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「悪い男…」イケメン銀行員と不倫に堕ちた、女性行員の愛と末路【エリート銀行員たちの不倫事情】後編

OTONA SALONE / 2024年4月27日 19時1分

メガバンクの営業店で働くランさん(仮名・40歳)は部下の不祥事により、本部から調査に来たハヤテさん(仮名・40歳)と親しくなりました。二人は飲みに行くことになりますが……衝撃の後編をご紹介します。

2人で飲みに行くことに

それは『朗報。あの子の処分、そんなに重くならなさそう』という短い一文でした。ただの業務連絡ですが、彼の気遣いや思いやりが伝わってきました。部下の処分が重くならないということは、キャリアにも影響がないということです。お礼のスタンプ送ると『お祝いに飲みに行かない?』との誘いが来ました。

「いつもだったら断っていたでしょうね。何度か同期からその手の誘いはありましたが、安心して飲むことができないんです。自分を蹴落とそうとしていたり、何か弱点を見つけようとしているんじゃないかっていう気になってしまいます」

銀行の人事には意外と属人的なところがあり、今回の部下の件も、同僚からの密告でした。

 

ランさんは、手に残ったハヤテさんの腹筋の感覚が忘れられませんでした。迷っていると彼から続けてメッセージが来ました。『同期にこんなにかわいい子がいるなんて知らなかった!知ってたら、もっと早く誘っていたのにな』と。

彼女は気がつくと肯定のスタンプを送っていました。後にこれらのやり取りが、全て見られてしまうことになるとも知らずに。

 

場所は西麻布にある、一軒家の焼き鳥屋でした。芸能人が住んでいたという豪邸を改装して、古民家風の居酒屋になっています。お野菜もお肉もどれも美味しくて、彼の話は新鮮で──彼は銀行の不祥事を管轄する部署で働いているため──あっという間に時間が過ぎました。

「子どもが生まれてから、こういう瞬間ってなかったなって思いました。とりあえずこれを食べようとか、私がこうしたら周りは嬉しいだろうなとか、そういうのばっかり考えていました」

 

ママが西麻布に来るなんて……しかも既婚者という、本来ならいるべきではない相手と。罪悪感が首をもたげましたが「それよりも彼と居たい」という気持ちが勝りました。

お店を出ると、ハヤテさんは手をつないできました。

「もちろんその手を振り払うこともできました。でもそれはしなかったんです。それは別に彼のせいでも、子どものせいでも、銀行のせいでもない。私の選択でした」

 

二人はホテルで身体を合わせました。彼ものは的確に彼女のかたちに合ったところを突いてきます。まるで以前から何度も交わって来たかのような錯覚を覚える行為でした。

「ソウルメイトとかスピリチュアルパートナーとか、ネットで見かけた時は胡散臭いなと思っていました。しかし実際に彼と過ごしていると、そんな気もしてくるんです」

まるで夢を見ているような気分で、二人はそれぞれの家路につきました。

 

それが彼を見た、最後でした。

 

次の日 会社にいくと、なんと… 次ページ

衝撃の結末。二人の末路は

「次の日、店には別のリスク統括部の人間が来ていました。彼は休みなのかな、と考えていると、別室に呼ばれました」

てっきり部下の処罰の話かと思いきや、その人間は言いにくそうに口を開きました。

『実はハヤテさんのことで、通報がありまして……』

『え?』

『複数名の女性と浮気をしていたらしく、LINEのスクリーンショットも送られてきました』

 

ランさんは言葉を失いました。しかし心を持ち直し、言い返します。

『確かに拠点内恋愛はご法度です。でもプライベートの話なので、問題ないのでは?』

 

『彼の浮気相手が銀行外部の女性でしたら、問題ありませんでした。しかし行内となると、話は別です。しかも女性関係の他も、彼はFXにも投資していました』

 

FX自体は違法行為はないのですが、銀行員には禁止されています。どうりで西麻布の居酒屋なんて知っていたはずだわ、と彼女は思いました。銀行員がそんな派手な遊び方をするわけがないのです。

『今、彼は人事部からBS(貸借対照表)とPL(損益計算書)を書かされています』という言葉は、彼女の頭の上を通り抜けていきました。タレコミを捜査する側が通報されるなんて皮肉だな、とどこか冷静に考えていました。

 

「おそらく私の人事考課にも響くでしょうね。でも、良かったこともありました。一つは自分の夫の、不貞も賭け事もしないっていう長所に気付けたこと。もう一つは自分の喜ぶことやウキウキすることをすると、こんなにも幸せになるんだって分かったことです。わたしは出世の舞台から、やっと降りることができました。別にクビになるわけじゃないし、これからは脱力して、好きに生きます」

彼女が最後に見せたのは、憑き物が落ちたような、晴れやかな笑顔でした。

 

 

<文/綾部まと>

 

≪作家・ライター 綾部まとさんの他の記事をチェック!≫

 

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