40~50代、「あそこ」が砂漠化してない?乾燥やかゆみの放置NG!【専門医に聞きました】
OTONA SALONE / 2024年4月10日 19時30分
なかなか人には相談できないデリケートゾーンの悩み。年齢とともに女性ホルモンが減少することで陰部の乾燥、かゆみ、におい、性交痛、尿漏れといった悩みは深刻化していきます。そこで聖順会ジュノ・ヴェスタクリニックの産婦人科医・八田真理子先生に正しいデリケートゾーンのケアを教えてもらいました。
閉経以降に起こるGSM(閉経関連尿路生殖器症候群)って?
閉経後の女性ホルモン低下に伴う、外陰部・腟の萎縮変化とそれに伴う身体症状はGSM(閉経関連尿路生殖器症候群)と呼ばれています。GSMとは、2014年に国際女性性機能学会と米国更年期学会において提唱された言葉で、ようやく病気として定義づけられるようになりました。
「年だからしょうがない」と症状を放置せず、きちんとクリニックで治療することで不快な症状を軽減することができます。
女性ホルモンの働きが皮膚や粘膜を守り、みずみずしさを保ってくれていますが、女性ホルモンが低下することで、腟周りのうるおいやふっくら感がなくなり、乾燥し、痩せて、雑菌が繁殖しやすくなるのです。その結果、におい、かゆみ、ヒリヒリ感、性交痛などが起こりやすくなります。
また閉経後の腟は常在菌の減少でpH値が酸性からアルカリ性に傾き、自浄作用が弱まるため雑菌が入りやすくなります。それがにおいの原因にもなります。
自分がGSMかどうかは以下をチェックしてみてください。
□腟の乾燥感
□かゆみ
□腟や外陰のムズムズ、灼熱感
□尿失禁、尿もれ
□頻尿、尿意切迫感
□緩み
□におい
□性交痛
□性的欲求、オーガズム低下
□再発性膀胱炎
ひとつでも当てはまるものがあればGSMの可能性が高いです。
“あそこ”の悩みは相談しづらいもの
GSMの症状は更年期の女性の半数が自覚しているというデータがありますが、症状があってもクリニックに相談に行く勇気がないという方も多いでしょう。実際にクリニックを受診されている方は1割程度と言われてます。
患者さんの診療をしていると、「デリケートゾーンの悩みは産婦人科女医である私にも言いづらいこと」と感じています。
検診の際にこちらから何か違和感はないか聞いてみると、かゆみ、におい、性交痛、尿漏れなどに悩んでいるという話が出てきますが、自分から積極的に相談される方はまだ多くはありません。
年齢とともに性交痛を感じる人も少なくないはずですが、性交痛の相談で受診される方は1カ月で3~5人ほど。まだまだ相談しづらい悩みなのでしょう。
最近はデリケートゾーンのかゆみやかぶれなどに効く市販薬も販売されているため、医療機関に行かずに市販薬で治そうと考える人も増えています。しかし、「市販薬を塗ったけれども治らない」と受診される患者さんも多く、とくに40代以降の女性は安易に市販薬を使うことはおすすめできません。
市販薬はかゆみをとるのに効果的な成分、抗炎症成分などが配合されていますが、特にデリケートになっている腟周りに塗ると、乾燥を助長して悪化する場合もあるのです。閉経前の人は腟周りにうるおいがあるのでそれほどトラブルにはなりませんが、閉経後は赤みが強くなったり乾燥しやすくなるので注意が必要です。
クリニックでは、そういった症状の改善のため、エストロゲン腟錠やホルモン補充療法(HRT)の処方を行います。医療技術は進んでいますが、ステロイド剤で悪化するケースもあるので、GSMを理解し、デリケートゾーンの悩みにきちん対応してくれる婦人科を選んで受診しましょう。
▶つづきの【後編】では、常在菌であるカンジダという真菌が異常増殖することによって起こる「カンジダ腟炎」。実は、閉経後はかかりにくいって本当?__▶▶▶▶▶
教えてくれたのは、
聖順会ジュノ・ヴェスタクリニック
理事長・院長
八田真理子先生
1990年聖マリアンナ医科大学医学部卒業。 順天堂大学、千葉大学産婦人科、松戸市立病院産婦人科医長などを経て、98年より父の医院を継承し、聖順会ジュノ・ヴェスタクリニック八田理事長・院長に。 2018年恩賜財団母子愛育会会長賞、19年健やか親子21全国大会(母子保健家族計画全国大会)において厚生労働大臣表彰を受賞。
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