まさか自分が【更年期うつ】だなんて。約4割の女性が経験する「抑うつ症状」の実態
OTONA SALONE / 2024年3月6日 21時0分
「最近、気分が落ち込みがち」「やる気がなく何もしたくない」などの悩みはありませんか?
日本の女性は一般的に50歳頃に閉経を迎えるといわれてきましたが、昨今の研究では平均値は52歳であるとされ、閉経前後の5年間が更年期と定義されています。
更年期には心やからだのさまざまな不調に悩む女性が多いようです。
更年期女性のお悩みのひとつに、憂うつ感や気分の落ち込みが続くうつ症状があります。
今回は、更年期うつの対策法について「あんしん漢方」の薬剤師、清水みゆきさんに教えてもらいました。
人と会うのがしんどい、家から出たくない
恵子さん(49歳)は最近なんだか調子が悪いと悩んでいました。
「最初におかしいと感じたのは、友人とランチの約束をしていたのに、どうしても行く気持ちになれなかったときでした」
高校時代からずっと仲良しの親友2人と3か月に1度ランチ会をしている恵子さん。
「いつも楽しみにしていたのに、その日は朝起きて化粧をする気にもなれず、なんだかしんどくて家から出たくなくて……」
結局、ランチ会はドタキャンしてしまったそう。
「49年の人生、そんな日もあるかと思っていましたが、その頃から、朝は起きれないし、からだが重く感じて調子が悪くなってきたんです」
ついには仕事も休みがちになってしまいました。
「ダメな私」を責め続けていたが……
だんだんと家にこもりがちになる恵子さん。
「からだが重くてだるいし、無気力で、何に対しても意欲がわかないんです。なんとか家事だけはこなしていますが……」
欠勤が増えたため仕事の出勤日を減らしてもらった恵子さんですが、職場に迷惑をかけた罪悪感が増すばかり。
「ダメな自分が本当に嫌で……『私はただ怠けているだけ』『夫や娘はちゃんと会社や学校に行っているのにうしろめたい』とネガティブ思考になって落ち込んでしまいます」
そんなある日、ご主人と娘さんの会話が聞こえてきたそうです。
「正直、お母さんと一緒にいると気分が落ち込む」
「いつも気を遣うのも疲れるよなぁ」
はっとした恵子さん。
「家族のためにも、この異変にきちんと向き合わないといけないわ」
閉経前後の女性に多い「更年期うつ」
閉経前後の更年期は、憂うつ感や不安感、意欲の低下などの精神症状が生じやすい時期です。
その原因は、更年期の女性ホルモンの急激な減少により、自律神経や幸せホルモンとよばれるセロトニンのバランスが乱れるためと考えられています。
さらに、更年期は、子どもの独立や親の介護、キャリアの変化など生活の転換期でもあり、このような外的な変化がストレスとなって精神症状を悪化させることもあります。
1. 更年期うつと、通常のうつの見分け方
更年期うつと通常のうつ病は症状が似ているため見分けるのが難しいことがあります。
見分けるポイントは、「からだの症状の有無」と「やる気の割合」「年齢」です。
更年期うつでは、精神的な症状だけでなく、ホットフラッシュやめまい、動悸などからだにも症状があらわれます。
やる気については、「なんとなくやる気が出ない」という状態で完全に意欲が失われるわけではありません。
また、更年期うつは閉経前後の45〜55歳の女性に多いとされています。
一方、通常のうつ病では、主に気分の落ち込みや無気力などの精神的な症状があらわれ、やる気や意欲がほとんどない状態となります。
2. 2週間以上続く場合は受診しましょう
更年期うつは、適切な治療を受けることで症状の改善が期待できます。
・憂うつ感や気分の落ち込みが続く
・ホットフラッシュやめまいなどのからだの不調もある
このような症状が2週間以上改善しない場合は、病院を受診するといいでしょう。
更年期うつの可能性がある場合は、まず婦人科を受診してください。婦人科では、専門家による診察や血液検査などにより更年期障害の治療をしています。
具体的には、女性ホルモンの減少を薬で補うホルモン補充療法や向精神薬、漢方薬といった薬物治療やカウンセリングなどの治療法があります。
日常生活に大きな支障が出る前に必要な治療を始めましょう。
【前編】では、恵子さんに突然あらわれた更年期うつの症状。一般的なうつとの違いや見分け方、受診の目安についてお伝えしました。
▶【後編】では、更年期うつの症状におすすめの漢方薬とその選び方についてお伝えします。__▶▶▶▶▶
<この記事を書いた人>
あんしん漢方薬剤師 清水みゆき
漢方薬・生薬認定薬剤師、JAMHA認定ハーバルセラピスト。製薬企業の研究所員を経て、漢方調剤薬局に8年間勤務。漢方薬の服薬指導、食事や養生法での健康づくりのサポート、ハーブティーやアロマの相談販売に従事。 現在も漢方調剤薬局で薬剤師として在勤しながら「ママのためのやさしい漢方」のサイト運営や漢方やハーブの通信講座やセミナー講師としても活動中。 症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でもサポートを行っている。
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