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「こんなバレ方するなんて…」不倫の落とし穴にハマった40歳勝ち組女性。イケメン上司との末路は(後編)

OTONA SALONE / 2024年4月13日 19時1分

メガバンクで働くスミレさん(仮名・40歳)は講演会の後に、人事部の副部長のアオトさん(仮名・47歳)とご飯を食べることになりました。彼の瞳に、仕事だけではない何かを見た気がした彼女でしたが……激動の後編を紹介します。

【エリート銀行員たちの不倫事情】後編

 

前編はこちら▶▶まさかの形で不倫バレ!イケメン上司と不倫に溺れた女性の末路は【エリート銀行員たちの不倫事情】前編

 

アオトさんが指定したのは虎ノ門横丁でした。虎ノ門ヒルズの二階にあり、いくつもの居酒屋が集まっている大人のフードコートのような場所です。

「お店を選ぶセンスがいいなと思いました。ここなら誰かと遭遇しても、やましいことはないですからね」

 

スミレさんがそのことを彼に伝えると『やましいことしようと思ってるの?』と返されました。『そういうわけじゃないですけど……』と言うと『本当に可愛いね』と返されました。

 

40歳、可愛いと言われた私は 次ページ


「男性に可愛いなんて言われたの、久しぶりだけど嬉しかったです。もう40歳になるけど、いつまでも女の子扱いされたいんですよ。何歳になっても、大事にされたいじゃないですか」

ジンを専門に扱うお店で、上質なスパイスの匂いにいつもより早く酔いが進みます。人事部の副部長に自分を売り込んで、ゲームを有利に働かせよう。そう思っていたはずが、いつのまにか愚痴を言っていました。

「”詰め込み教育”や”指示待ち型”ではAIに負けてしまう。これからの時代は生き残れないから、クリエイティブ性が必要……そんな言葉は嫌でも耳に入ってきます。でもそれってゲームに負けた人たちの意見ですよね?好き勝手に生きて良かったなら、もっと可愛く生きたかったですよ」

聞き上手な彼は肯定も否定もせず、にこやかに話を聞いてくれました。『大丈夫だよ』と彼は返しました。『人生は、どこかで帳尻が合うようになってるんだ。あの時頑張ったから、今こうして美味しいお酒も飲めているんだしね』と。彼はそう言いながら、食べ物の写真を熱心に撮っていました。「SNSにあげるんですか?」と彼女が聞くと『いや、パーソナルトレーナーに食べたものを送らなきゃいけないんだよ』と言います。

「いかにも銀行で出世しそうなタイプです。相手の意見を潰さずに、自分を決して出さない。そして自分のやりたいことは淡々とやっていく」

『でも我慢は良くないな』と彼は続けます。『やりたいことを我慢して別のことをやると、それはじわじわと後の人生を蝕むからね。やってみてダメな方がいい』。酔いが回った彼女は気付くとこう口走っていました。『じゃあ、誰かと寝ることを我慢するのはどうなんですか?』と。

 

『それは、我慢しない方がいいだろうね』と彼は言います。吸い込まれそうな頃ほど黒い瞳が、彼女を捉え続けていました。

 

オトナな彼との情事は… 次ページ

『今日、ここを選んだのはね』と彼は言います。『この上に部屋があるんだ。投資用だけどね。今はちょうど空いてて、いつでも使うことができる』。彼はカードキーを机の上に置きました。『一緒に上がっていくところを見られたらまずいから、気が向いたら一人で来て』

アオトさんは立ち上がり、席を離れました。スミレさんは会計を済ませる背中と、カードキーを交互に見つめます。「行くしかない。別に部屋に行くからって、やましいことをするわけじゃない」そう言い聞かせて、彼女はカードキーを握りしめて彼の後を追いました。

「部屋に入るやいなや、寝室に行くのも待てずに求め合いました。彼とのセックスは素晴らしいものでした。今まで夫としてたものは何なんだろうってくらいです」

 

彼はガツガツしてなくて、行為中にもどこか余裕があります。スミレさんの下のものを時間をかけて舐めた後で『これも写真に撮ってパーソナルトレーナーに送らなきゃな』と言ったときは、2人して笑い転げました。彼女はリラックスして等身大のままで、彼とは過ごすことができました。月に一度か二度ほど、彼との逢瀬は続いて行きました。

「このままずっと続いていけばいい。そう思っていた矢先の出来事でした。加工アプリの話になり、流れで2ショットを撮ったんです」

 

どこかで「不倫ではツーショットを取ってはいけない」と読んだことがありました。しかし不倫をして半年が経とうとするこの頃、どこか気が緩んでいたのかもしれません。

 

1ヶ月後、職場で彼から内線がかかってきました。「今日、来られそう?」と彼は言います。周りの視線を気にして、言葉を隠していることは明らかです。急な呼び出しは初めてで、彼女は驚きつつも承諾しました。

マンションへ向かうと、エントランスで彼が迎えてくれました。しかし開口一番、口にした言葉は…

 

「どうやらバレたらしい」

 

バレた理由は、意外にも… 次ページ

バレた理由は、意外にも……

「あの写真を見られたってことですか?」『うん。親戚の子が来て、4歳の女の子だった。自撮りをしたがるから俺のスマホを貸したんだ、4歳なら良いかと思って。そうしたら写真共有アプリを開いて、写真を共有し始めたんだ』「で、食べ物の写真の中に私が混ざったってわけですね」アオトさんの沈黙は、肯定を物語っていました。

うなだれる彼を前に、意外にもスミレさんは静かな気持ちでいました。そして胸の奥から、不思議と喜びがわきがってくるのを感じました。『絶望のなかにも焼けつくような強烈な快感があるものだ。』というドストエフスキーの言葉を思い出します。

「あぁ、やっとゲームのルールから逸脱して、別のゲームをすることができる。そう思ってワクワクしてきたんです」

 

「大丈夫ですよ」と彼に話しかけました。「私、法学部を出てるんです。この手の案件に強い弁護士の友人がいますから、一緒に家族も仕事も失わないで済むように何とかしましょう」

彼は驚いたようにすみれさんを見ました。『やっぱり女性は強いな』と彼は言います。彼女は少し傷ついたような顔をして『それ言われるの嫌だって知ってるでしょう』と言いました。

「まずはうちに来る手紙は、全て弁護士事務所に送るようにします。そうすれば私の家族にはバレません。私のお金で済むなら、お金は何とかします……」

 

彼に語りかけながら、ドストエフスキーの言葉に続きがあることを思い出しました。

「ことに自分の進退きわまったみじめな境遇を痛切に意識するときなどはなおさらである」

と。そうならないように、何とかしてみせる。別のゲームを楽しみ始めた彼女は、心の中で笑いました。

 

 

<文/綾部まと>

 

 

 

≪作家・ライター 綾部まとさんの他の記事をチェック!≫

 

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