絵に描いたような「幸福な家庭」から、彼女が逃げ出した理由とは
OTONA SALONE / 2024年3月31日 12時0分
「毒親」「ネグレクト(育児放棄)」など、子ども時代に親との関係に問題があると、他者との関係の構築に苦労します。そうした人が家庭を持ったとき、義両親との関係はうまく行くのでしょうか?
複雑な家庭に育った女性が結婚した相手の家は「絵に描いたように幸せな家族」でした。彼女がたった3年で離婚した理由とは?
【仕事と結婚 ♯3 前編】
鏡の中の自分だけが友だち
東京都在住の真奈さん(仮名・54歳/会社経営)は、家族で食事をした記憶がほとんどないといいます。両親の婚姻関係は続いていたにもかかわらず、父は家に帰って来なくなり、母は仕事でほとんど家にいませんでした。
「母は兄とわたしを育てるために働き始めたのですが、働くことが合っていたようで、バリバリ働いて出世したんです。今思えば母は仕事が好きで、『仕事をしたい人』だったのだと思います。学校に上がると同時に、わたしは母の代わりに主婦であることを求められるようになりました」
母がランドセルと一緒に買ってくれたのはなんと包丁。「これからはあなたがご飯を作るのよ」こうして真奈さんは小1から自分と兄の分の食事を作るようになりました。
頼りになるはずの3つ上の兄は「引きこもり」で、自分の部屋から出て来ません。朝も夜も兄の部屋の前に食事を置き、数時間後に空になった食器を洗うだけ。食べるのはいつも一人ぼっちでした。
いつしか目の前に鏡を置き、鏡の中の自分に話しかけながら食事をするようになったという真奈さん。
会話のない家庭で育った真奈さんは、学校でもほとんど口を利かない子どもだったといいます。そんな真奈さんが「人見知り」を克服したのは、就職して美容系企業の広報担当になったことでした。
家庭か仕事か? 二択の末に
「一般的な『家族の団らん』を味わったことがない」と話す真奈さん。そのような人は、強烈に家庭を持つことに憧れる人と、逆に家庭を拒絶する人に分かれるといいます。真奈さんはどちらかというと後者で、20代の頃はまったく結婚願望がなかったそうです。5歳年上の彼(元夫)のことは好きでしたが、結婚となると今ひとつピンときませんでした。
彼も真奈さんも仕事が忙しく、ゆっくりデートができるのは月に一度あるかどうか。そんな中、彼は転勤で地元である東京へ戻ることが決まります。「結婚してついてきてほしい」とプロポーズ。
会社に転勤できないかと打診しますが、現在東京にポストの空きがないため難しいと返答。真奈さんは、恋か仕事かの二択を迫られることとなりました。
悩んだ結果、真奈さんは仕事を辞めて彼と結婚することを決意。決め手となったのは、東京で新生活をはじめられることでした。
真奈さんは生まれ育った街にそれほど愛着はありませんでした。友人も少ないという真奈さん。東京なら、すべてをリセットして新天地で「新しい自分になれる」と期待したのです。
義実家ではじめて感じた「家族らしさ」
夫は次男。新居近くには彼の実家があり、両親と祖母と兄家族が住んでいました。実家は自営業で、18時半には家族みんながそろって食事をする「絵に描いたようなあたたかな家庭」だったといいます。
夫はほぼ毎日残業のため、一人で過ごす真奈さんを気遣い、義母が食事に呼んでくれるように。週の半分は彼の実家で夕食を食べるようになりました。「ウチには男の子しかいないから、娘ができてうれしい」と義母も義祖母も真奈さんをかわいがってくれました。
結婚してすぐに就職活動ははじめたものの、思うような職に就くことはできませんでした。知る人もいない東京で仕事もなく、時間を持て余していた真奈さんにとって、夫の家族にあたたかく迎え入れられたことはありがたいことだったといいます。彼は土日も出勤することが多く、彼抜きで信州の別荘や温泉旅行に出かけるようになりました。
「彼の家族なのに、『家族の想い出』に彼がいないんです」と笑う真奈さん。
【前編】では真奈さんの結婚までの経緯と離職、憧れだった「家族団らん」のある義実家との交流とついてお伝えしました。
▶つづきの【後編】では、家族の輪のなかに夫が不在だというすれ違いやストレス、その後の結婚の行方についてお伝えします。__▶▶▶▶▶
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