6月「芒種」です。いま「食べておくと絶対いい」意外な食べ物とは?【田野岡メソッド・二十四節気のかんたん養生】
OTONA SALONE / 2024年6月16日 11時45分
こんにちは、再春館製薬所の田野岡亮太です。
私は研究開発部に属し、さまざまな商品に携わってきました。その過程で、たとえば漢方原料が土地土地で少しずつ性質を変えること、四季のうちでも変わることを知り、やがて人間の心身そのものが気候風土に大きく影響を受けていることに深い興味を持つようになりました。中医学を学び、国際薬膳調理師の資格も獲得、いまもまた新たな活動を続けています。
1年に二十四めぐる「節気」のありさまと養生について、隔週でここ熊本からメッセージをお送りします。
【田野岡メソッド/二十四節気のかんたん養生】7月編(上)
入梅、いよいよ梅雨入りです
いまの暦は「芒種」。今年は6月5日~20日の期間になります。芒種の「芒(のぎ)」とは稲などの先にある突起の部分のことを指し、「芒種」とはそうした穀物の種を蒔くころのことを指します。
麦の刈り入れが終わると田植えが始まり、季節が移っていきます。緑だった梅がだんだん黄色くなり、梅干しづくりに適してきます。次の暦は「夏至」です。梅雨の雨が気になるところですが、暦のうえでは日の出から日没までが最も長くなる“夏の頂点:夏至”の一歩手前です。
梅雨の季節に入る日である“入梅(にゅうばい)”。今年は6月10日でした。前回までに、肝・心・脾の機能のお話をさせていただきました。梅雨の季節に特に気遣ってあげたいのは、湿をあまり得意としない“脾”の機能です。身体の中の“湿”を取る働き、あるいは身体の水をめぐらせる働きを摂り入れてみましょう。
注目していただきたいオススメは、ソラマメと、とうもろこしのひげ
ソラマメの旬は桜が咲いた2ヶ月後と言われるそうです。今年の桜は例年よりも少しだけ遅かったので、ちょうど今頃が旬のようですね。ソラマメは、消化機能を健やかにして身体に停滞している湿を取ると言われています。今回はポテトサラダに入れてみました。さやを開くとベッドのようなふかふかの綿に大事に包まれているソラマメは、梅雨の時期の身体に嬉しい本当にピッタリの食材と感じます!
食材には温める・冷ますのように、摂取した際に身体にどのように働くかの性質があります。ソラマメは「平性」と言って、温める派・冷ます派のどちらにも属さない派です。梅雨時期ですので、温・寒ではなくて「おなかを健やかにする」「湿を取る」の働きが旬の自然からのプレゼントになるのですね。
もうひとつ、とうもろこしのひげもご紹介しましょう。ひげをお茶にすると水の巡りを促します。細かく刻んで食べてもいいと言われますが、おすすめはお茶です。
黒いところを落とし、蒸す、またはレンチンして火を通し、乾燥させてからお茶にします。お鍋にお湯とひげを入れて煮立て、ペーパーで越して飲むことが多いのですが、ティーバックに入れてもいいです。火を入れて乾燥させることで薬効が増すと言われています。
いちど蒸してから乾燥させるのが薬膳の知恵です
山芋も当てはまるのですが、「いちど蒸してから天日で乾燥させる」と食材が持つ薬効が濃縮されると言われます。山芋は「山薬(さんやく)」と言われる気を補う嬉しい生薬になりますが、やはり山芋をいちど蒸して干して使います。みかんの皮も同様です。気を巡らせる代表選手のような存在の「陳皮(ちんぴ)」も、みかんの皮を蒸してから干します。
「いちど蒸してから乾燥させる」。以前、大根で行ったことがありました。大根を蒸してから干すと、大根の持つ甘みがギュッと濃縮されて、「こんなに甘さがあるのか!」と驚くほどでした。1日干しても少し柔らかさの残る、ぬれせんべいのような感じですので、干した当日でしたらそのまま食べることも出来ます。スープやおかゆに入れたり、お味噌汁に入れたりするのもおススメです。保存するのであれば、天日干しした後、冷凍庫で保存してくださいね。野菜を「いちど蒸してから乾燥させる」、もともとその時期にしか取れないものを1年の間、生薬として使うための知恵と考えると「なるほど!」と思ったりもします。
今回は、とうもろこしの風味を感じたくて、ひげと一緒に皮・軸も使って煎じてみました。とうもろこしの軸は特によい出汁が出ます。とうもろこしご飯を炊くときには、一緒に入れて炊くのも良いですよ。とうもろこしの青臭さが少し気になるかもしれない…と思い、梅シロップで作った梅の実を一緒に入れてみました。梅の実は「生津(せいしん)」という身体の中の体液を生み出す働きと、「化痰(かたん・けたん)」という水の巡りの滞りを解消してくれる働きがあります。とうもろこしのひげの「利水(りすい)」という身体の水の巡りを良くする働きをしっかりとサポートしてくれる組合せですよ。そして…美味しいです!
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