不妊治療を乗り越えたのに、セックスレスに。産後、夫婦が再燃したあるきっかけとは
OTONA SALONE / 2024年5月5日 22時1分
昨年末、25年ぶり実施の『性機能障害の全国実態調査に関する報告』が発表されました。年齢別EDの有病率はなんと50歳以上で41.7%。また、性交頻度が1カ月に1回未満(1カ月間に1度も性交がない)を「セックスレス」としたところ、全体の70.4%が該当しました。
つまり、日本は少子高齢化と同時に、恐るべきレス社会に突入していたのです。これは人口問題そのものであり、我々は少子化どころか無子化社会を生きていると言えます。
これらの社会課題を男性側の視点で捉え、執筆を続けるライター・山下あつおみ氏が、レスを抱えた夫婦問題についてレポートする【後編】です。
▶この記事の【前編】を読む▶コウジさん(45歳)が夫婦二人三脚で乗り越えた不妊治療後、念願の妊娠・出産・育児と暮らしの形が変化。そこからセックスレスに…。
夫として何をすべきか、生活習慣を見直すことに
「まず、日常生活を根本的に見直すことにしました。特に妻が育児と家事の両立に苦労していることを実感していたので、これまで以上に積極的に家事を分担するようになりました。これはレス改善を目指しているだけでなく、妻と過ごす時間をしっかり確保したいという気持ちがありました。出産後に夫婦で話す時間が激減していたので、これを改善すべきだと考えたのです」
コウジさんは週末の家事を引き受けて、妻には完全に休息を取ってもらう日を設けることにしたそうです。また娘の寝かしつけはコウジさんが担当するようになりました。これにより、奥さまは仕事の時間をしっかり確保できるようになったようです。そして大きな転機となったのが、2020年の新型コロナウィルスでした。
新型コロナウィルスが家族にとって大きな転機となった
「コロナの影響で働き方が一変しました。私はSaas系の会社で働いていることもあり、勤め先はリモートワークを積極的に導入しており、フルタイムで自宅から仕事が出来るようになりました。一方の妻はフリーライターをしており、インタビュー取材をリモートで行えるようになったことで、結果的に夫婦揃って自宅で働けるようになったのです。もちろん当時の世の中は大変で不安なこともありましたが、子育てと仕事の共有ができる環境であったことは恵まれていたと思います」
意図せずに夫婦で過ごす時間が日常になったことで、コウジさん自身の価値観も大きな変化があったそうです。
「大きな方向性でいうと、リラックスする、整う、というベクトルに向いているものが僕自身、とても好きなんだと知りました。それまでは特に意識していなかったのですが、植物を育てることやバスルームで過ごす時間を大切にしており、実は夫婦共に好きじゃん!って気づいたんです。また自宅で子育てしながら運動もしたかったので、リモートでヨガ教室に夫婦で参加するようになったんです」
コウジさんと奥さんがリモートでヨガ教室に参加したことで、2人の間のつながりが深まりました。ヨガを通じて、お互いの呼吸や動きがシンクロする体験が、2人の心の距離を縮める助けとなったのです。
「ある週末、ヨガの後に家族で山梨の高原に旅行に出かけました。この家族での時間は、日常の忙しさから離れ、リラックスする貴重な機会となったんです。夕日を背景に、子供の成長を実感しながら、妻にこれまでの困難を共に乗り越えてきたことへの感謝を伝えました。あのときの妻の笑顔が本当に素敵で胸に焼き付いています、結局、妻のことが大好きなんです」
少し照れながらも胸の奥にある気持ちを率直に語ってくれるコウジさん。とても誠実で一途な人柄が取材中にも伝わってきます。では、その後のレス事情についてはどうなったのかを聞いてみました。
旅行がきっかけでレスが改善、再び夫婦の夜の営みがはじまった
「出来過ぎな展開かもしれないんですが、旅行に行ったその日の深夜だったかな。それとなく妻の方から近づいてくれて、これはサインだなと分かりました。もう嬉しくて嬉しくて、無我夢中で妻を抱きました(笑)。多分、レスになって1年以上経過していたので、ちょっとどんな感じでセックスをしていたのか忘れた部分もあったんですが、本当に幸せな気持ちになりました」
旅行後、コウジさん夫妻の関係は再び花開きました。旅行がきっかけで夫婦の間に柔らかな空気が流れ、コウジさんと奥さんはお互いに新たな愛情を感じるようになったようです。
「そのあとはレスになっていません。またしばらくして、もう一人子どもが欲しいね、と話していたのですが、自然な形で次女を授かりました。前回の経験もあり、またレスかもと少し不安になりましたが、お互いにスキンシップを絶やすことがなかったので、妻が無事に出産後も現在もレスではありません。これ、結局ノロケ話みたいになってますね(笑)」
コウジさん夫妻の物語は、日常の困難を乗り越えた夫婦の成長と愛の再発見を象徴しているかのようです。一度はレスになった夫婦関係が、共有の体験と相互の支援を通じて再び熱くなり、家族がさらに拡大する喜びを享受したのです。
最後にコウジさんの今後の目標について語っていただきました。
「家族としての幸せを深めることが最大の目標です。これまでの経験から、家族の幸せがいかに大切かを痛感しました。子どもたちが健やかに育つ環境を整えること、そして妻との関係を常に大切にすること。これを心がけながら、一家としての絆をさらに強くしていきたいです」
コウジさんの言葉からは、家族への深い愛と責任感が感じられ、夫妻がこれからも幸せな家庭生活を送るための確固たる信念があることが伝わってきました。
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