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「富士山噴火の歴史から見る被害とは」3時間で首都機能が麻痺【池上彰の未来予測・後編】

OTONA SALONE / 2024年7月13日 12時31分

変化の激しい時代を生き抜かねばならない子供たちを育て、

遠い未来だった「老後」が少しずつ現実味を帯びてきているオトナサローネ読者にとって、

自分たちの将来はもちろん、子供たちが生活する未来の姿を想像するとなおさら不安が押し寄せます。

 

そんな永遠に解消されないような不安の中で生きている私たちに、よりどころとなるような未来のお話があります。

新刊『池上彰の未来予測 After 2040』(主婦の友社刊)で、池上彰先生がつづっている未来の話から、

自分たちが、日本が明るい未来を迎えるためには、今後どう行動していけばいいのかを、一緒に考えていきましょう。

「未来はこれから創るものです。そう悲観的にならなくて大丈夫ですよ」。帯に掲げられた、池上彰先生のこのメッセージに心が少し救われます。

 

 

火山灰に村が埋もれる?時速100㎞のマグマ?富士山噴火の歴史から見る被害とは

その歴史を振り返れば、富士山噴火は実際に起こるのだという現実を突きつけられる。

 

「富士山は数万年前から火山活動を繰り返してきました。記録に残っている最も古い噴火は奈良時代末期の781年で、平安時代にも6度ほど噴火したとみられています。

 

富士山の大噴火で最も直近のものは、江戸時代の1707年12月(旧暦11月)に起きた「宝永大噴火」です。それから300年以上噴火がないのは異例のことで、火山学者は危機感を強めています。

 

この宝永大噴火も、噴火の4年前に関東地方での「元禄地震」、49日前に南海トラフでの「宝永地震」が起きた後に噴火をしています」

 

今すでにいかに危険な状態なのかを過去が物語っている。またその火砕流や火山灰などの被害状況の大きさも気になるところだ。

 

「宝永大噴火では、大量の火山礫れきと火山灰が噴出しました。日本上空には偏西風が吹いているため、富士山の西側よりも東側に灰は降り積もります。。火口の東側には、「宝永山」という山がありますが、最新の研究で、火山噴出物が堆積してできた山だとわかってきました

 

山をひとつ作ってしまうほどの火山噴出物、その被害規模の大きさがうかがえる。

 

▶▶▶江戸時代と同じ被害が、この令和の時代に起こったら……

火山灰の影響によりインフラ機能がダウン

過去の歴史から想像しうる被害を現代に当てはめると、こんなことが考えられる。あらかじめ、リスクを知っておくことで、できる備えを今から始めましょう。

「宝永大噴火では、江戸の町にも火山灰が大量に降り注ぎました。

 

徳川家に側近として仕えた新井白石が書いた自叙伝『折たく柴の記』には、江戸でも地鳴りと地震が続き、富士山からの降灰で町は昼間でも薄暗くなり、みんな傘を差して提灯をつけて歩いたこと、多くの人が咳に悩まされたことなどが記されています。火山灰は、小田原や鎌倉で16㎝程度、江戸でも数㎝ほど降り積もったとみられています。

 

現代は街中至るところに精密機器などがあります。降灰の被害により、富士山の東側である羽田空港と成田空港は、使えなくなるでしょう。自動車も、火山灰が10㎝積もると走行できなくなります。鉄道に至っては、火山灰が0・5㎜積もっただけで運行が停止するとみられています。火山灰が少しでも積もれば、その鉄道運行システムに障害が出る恐れがあるのです。

 

火山灰が雨を含んで電線に付着すると、停電が起きる可能性もあります。
携帯電話の基地局などにも、きめの細かい火山灰が付着して、使えなくなる可能性があります。Wi–Fiも電話もつながらなくなり、通信が途絶するかもしれません。

 

国の検討会のシミュレーションでは、富士山の噴火で都内では火山灰が最大10㎝積もり、3時間ほどで首都機能が麻痺する恐れがあるとされています。

 

こうした事態に備えて、東京都も富士山の火山灰を除去する計画を作成中です。

 

個人の備えとしては、火山灰は呼吸器系や目などにも被害を与えますから、災害対策グッズにマスクやゴーグルを入れておくといいでしょう。また家の換気口につける防塵フィルターを準備しておくのもいいかもしれません」

 

富士山噴火だけでなく、地震大国でもある日本は、常に天災と隣り合わせである。悲観的にならざるをえないが、それでも、日本で生活をしていくうえでは、リスクを知り正しく備えること、が未来を希望あるものに変える唯一の方法なのかもしれない。

 

「南海トラフ」「スーパー台風」……さらなる災害と未来予測も

また書籍では、「『スーパー台風』が毎年のように日本を襲う」や「夏の甲子園はなくなり夏は日没後に外出する生活になる」などの未来の災害予測を踏まえて、日本人が最低限知っておくべき備えや知識についても紹介している。六本木ヒルズの地下には、巨大な倉庫があり、約10万食の食料や毛布、簡易トイレ、紙おむつなどが備蓄されています。災害時に逃げ込めば、これらが提供されるという都市伝説のような本当の話も!

 

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『池上彰の未来予測 After 2040』(池上彰著/主婦の友社刊)

<著者プロフィール>

1950年、⻑野県松本市⽣まれ。慶應義塾⼤学卒業後、1973年にNHK⼊局。報道記者としてさまざまな事件、災害、消費者・教育問題などを担当。1994年からは11年にわたりニュース番組のキャスターとして「週刊こどもニュース」に出演。2005年よりフリーのジャーナリストとして執筆活動を続けながらテレビ番組などでニュースをわかりやすく解説し、幅広い⼈気を得ている。また、5つの⼤学で教鞭をとる。『池上彰が⼤切にしているタテの想像⼒とヨコの想像⼒』(講談社)『池上彰のこれからの⼩学⽣に必要な教養』(主婦の友社)など著書多数。

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