「不倫相手は女性じゃなかった…」セックスレスの悩みをさらに複雑にする、バイセクシュアルの夫
OTONA SALONE / 2024年6月16日 21時0分
世界でも類を見ない人口減少社会を迎えている日本は「失われた30年」と呼ばれるように、年々、経済が弱体化したことも少子化の要因となっていわれています。
それと同様に深刻な課題のひとつが日本人のセックスレスの常態化です。
25年ぶりに実施された『性機能障害の全国実態調査に関する報告』(2023)によれば、年齢別EDの有病率は50歳以上が41.7%、また性交頻度が1カ月に1回未満(1カ月間に1度も性交がない)を「セックスレス」としたところ、全体の70.4%が該当しました。日本は少子高齢化と同時に、恐るべきレス社会に突入していたのです
こうした社会課題について男性側の視点から執筆を続けるライター・山下あつおみ氏が、レスを抱えた夫婦問題についてレポートします。
【無子社会を考える#12】前編
セックスレスなんて言葉じゃ片付けられない!
今回は都内在住のバイセクシャルな男性シンサクさん(42歳/飲食店経営)に取材を行いました。
シンサクさんは3歳年上の妻(45歳/会社役員)と6歳の娘の3人家族です。取材を通じて、セックスレスの背後にある複雑な要因やバイセクシャルとしての視点を率直に語ってくれました。
「セックスレスなんて言葉じゃ片付けられない現実がここにはあるんです」
シンサクさんは深く空気を吸い込み、重苦しい気持ちを吐き出しました。まずは奥様との出会いから尋ねていきます。
銀座のBarで運命的な出会い
「出会った頃は、まさに火花が散っていたように熱い関係でした」
シンサクさんは遠くを見るように懐かしそうに語り始めました。彼と奥さんの出会いは、シンサクさんが20代後半の頃に銀座のBarでした。仕事終わりにお互いに一人で飲んでいたところ、たまたま好きなお酒が一緒ですぐに意気投合したそうです。
その出会いから2週間後にはお付き合いを始めて、奥さまの家に転がり込んで半同棲状態の生活が始まります。それこそ夜ごとに情熱的なセックスを楽しんでいたそうです。
「ちょっと恥ずかしいですが、二人の性生活は互いの欲望を解き放つかのように激しかったんです。こんな経験ができた女性は今までいませんでした。本当に運命ってあるんですね」
何度もお互いを求め合う映画のような熱い関係
二人の性生活は互いの欲望を解き放つかのように激しく、求め合ったといい、こんなエピソードも教えてくれました。
「初めての旅行先のホテルで、何度も何度も…。それこそ朝が来るまでセックスが止まらなかったんです。まるで世界が二人だけのものになったような気がしていました。あの時の僕たちは、何もかもが新鮮で、お互いの体を知り尽くすことが生きがいだったように思います」
二人の情熱的な関係は、まるで映画のワンシーンのような日々であり、当時は周囲の友人たちからも羨ましがられていたようです。
「彼女と一緒にいると、すべてが輝いて見えました。仕事のストレスもプレッシャーも彼女の抱擁の中で全て消えていったんです。おかげで仕事は順調そのもので、念願の独立を果たせたのも支えがあったからです。それは本当に感謝していますし、出会えてよかったです」
偶然の出会いから何もかもがトントン拍子に進んで行ったと語るシンサクさん。ではセックスレスに至るまでの経緯についても丁寧に教えていただきました。
順風満帆な結婚生活
「結婚したのは付き合ってから5年目ですね。独立して飲食店の経営を始めて、これから頑張らないといけない時に、彼女と一緒になりました。事業が軌道に乗るのか分からないなかで、よく付いてきてくれたなと思います」
結婚後、シンサクさんと奥さんの生活はさらに深まり、お互いに対する愛情も一層強まっていったそうです。二人は一緒に過ごす時間を楽しみ、互いの夢を支え合う理想的な関係だったようです。
「結婚当初の生活は本当に素晴らしかったです。彼女は僕の支えであり、僕は彼女の支えでした。当時は二人でどんな困難も乗り越えられると信じていました」
二人は夫婦でありながら、ビジネスパートナーのような関係でもあったようです。なぜならシンサクさんの奥様は上場企業で役職があり、部下が数十名キャリアウーマンのようで、お互いに上司としての視点で仕事の話が出来る間柄のようです。
「妻は僕よりもずっと頭が良くて、何より僕に足りない女性ならではの視点から物事を見てくれます。お店が右肩上がりで順調に成長していったのも、彼女の助言によるところが大きいですね」
全てが順調に進んでいた二人にやがて転機が訪れます。シンサクさんと奥さんの間には、結婚3年目に娘が生まれました。出産は彼らの生活に大きな喜びと同時に新たな挑戦ももたらしたといいます。
「娘が生まれた時の喜びは言葉にできないほどでした。とはいえ、お互いに働きながらの育児は予想以上に大変ですね。もちろん子育てもお金で解決できる部分はありますが、それでも娘が2歳ぐらいまでは、寝不足の日々が夫婦共に多かったと思います」
夜泣きやおむつ替え、そして育児の疲労が、二人の関係に新たな緊張をもたらしたようです。お互いに時間を見つけては育児の負担を分かち合う努力を続けたものの、次第にその疲労は二人の間に溝を作り始めたようです。
「娘が生まれた後、彼女の体力も気力も限界でした、僕も仕事のトラブルが重なり育児の両立に疲れ果ててしまったんです。そんな状況では自然とセックスの頻度が減っていきますよね」
セックスレスの始まりは育児と仕事のプレッシャー
出産後、夫婦の性生活には変化が訪れました。育児の疲労、仕事のストレス、そしてお互いの時間が減少する中で、気づいたらセックスレスが始まったそうです。
「いつからかセックスしなくなっていました。出会った頃の熱狂が嘘のように、毎晩ただ隣で眠るだけになっていきました」
シンサクさんの言葉には、深い諦めと無力感がにじんでいるように見受けられます。その一方、シンサクさんは別の悩みを抱えていました。
バイセクシャルとしての葛藤
実はシンサクさんはバイセクシャルです。自分のセクシャリティを理解して受け入れるまで、長い道のりを歩んできたといいます。
「父親が昭和ど真ん中の人間で、ずっと男であることを強いられる教育を受けて過ごしてきたので、バイセクシャルであることを自覚して生きること、自分自身が受け入れることは簡単なことじゃありませんでした。結婚前に妻に打ち明けたとき、彼女は驚いてましたけど、あっさりと受け入れてくれて、拍子抜けしました。気にしてるのは僕だけなのかなと、客観的になれたと思います」
シンサクさんはセックスレスになったあと、愛する妻との関係を保つために、どれだけの会話を重ねてきたかを語りました。
「私たちはセックスレスについて何度も話し合いました。どんなときも、お互いに正直に話す関係であることに変わりはありません。そのため、激しくぶつかり合うこともなくて安心しています。こうした背景があり、セックスレスになってから妻に隠していたことを打ち明けたんです」
【前編】では、以前はお互いの情熱をぶつけ合えた夫婦関係だったのに、出産・育児をきっかけにセックスレスに。そんなバイセクシャルの夫が、妻にあることを隠していました。
▶つづきの【後編】では、シンサクさんが妻に隠してきた真実とは? 妻はその事実を受け止めることができるのか? 夫婦のレス状態はどうなるのか?、についてお話いただきます。__▶▶▶▶▶
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