日本で食べられるキウイフルーツは大半が地球の反対側にあるニュージーランドから輸入されています。
お店でキウイを選ぶとき、形や大きさが揃っているのはもちろん、傷や汚れなどが目立たないキレイなものばかりが並んでいることに素朴な疑問を感じたことはありませんか? 味に関しても、いつ食べても安定のおいしさ。
本場・ニュージーランドのキウイ農園を訪ねた前編に続き、収穫されたキウイが出荷されるまでの工程を取材すると、その秘密が徐々に見えてきました。
<<栄養価もコスパも高すぎる!世界トップレベルのキウイが日本に集まってくる理由とは?
収穫されたキウイはどう出荷される?
農園で収穫されたキウイが集められる「パックハウス」(選果場)で、選別・包装作業が行われるということで、見学させてもらいました。とても広い工場内で、ほとんどの作業がオートメーション化されています。
まずは機械によるブラッシング&クリーニングで表面の汚れを落とした後、特殊なレンズを使った赤外線カメラでひとつずつ写真撮影。形やサイズ、傷の有無、熟度などを厳しく選別され、全体の7~8割はここで等級が決められます。
最終的には機械で判断できないものを作業員がチェック。厳しい基準に満たないものは手作業で排除され、残った選ばれしキウイだけが箱詰めされます。日本のスーパーで店頭に並んでいるキウイの形があまりにキレイに揃っているなと思っていたら、こういうワケか…と妙に納得してしまいました。
箱詰めもなんと丁寧な手作業で。キウイ1個1個についているおなじみのシールも、このとき作業員の方が手で貼っていました!長いシール台紙を首にかけて貼っていくスタイル。
こうして箱詰めされたキウイは、箱に貼られたバーコードで等級や種類はもちろん、収穫された果樹園、パックハウスなどの情報が徹底的に管理され、国内外に出荷されていきます。
いつ食べても美味しい裏事情とは
収穫前には農園で収穫される前のキウイの中から抽出された一部のサンプルが研究所に運ばれ、品質検査が行われています。さまざまな計測器を使ってキウイの重さや硬さ、色みなどを調べる中、特に重要なのがキウイの実を乾燥させて水分量を除いた「ドライマター」と呼ばれる完熟度(甘さ)のチェック。
この検査をクリアしないと出荷できないという厳しい品質管理のもとで収穫されているからこそ、いちばん美味しい食べ頃のタイミングで店頭に並ぶようなシステムづくりが実現しているのです。
検査済みのドライマターのサンプルは一見美味しそうにも見えるのですが、人間は食べられず、家畜の飼料になるそうです。無駄のないサステナブルなシステムができています。
世界的キウイブランド「ゼスプリ」の本社を訪ねて
最後は、キウイの名産地でもあり、輸出に便利な海辺の港町・タウランガに構えるゼスプリ インターナショナル本社を訪ねました。ニュージーランドで契約しているキウイ農家から輸出できる最高レベルのキウイを買い取り、世界各国に輸出・販売している会社です。
栽培から収穫、検査、パッキング、輸出入、流通、店頭までを一貫して品質管理する、独自の「ゼスプリ・システム」が徹底されているがゆえに、日本では一年中おいしいキウイを食べられるのです。
エントランスではニュージーランドの先住民・マオリ族の巨大オブジェがお出迎え。ナチュラルなウッド素材とキウイカラーのコントラストが印象的でした。
フロアの真ん中が吹き抜けになったオフィスは解放感たっぷり。天井にはキウイ畑の蔓のアートがあしらわれていたり、柱や梁にビビッドなグリーンが使われていたりと、遊び心のあるデザインが随所にちりばめられています。
荷台にミキサーを載せて漕ぐとスムージーができるという自転車は、グリーン、サンゴールド、ルビーレッドをイメージしてデザインされた特別仕様。イベントなどに使われているそう。
ゼスプリ本社のテラスから望む景色は、すぐ近くの港に停泊している大きな船や夕焼けに映えるマウントマンガヌイがあまりに美しく、印象に残っています。
≪OTONA SALONE編集部 露木香織さんの他の記事をチェック!≫