長生き食は「ずぼら」がちょうどいい!レンチンでもコンビニでもOKな、食事術5大ルールとは?【鎌田 實先生に聞きました】
OTONA SALONE / 2024年5月31日 17時0分
今のうちから、長生きできる食事を習慣化しておきたいですよね。でも、忙しい毎日に、手の込んだ丁寧な料理は継続しにくいものです。実は、長生き食は意外と手軽に続けられるものなのです。
医師であり、作家でもある鎌田實先生の著書「鎌田式 長生き食事術」(アスコム刊)によれば、長生き食は「がんばらない、でもちょっとだけ工夫する」ことが大切だといいます。「混ぜるだけ」「かけるだけ」「レンジでチンするだけ」などでOKなうえに、缶詰やコンビニ食なども活用できる、それがずぼら食事術なんだそう。ずぼらで長生きができるとくれば、興味が湧いてきませんか?
実際に佐賀県の女性を健康寿命日本一にした食事術とのこと! 早速、そのずぼらでも続けられる長生き食の実践方法を一部ご紹介します。
「鎌田式・長生き食事術」とは?
鎌田先生の食事術は、「鎌田式・長生き食事術」と名付けられています。
その合言葉は、「きん、こつ、けつ、のう、ちょう」。それぞれ「筋肉、骨、血管、脳、腸」の5つを意味します。ポイントとなる栄養の摂り方を見ていきましょう。
●きん(筋肉)
心身の衰えによって心身の働きが弱くなった虚弱の状態である「フレイル」を防ぐには、たんぱく質をしっかり摂って筋肉をつくることが大切です。肉や魚、卵などのおなじみのたんぱく質でOK。1日に体重×1.2gを心がけ、特に朝に摂るのがポイント。朝にヨーグルトやチーズ、いつものおやつを大豆食品や乳製品に変えたりして工夫を。
●こつ(骨)
骨を強くするには、バランスのよい食事とこまめなカルシウム摂取がポイントに。カルシウムというと魚介類や乳製品のイメージがありますが、大豆製品や野菜にも含まれているのだそう。しらす干しなどの丸ごと小魚が食べられる食品は効率がよく、手軽にカルシウムを摂取できます。カルシウムは排出されやすいのでこまめに摂取しましょう。
●けつ(血管)
血圧が一つの指標になる血管。塩分のとりすぎは血圧を高め、血管の老化に拍車をかけてしまいます。塩分の排出を促すカリウムが豊富なほうれん草や小松菜などの野菜や海藻を多く摂ることもポイントだそう。抗酸化作用や抗炎症作用が期待できるショウガやスパイス類を活用するのも一つの方法です。
●のう(脳)
脳の衰えで不安になるのが認知症。予防策の中心は、何より食事術にあるのだとか。ポイントは「ブレインフード」を摂取すること。DHAが豊富な青魚や、脳の神経伝達をサポートするオメガ3脂肪酸を含むナッツ類などを日々の料理の食材にプラスを。また、野菜や果物に含まれるポリフェノールは脳の血流量を増加させてくれます。野菜ジュースなどで工夫して摂取を。
食後血糖値の上昇は脳の慢性炎症につながることから、糖質が多いご飯や麺類などを最後に食べる「カーボラスト」も心がけましょう。
●ちょう(腸)
「第二の脳」と呼ばれる腸は、健康の要です。腸の環境を整えるには、食物繊維と発酵食品。食物繊維は野菜から摂取できますが、味噌汁に多めに入れたり、野菜ジュースを活用したりするのがポイント。発酵食品は、いろんな産地のものを取り入れることで種類の違う菌が腸内で働き、善玉菌を増やしてくれます。鎌田先生は地方の納豆のお取り寄せや複数メーカーのヨーグルトを食べているそうですよ。
>> ずぼら食事術5大ルールと食べ方とは?
ずぼら食事術5大ルールと食べ方
「きん、こつ、けつ、のう、ちょう」を意識して食事術を継続するには、「ずぼら食事術5大ルール」を守るだけで、簡単に実践できるのだとか。そのポイントを押さえておきましょう。
1.「がんばらない」
厳しい食事制限は必要なし! 食べたいものを食べるのが大前提だそう。大事なのは健康を「あきらめない」こと。「継続こそ薬」なので、できることからがんばらずに毎日続けることが大切です。
2.「おいしいものを食べる」
年齢を重ねるにつれて、やせにくくなってくるのでダイエットに走りがち。でも、60歳を過ぎたらダイエットを意識するのはやめたほうがいいのだとか。BMI値(※)が24~26くらいの「ちょい太」のほうが健康で長生きできるというデータがあるといいます。長生きしたければ、「おいしいものを食べる」のがコツだそうですよ。
※BMI値=体重[㎏]÷身長[m]÷身長[m]
3.「できるだけ楽をする」
とはいえ、毎日、3食手作りするのは大変ですよね。がんばりすぎず、できるだけ楽をするのが鎌田式。手抜き料理にはどうしても罪悪感を覚えがちですが、鎌田式の食事術ではずぼらでOKなんです。カット野菜や冷凍食品なども使ってOKです。コンビニでも手に入りますね。
4.「少しだけ工夫する」
鎌田式食事術は、ただの手抜きではなく、少しだけ工夫されているのがポイント。むずかしい調理法ではなく、ちょっとした工夫を取り入れる方法が多いんです。例えば、糖質の多い炭水化物を最後に食べる「カーボラスト」や発酵食品をうまく組み合わせるなどの手軽にできる方法ばかり。小さな工夫を習慣にすれば、長生きにつながりますよ。
5.「楽しみを見つける」
もう一つ、鎌田式の健康法のポイントは、「楽しみながら」が大前提ということ。調理や食材そのもの、食材選びに楽しみを見出しましょう。毎日、気持ちを高めながら、ずぼら食事術を実践することが大切だそうですよ。
ここまでの前編記事では長生きのためのずぼら食事術のルールについて伺いました。後編では実践編として、具体的な食材や食べ方を伺います。
つづき>>>【鎌田 實先生に聞きました】ずぼら飯でも長生きできる!家にあるなじみの食材で「腸活」「脳活」。おすすめの食材と食べ方
【取材協力】
鎌田 實先生
医者・作家
1948年東京生まれ。医師・作家。東京医科歯科大学医学部卒業後、諏訪中央病院へ赴任、以来40年以上にわたって地域医療に携わる。現在、諏訪中央病院名誉院長。日本チェルノブイリ連帯基金理事長、日本・イラク・メディカルネット代表として、被災地支援にも精力的に取り組んでいる。2006年、読売国際協力賞、 2011年、日本放送協会放送文化賞を受賞。ベストセラー『がんばらない』(集英社)をはじめ著書多数。近著に『相手の身になる練習』(小学館)、『70歳、医師の僕がたどり着いた 鎌田式「スクワット」と「かかと落とし」』(集英社)などがある。
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