければ、君が上がるよ』と。

それで梓さんの心は決まったようなものでした。

 

そして二人は近づき… 次ページ


二人は乾杯をしました。『梓さんの、輝かしい未来に。乾杯』と賢一さんは言い、一口飲んでからダイニングテーブルにグラスを置きました。彼の目は、梓さんもグラスを置くように指示しているかのようです。それが合図のようなものでした。

 

寝室に行くのももどかしく、二人はそのままソファの上で求め合いました。手慣れた指の動きがたまらず、梓さんはすぐに達してしまいました。そして引き締まった部長の肉体が重なってきたのです。

 

衝撃の結末。全て手に入れたはずの彼女の末路は?

翌週、梓さんは融資部のデスクで、賢一さんに教えてもらったB社の稟議を否認しました。するとライバルの女性課長からすぐに電話がかかってきました。

『ねえ、お願い』と彼女は言います。『これに表彰がかかってるの。うちは二人とも私立中学に行ってて、まだまだこれからお金がかかるの。だから……』

 

梓さんは全て聞き終わる前に、言い放ちました。『私情は知りません。銀行は株主のものです。B社の実態把握をきちんとするまで、承認しませんから』と。

梓さんが電話を切ると、拍手が起こりました。融資部のメンバーたちです。他にも賢一さんから行為の後に教えてもらったC社の不良在庫、D社の経営者のコンプライアンス違反など、次々と稟議を否認していきました。梓さんの融資部内の評判は、A支店の女性課長と反対にうなぎ登りでした。

 

ある日、ライバルの女性課長が地方店へ左遷されたと耳にしました。「ざまあみろ」と梓さんは心の中で微笑みます。その日の夜、梓さんは賢一さんに飲みに誘われました。

 

思い上がった彼女の末路は 次ページ

代官山のいつもの店で、『数日後、君の人事異動があるよ』と彼は言います。『ある店の次長だ。おめでとう』と。梓さんは嬉しくてたまりませんでした。同期では一番の出世です。その日も賢一さんの隠れ家に行き、今度は寝室でたっぷりと楽しみました。

 

しかし数日後、梓さんは辞令を聞いて耳を疑いました。彼女の配属される店は、あのA支店だったのです。

融資部での数々の指摘事項が認められ、「じゃあ実際に彼女を配属させればどうか」という声が各方面からあったとのこと。本部でのキャリアを積んできた梓さんにとって、畑違いの営業店です。しかもA支店には彼女がつけた「要報告」稟議が多々あります。

 

前途多難。暗澹とした気持ちを抱えてデスクに座り、パソコンを開くと、一通のメールが届いていました。

それはライバルの女性課長からで「お手並み、拝見」とだけ書かれていました。

 

 

 

 

≪作家・ライター 綾部まとさんの他の記事をチェック!≫

 

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