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なぜ日本のバブルは崩壊したのか?元ファンドマネジャーが「娘に語る」あまりにシンプルなその理由

OTONA SALONE / 2024年6月27日 11時4分

大学生のアキさん、高校生のルミさん、2人の娘を持つ投資家・文筆家、元ファンドマネジャーの澤田信之さん。「予測を業としてきた自分にも、彼女たちがこれからどのような時代を生きていくのかまったく想像できない」と語る澤田さんが、子どもたちに「生きる視点」を伝えるメッセージ書評です。

【父から娘へ「予測できない時代を生きる君たちに、この本をこう読んでほしい」#3『消費される階級』酒井順子】前編

 

僕たちはその時代を確かに生きてきた

アキ、ルミ、進学おめでとう。2人はこれから大学や高校で知識を増やしていきます。学校の授業だけでなく、友達や彼氏、動画や活字からも影響を受けるよね。その中で『本』ってのは自分のスピードで自分が気になる事柄を読みたいときに読めるから、どれだけ動画が楽しくても、手段としては捨てないでね。今は意味がないように思えるかもしれない事柄も後になってつながってきたりして、面白いことになるかもしれません。脳という引き出しは奥が深いので、いつか使うかもしれないと思ってなんでも吸収していってください。

 

今回紹介するのは、酒井順子さんというエッセイの名手の新しい本、『消費される階級』です。

 

酒井さんは僕と同時代、同空間の大学生活を送った方で、この本にも『糸井重里』とか『金魂巻』など懐かしいフレーズが溢れています。同世代の方にはドラマ『不適切にもほどがある!』を見ているのと同じような楽しさがありますね。2人にとっては教科書に出てくるレベルかもしれないけど。

 

性別は違うけど、やっぱり同じ風景を見てきた人っていうのは問題意識も共有できる部分があって、『楢山節考』とか『子ガチャ』とか、ポリティカルコレクトネスに排除されてしまった事柄だって登場します。こうして改めて眼前に示されると、僕もがんばらなきゃと思います。君たちはCreepy Nuts聞いたり成田悠輔見たりするよね、僕たちもYMO聞いて浅田彰読んでたんだよね。

 

若さこそが最大の武器であることは間違いないけれど

あと20年もすれば性別の違いが評価や役割に関係ない時代がやってきます。車やインターネットが不可逆的に僕たちの暮らしを変えたように、AIやロボットが2人の暮らしをどんどん便利にしてくれます。今を生きる2人はこれまで生まれてきたどの世代よりも幸せです。見た目が一重でも二重でも整形でも関係ありません、若さこそが最大の武器なのよ、あとになってわかるから。

 

2人も知っている通り、僕の専門は資産運用です。この世界にはThere is no free lunchという言葉があります。No Risk No Returnともいいます。何かを得るには何かリスクを取らなければならない、という意味です。人生は選択というリスクの連続で、結果責任は自分でしか取れません。

 

若さが最強、なのは、選択の間違いを取り返すことができるし、およそのリスクを親が負担してくれるからです。だけどこれからオトナになる準備として、選択をする前にリスクの分析をして、どんなリスクを取ろうとしているのか自覚する練習をしてください。知識を増やして、オトナの見方も学んでください。

 

絶望はかなり未来までしなくていい、時間が解決することがたくさんある

一例として、まずは書中から『超高齢化時代のおばあさん格差』という章のことを話しますね。

 

酒井さんは、高級高齢者施設に入居する知り合いの90代半ばの女性を『あまり幸せそうではない』と評します。その女性はお金があり、子にも恵まれ、すべてを持つ高齢者であるにもかかわらず幸福感が低い。その理由を『長く生きすぎてしまったという感覚を持っているから』と読み解いています。

 

この読み解き方に2人が同意するか、違うなと感じるか、本を読みながら得るこの感覚を自分で客観的に見つめてください。それがまず「リスクを取る自覚の練習」になります。

 

もうひとつ、これもよく覚えておいてほしいことなのですが、2人の生きる時代は、10人に5人が100歳を迎えると言われています。矛盾するようですが、若さが最強と言いつつも、意外と人生は長い。

 

酒井さんは2003年に『負け犬の遠吠え』という名著をものした方です。流行や時事、その時代の空気感を客観的な筆致で冷静に描き出し続けてきました。その彼女が続けてこう言います。

 

『私がいま百歳だったなら、石井哲代さんの本を読んで励まされると同時に、 「一人でんなに立派に生活し、皆に愛されている百歳がいるのね。その上、この本が売れているいうことは、お金についても心配ないわけで……」と、我が身と比べて暗い気分になる気がしてならない』

 

『負け犬』という歴史的な言葉を作り出した、僕たちの同世代で明らかに一つの時代を作った人でさえ、未来に迷う自分を感じ取っている。つまり、どれだけ成功しても、どちらにせよ人は迷うし、割と頻繁に絶望するから、いま何かうまくいかないことがあって落ち込んでも、人生スパンで見ればそこまででもないという客観視点を持っていてほしい。

つづき>>>本当に日本はこれから「どんどん貧しくなる」のか?元ファンドマネジャーが我が子に「口をすっぱくして」教えていること

 

≪文筆家・個人投資家 澤田 信之さんの他の記事をチェック!≫

 

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