産後レスの夫。気づいたときには【本気の不倫】に。子どもの「園の送迎」で出会い、心の隙間を埋められた
OTONA SALONE / 2024年4月27日 18時1分
昨年末、25年ぶり実施の『性機能障害の全国実態調査に関する報告』が発表されました。年齢別EDの有病率はなんと50歳以上で41.7%。また、性交頻度が1カ月に1回未満(1カ月間に1度も性交がない)を「セックスレス」としたところ、全体の70.4%が該当しました。
つまり、日本は少子高齢化と同時に、恐るべきレス社会に突入していたのです。これは人口問題そのものであり、我々は少子化どころか無子化社会を生きていると言えます。
これらの社会課題を男性側の視点で捉え、執筆を続けるライター・山下あつおみ氏が、レスを抱えた夫婦問題についてレポートする【後編】です。
【無子社会を考える#7】後編
▶この記事の【前編】を読む▶東京都杉並区在住のマサオさん(41歳・個人事業主)の不倫のきっかけは、日常生活のなかにあった。娘の幼稚園の送迎時に知り合ったママ友と関係が深まり……。
カフェの個室で親密な時間を過ごすことに
「彼女との関係が深まるにつれ、私たちは危険な道を進んでいることを自覚しながらも、その魅力から離れられなくなっていました。そしてある日、二人で会う約束をしました。それまでは偶然の出会いや、短い時間の会話がほとんどでしたが、初めて予定を立てて会うことになったのです」
マサオさんと彼女は、地元から少し遠くのカフェの個室で待ち合わせをしました。二人きりでゆっくり話すのは初めてのことでした。カフェでの会話は、これまで以上に心を開いてお互いの悩みや思いを共有しました。そして、その日の帰り道、二人は手をつないでしまいました。
「手をつないだ瞬間、もう戻れないと感じました。でも、その瞬間はとても幸せでした」
その後、二人の関係はさらに進展し、ついには肉体関係を持つようになります。マサオさんは、自分の行動が家族に対する裏切りであることを知りながらも、彼女との時間を止めることができませんでした。
「彼女と一緒にいる時だけが、男でいることができる唯一の時間でした。妻や娘には申し訳ないと思いながらも、彼女から離れられない自分がいました。でも、どうしても踏みとどまる事が出来なくて、バカな事だって頭では分かっているんです。でも止められない、それが本音です」
不倫の罪悪感はあるものの、妻とはセックスレスの関係
そもそもマサオさんと妻がセックスレスになったきっかけは、娘の出産後でした。妻は出産と育児で疲れ果てており、夜はぐっすりと眠りたい一心でした。マサオさんも妻の体調を考え、無理に求めることはしませんでした。しかし、時間が経つにつれ、二人の間の性的な関係は完全に薄れていきました。
「最初はお互いに疲れているし、仕方ないと思っていたんです。でも、月日が流れるうちに、夫婦としての関係が希薄になっていくのを感じました。夜、ベッドで妻がすぐに眠ってしまうのを見て、寂しさを感じるようになったんです。何度か断られてしまって、もう妻とセックスは出来ないことを覚悟していました」
マサオさんは妻に対する欲求不満を感じつつも、妻の負担を増やしたくないという思いから、そのままの状態を続けていました。それが、他の女性に心が傾くきっかけとなったのかもしれません。マサオさんは家族を大切にしたいという思いと、彼女との関係を続けたいという欲求の間で、葛藤していました。日中は娘の面倒を見て、仕事をこなし、妻との会話も普段通りに保とうと努めていました。しかし、夜になると、彼女からのメッセージを待ちわび、返信することで、一時的にでも彼女との時間を楽しんでいました。
「家族と一緒にいる時は、幸せなはずなのに、心のどこかで彼女のことを考えてしまう自分がいました。妻と娘には本当に申し訳ないと思っています。でも、彼女との関係を終わらせる勇気が出ないんです」
自分ではもう止められない、両方とも必要な存在
ある週末、マサオさんは家族で遊園地に行きました。娘の笑顔や妻との会話に心から幸せを感じる一方で、彼女への思いも募っていました。その日の夜、マサオさんは仕事と嘘をついて彼女とホテルで待ち合わせをしたそうです。二人はいつも以上に情熱的な時間を過ごしましたが、帰り道、マサオさんは深い罪悪感に苛まれました。
「もちろん最低な行為だとは分かっているんです。でも止められない。家族に対する裏切り行為が、自分をどんどん追い詰めていくのを感じます。でも、彼女との時間がないと、自分を保てないんです」
今後、マサオさんはどんな選択をするつもりなのか、あらためて質問してみました。
「後悔はしていないです。もちろん妻や娘に対する裏切り行為だと思います。でも、彼女といる時の幸せを手放すことができないんです。また妻とはレスですが愛しているんです。娘もかけがえのない存在です。だから全て手放したくないと思っています。矛盾してますが、両方とも僕の人生に必要な存在なんですよ」
人間の心は複雑で、時に矛盾する感情を抱えながら生きていくしかないのでしょうか。マサオさんの物語は、愛と欲望、義務と自由の間で揺れる人間の姿を映し出しているのかもしれません。
数年後にマサオさんが何を思っているのか、再びインタビューをしたいと思います。
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