「えっ、車の中で…!?」不倫相手の自分勝手さに乱され、ほだされた果てに女が見たものは(前編)(後編)
OTONA SALONE / 2024年5月11日 18時1分
ジェクス ジャパン・セックスサーベイ2020によれば、浮気・不倫経験があると答えた男性は67.9%、女性は46.3%。40代女性の32.9%が「特定の人物1人と(現在も)している」と答えています。婚外恋愛は、決して遠い対岸の火事ではありません。
では、過去に不倫を経験した人たちは、その後どんな人生を歩んでいるのでしょうか。
相手との関係や自身の生活の変化について、女性たちのリアルをお伝えします。
【不倫のその後#13】後編
不倫のあと、彼のことは忘れたはずだったけど… 次ページ
思わぬ不倫の後遺症が…
「楽しんでおいでね」
と、浮かれた様子にテンションを合わせてそう言うと、
「うん。今度は大丈夫だと思う」
と亜樹は力強い声で答えた。
既婚男性に別れを告げ、その後しばらく執拗に復縁を迫られる恐怖にも耐え、亜樹は何とか「ご新規さん」を探す前向きさを取り戻した。もちろん「相手は独身に限る」で、使うマッチングアプリは女性も課金しないとやり取りができないような出会いの意識が高いものにした。
不倫で男の身勝手さに懲りたからこそ、出会いから間違えずに誠実な男性を探そうとする亜樹の姿勢を応援してきたが、やっと会話までたどり着けても、亜樹は「その気になれなくて」と早々にお断りすることもあった。お互いにプロフィールを気に入ってメッセージのやり取りが始まるが、何がやる気を削ぐのか聞いてみたら「物足りなくて」とため息が返ってきた。
「丁寧だし優しいし、私の話を聞いてくれるんだけど、控えめすぎるのね、向こうが。もっと強引に引っ張ってくれたら早いのになって……」
困惑した顔で頬杖をつく亜樹を覚えているが、過去の不倫相手から受けとっていた「刺激」を忘れられていないことはすぐにわかった。男性の気遣いが、亜樹には「意思の弱さ」に映るのだ。
まさに「不倫の後遺症」だった。男性からの支配とそれにつきまとう抑圧に辟易したはずなのに、そうやって振り回される自分に酔っていた感覚が、「ご新規さん」を探す段になっても必要不可欠な条件のように亜樹の心に根を張っていた。そんな状態で出会いを活かせるはずがなく、亜樹はマッチングアプリをやめようとしていた。
ところが、新しい男性とマッチングして… 次ページ
中年になってからの恋バナって
それを留まったのが、退会を決めた矢先にマッチングした今の男性の存在で、「正直に言えば投げやりだった」と反省する亜樹に言わせると「ひねくれた発言をしても話を元に戻して進めようとする姿」が新鮮だった。
「それまでの人は、私が適当に答えるとすぐ話題を変えてくれて、上っ面の会話ばかりだったのね。あの人は私が『恋愛はつらいことが多いからたまに逃げたくなる』って送ったら『でも戻ってくるんでしょう、俺もそうだよ。何があったの?』って聞いてくれて、うっかり不倫のことを話したくなっちゃった」
できないけど、と肩をすくめる亜樹は、節度を持って踏み込んでくる男性の様子に「これが普通なのだ」と改めて感じたそうだ。
「『この年になれば、誰だってでかい傷があるよね』って、お互いの過去の恋バナとかしてね、ああ分かるって言えるのがすごく楽しかったの。あの人もつらい過去があって真剣に出会いを探していて、私のことを知りたいし『俺のことも知ってほしい』って。これが正常っていうか、心を開けるってことかなって」
過去の不倫ではひたすら自分が押さえつけられる側だった。そうではなく、お互いに打ち明けていけるつながりこそ心が安らぐのだと、亜樹は男性の姿を見て考えた。そこにネガティブな「刺激」はいらないのだと、自分が感じていた「物足りなさ」は相手への依存だったのだと、亜樹は気付いた。
新しい男性との関係で「見えたもの」とは 次ページ
好きな人との時間に、はしゃぐ気持ちを取り戻して…
亜樹の言葉で忘れられないのは、「この人と話していると心があったかくなるの」という何気ない一言だった。そんな表現は過去の不倫相手と過ごしているときは出なかった、「寂しい」「好きなのにつらい」が多かったことを思い出すと、新しく出会った男性との関係にあたたかさを覚える今の亜樹なら大丈夫だと、はっきりと思った。
今日の亜樹は、不倫をする前のような、好きな人との時間にはしゃぐ気持ちがよく伝わる。これが幸せな恋愛なのであって、35歳の亜樹が「正しく身を置くべき関係」なのだと思った。そのあたたかさが先を考える希望になる。
「先にお店を調べておけばよかった」と今ごろ言うので、「そうだよ、そのほうがスムーズじゃないの」と返すと、
「ふたりでね、そのときの気分で決めようよって話になったのよ。こういう適当さもいいじゃない?でも、やっぱり候補がほしくなっちゃって」
と亜樹の明るい声は続く。
過ごす時間をふたりで決めていく、その当たり前の気持ちを共有できる喜びが、今の亜樹を動かしていた。「うーん、じゃあ◯◯はどう?」と亜樹のために何とか提案したら、「ありがとう」とすぐに返事があった。
不倫の後遺症は、自分しだいで変えていけるのだ。
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