お笑い芸人・バービーさんの本音。「葛藤を乗り越えたからこそ、❝あらゆる好き❞を仕事にできるようになった」【前編】
OTONA SALONE / 2024年5月17日 17時0分
「お笑い芸人」という枠を超え、下着プロデュースや地方の町おこしなど活躍の幅を広げ、その主体的に働く姿がまぶしいほど楽しそうなフォーリンラブ・バービーさん。SNSやYouTubeでは、フェムテックを題材にいち早く取り上げるなど、時代の先をいく多様な考えや発信が魅力だ。
そんなバービーさんが、5月9日(木)横浜みなとみらいにて開催された、世界最大級の人材サービス会社ランスタッドが開催する「ED&I 船上シンポジウム オープニングイベント」に登壇。自分らしい働き方を実現する秘訣を語りました。その気になるインタビューの模様をお届けします!
※「ED&I」とはエクイティ(公平性)、ダイバーシティ(多様性)、インクルージョン(包括性)の頭文字。
※ランスタッドとは、オランダに本社を置く、ジェンダー平等を実現し様々な個性を持った人たちに平等に雇用の機会が与えられるように取り組みをしている会社です。
「テレビ番組で罰ゲームの罰役になったとき、観ている人が不快にならないか心がザワついた」
―バービーさんがジェンダーや多様性の問題に初めて直面したのは、いつ、どんなときでしたか?
そうですね、芸人としてこの世界に入ってもう17、8年。色々な時代を見てきました。
まず、昔は「“女”芸人」というくくりで、「“女性”芸人」という言葉すらありませんでした。そして今だと考えられないような企画が当たり前に存在しましたね。罰ゲームの罰役になったりだとか、女性が男性のために料理を作ってもてなしてボロクソ言われるような企画とか。当時、私は芸人として“おいしい”と思ってやっていたけれど、観ている人は不快にならないだろうか、と心の中は常にザワザワ。“テレビ業界的に面白いこと”と“世間の感覚”にズレがないだろうかと、やはり葛藤がありましたね。
でも今は変わりました。ここまで配慮してくれるんだっていうくらい、芸人さんもスタッフさんも優しいです。なので、行き過ぎたリクエストがあったとしても「これやって叩かれるのは私なんで」って断れる。今は天国ですね。
「“イエベとかブルべとかどうでもよくない?自分の好きなものを着ようよ!”という思いで下着を作っている」
ー最近のお仕事について具体的に教えてください。
最近のお仕事は、“芸人”というベースがありつつ、肩書きは自ら“ワクワククリエイター”って名乗っています。まわりからは「ダサいからやめな」って言われるんですけどね(笑)。具体的には、下着のプロデュースや執筆活動、SNSでの発信がメインです。
私が下着のプロデュースを始めた頃って、メーカー主導の消費者行動っていう感じがあって。メーカー側から「細身のほうがいいよ」「胸は盛ったほうがいいよ」「背中のお肉は(前に)寄せましょう」とか、消費者目線ではない、メーカーからのメッセージっていうのがすごいあって。その中のひとつに、サイズの幅がないっていう問題がありました。それによって、「このサイズにあなたはやせなさい」って言われている気分になるっていう方がたくさんいて。私も実際そうで。
なので私は、サイズの幅がしっかりあって、色もカラフルなオレンジとかドピンクとか、なかなかメーカ-さんが作らないデザインの下着を作りたいと思いました。日本の下着ってセクシーじゃないものが多いんですよ。だからこそ、セクシーで自分に自信が持てるようなコンセプトのものを作りたくて。
「イエベとかブルべとかどうでもよくない、自分の好きなものを着ようよ!」みたいな感じの下着をたくさん作っています。
「グッと堪えて踏ん張った時代があるから、今は好きなことだけをする自分を許せる」
ー現在は芸人のお仕事にとどまらず、活躍の幅を広げられていますが、最初はまわりの目は気になりましたか? 今も気になっていますか?
私自身、芸人の枠から一歩飛び出して、「下着を作りたい」とか「町おこしやりたい」とか動いてたときって、最初は同業者からの目はすごい気になりましたね。
「あいつそっちの道行っちゃった?」みたいに思われるんじゃないかって。政治的な発言をしたときも、「あぁなるほど、そっちの道いっちゃたんだ、ふーん」って思われるかな、と。芸人はやっぱり“その道を突き詰めてこそ美学”みたいなところがあるので、正直恥ずかしいなって思う気持ちもありました。
でも今になって思うのは、そうやっていろんなことにトライしたからこそ、ベースで芸人をやってたことと今の活動が、点と点が線でつながったなって思うんです。
そして今は、「人の目は気にしない。だって私のためだもん、生きてるの」って心底思っています。だから、たぶん今後は好きなことだけして生きていくと思います。こんな風に好きなようにやれているのは、それは若い時に、たくさんの逃げ出したくなるような経験をグっと堪えてきたからかなって思ってます。そこだけは日本古来のやりかたみたいな感じなんですけど(笑)。
その結果、「あれだけ堪えたんだから、今はもう好きなことやってよくない?」って心底思える。好きなことをやる自分を許せる自信につながったかなって思うんです。だから今は、あのとき堪えて本当によかったなって思ってます。
「いろいろな発信をそのまま受け取らず、最後は自己決定を。それが同調圧力に負けない自信につながる」
―バービーさんのように、主体的に働くために大事なことはなんでしょうか?
下着に限らず、メーカー主導の消費行動になってしまう場面が至るところにあると思うんですよ。
それだけでなく、(メディアや世間から)発せられるものをそのまま受け取ってしまう方たちが多いように思います。みんなそれぞれが、もっと自分の好きなものとか、適材適所とかそういうもので自分の人生を選べられたらいいんじゃないかって思います。
みんな心にワクワクを!って感じで。
ただそんな簡単に一歩踏み出せないっていう方が多いと思うんです。その中には同調圧力のようなものを感じやすい方たちが多いのかなって。自分のYouTubeチャンネルで、いろんなものをおすすめする機会があるんですけど、毎回「みんな、最後は必ず自分で決めてねー!」って言うようにしてるんです。私からの発信の中には“自己決定してくださいね”というメッセージを含めるようにしてます。自分で決定することが自信にもつながるし、一歩踏み出す勇気にもつながるんじゃないかなーって思って。ちなみに自分で決めた結果、今日はこんな格好にになりました(笑)。
続いて、SNSでの発信が注目されるバービーさんが、SNSで募った仕事や人生にまつわるお悩みに回答! 仕事に悩む方は必見の内容です。
>>>お笑い芸人・バービーさんの本音。「転職やキャリアは重ねるほど掛け算。だってその職すべてを経験したのは自分だけ」【後編】
撮影/佐山裕子(主婦の友社)
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