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「起きたら客が100人増えてないかな」起業と同時にコロナ禍に見舞われた薬剤師が「女性更年期のカウンセリング」にたどりつくまでの紆余曲折

OTONA SALONE / 2024年6月6日 20時10分

オトナサローネにもよくご登場いただく薬剤師、笹森有起先生。オンライン漢方サービス「プラス漢方」の代表取締役薬剤師を務め、一昨年には同社オリジナルのエクオール含有サプリメント「エクオールバランスビューティ」をリリースしました。更年期世代に寄り添うカウンセリングを一層強めています。

 

なぜ漢方薬剤師がエクオールに着目したのか? なぜオンラインサービスを選んだのか? その背景を伺いました。

 

漢方に出会ってしまった。こんなにいいものが日本にはあるだなんて

笹森先生は2012年、調剤薬局に就職すると同時に漢方の勉強を始めました。2019年に独立起業、2021年に「プラス漢方」を立ち上げます。オンラインで薬剤師がカウンセリングを行い、ぴったりの漢方を選んで毎月自宅に届ける、漢方のサブスクリプションサービスです。

 

「お客様のメインはオトナサローネ世代、40代50代の働く女性。薬剤師が丁寧にカウンセリングを行い、月額料金内で月に1回、ぴったりの漢方をお届けします。メンタル含めた心身の不調を専門家である薬剤師がトータルに傾聴し、漢方を媒介として健康をサポートするサービスです。とはいえ、じつは薬剤師は漢方を深く習わないため、私を含めスタッフは全員あとから自主的に勉強しています」

 

笹森先生の場合、たまたま配属された先が漢方を得意とする内科の近隣の薬局だったことから、必然にかられて漢方の勉強を始めたのだそう。

 

「学び始めてすぐ、漢方の効果や哲学に衝撃を受けました。これまで学んできた西洋薬とはまったく違う効き方をします。薬で抑えるのではなく、自己治癒力を引き出し高めてバランスをとっていくという考え方です。年を重ねるごとに不調は変化するものですが、自己治癒力がじゅうぶんであれば対応ができるという考えは本当に驚きでした。予防的対応が可能となるため、高齢化が進む日本では今後より一層重要になるだろうと直感しました」

 

当初処方していたのはエキス製剤、いわゆるツムラの何番というあの包剤ですが、学べば学ぶほど興味は深まり、街中にある自費の漢方薬局に修行にも出かけました。自ら交渉し、実地でカウンセリングと処方を学ぶ研修も行ったそうです。

 

「医師の処方を扱う調剤薬局ではすでに処方が決まっていますが、自費漢方薬局はそもそもカウンセリングをして処方を組み立てるところから手掛けます。漢方という同じ医薬品にもかかわらず、薬剤師がかかわる範疇が全く違うことにも驚きました」

 

ちなみにまで、特に慢性的な不調を抱えた人を相手にすることが多い漢方という分野では、カウンセリングは「否定をしない」「傾聴し受け入れる」ことが大切なのだそう。

 

「何かしらアドバイスをするときも必ず実例を用いてお話します。すると、このつらさを抱えているのは自分だけではなく、他の人もこういう状況なんだなという安心感が生まれ、不安や混乱という阻害要因が解消されます。これは男女どちらも同様で、その課題の原因が同じなのならば、誰であれ同じ態度で解決へとたどりつくことができると、この仕事を通じて感じています」

 

オンライン漢方サブスク「プラス漢方」を立ち上げたものの…あの「禍」が到来

笹森先生が新卒から働いた職場では、上司も部下も同僚はほぼ女性でした。女性が抱える不調に接し、働く女性に対する貢献という視点で、こんなにいいことばかりの漢方をなんとかもっと広めて、誰にでもよりよい日常を届けたいという視点で生まれたのが『プラス漢方』です。しかし、立ち上げたタイミングでコロナかが到来しました。

 

「両親も調剤薬局を経営し、2人で助け合って働く姿を見て育ったので、在学中から自分も独立したいと考えていました。ちょうど出資者を見つけて事業を始めたのが2020年、まさにコロナ禍のスタート時でした。ですが、勝算があって始めた事業にもかかわらず、まあ、ちょっと口にしがたいくらいの結構な苦戦をしました。いちばんの誤算はお客さまの獲得と継続。こんなに難しいとは思っていなかった。甘いよと言われるかもしれませんが、こればかりは実際に事業を始めてみないとわかりませんでした。毎日毎日、はぁ、明日朝起きたらお客様が100人増えてないかなと、胃をきりきりさせて眠りにつく毎日でした」

 

やがて笹森先生は、コロナ禍だから、漢方だからという個別要因ではなく、「そもそもの事業モデルに欠落があるのではないか」と考え始めたそう。「プラス漢方」で扱う漢方は他でも購入できるため、ここで買わなければならないという説得感を持ったコミュニケーションが難しいのです。

 

「そのため、弊社にしか出せないもの、かつ顧客のためになるものは何だろうと考え始めました。顧客にアンケートを取ったところ、特にニーズが高かったのがエクオールとマルチビタミン。サプリならいける、弊社のアイデンティティである漢方ももちろん入れたい。さらにこのタイミングで『フアイア』という生薬エキスにも出会い、さまざまなエビデンスがあることから、これらをワンストップで摂取できるサプリとして考えたのが『エクオールバランスビューティ』です」

 

顧客ニーズに合わせた設計とオリジナリティの高い商品力。ここで大ヒット、大団円!になりそうな話ですが、この直後に笹森先生は再び「さらに大きな失敗」に直面します。

前編では起業から事業ロンチまでを伺いました。続く後編ではその「さらなる失敗」の詳細と、意外な結末を伺います。

 

つづき>>>「成分に自信はあるけれどお客さんがこない」崖っぷちの新製品が起こした「ある種の軌跡」とは

 

≪OTONA SALONE編集長 井一美穂さんの他の記事をチェック!≫

 

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