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40代女性が「更年期かも」と思ったら「最初にしたほうがいいこと」って?女性ヘルスケア専門医に聞く(前)

OTONA SALONE / 2024年8月16日 11時40分

明るいお人柄と、軽快な語りからあふれるポジティブなオーラに、「お話するだけで元気を分けていただける」とファンも多数の産婦人科医・小川真里子先生。このたび福島県立医科大学 ふくしま子ども・女性医療支援センターでの診察をスタートされました。
長年に渡って更年期のトラブルに向き合ってきた小川先生に、改めて「更年期という時期だからこそ気を付けたいこと」を伺いました。

それでも更年期障害で「婦人科を受診しにくい」理由は何なのでしょう?

長年に渡り、秋桜(コスモス)外来というすてきな更年期外来を手掛けてきた小川先生。いまや更年期障害での受診は珍しくないと感じるそうです。
「ですが、みなさん昔もいまも深く悩んで来院なさいます。仮に受診のハードルは下がったのだとしても、更年期という時期の悩みが軽くなったとは思っていません。たとえば働く女性ならば『仕事に支障があって困っている』と、本当に悩み抜いて来院します。相談する相手がいない上、仕事にどんな影響が出るかわからないので症状を隠したいというケースもまだまだ多いのです」
仕事の場でほてりや汗に恥ずかしさを感じ、緊張してしまうため不安が強くなるケースや、発汗のせいで睡眠の質が下がり、日中に眠気が残るせいで仕事に支障が出るケースなどもまだまだ数多く相談を受けると言います。
「振り返ってみると、更年期障害で受診するのは働いてる女性の割合が多めです。もちろん専業主婦もいらっしゃいますが、家にこもって誰にも悩みを話せないという主婦の割合は少しずつ減り、そのかわりに働く女性が増えました。例えばですが、他人といっしょに職場にいるからこそ、発汗の悩みが表面化してきたのだと思います」
また、地域差の実感もあります。地方だとそもそもお産だけを手掛ける産婦人科しかなく、更年期症状ではなかなかかかりにくい例もまだまだあるのだそう。
「思い詰めて来院なさる方が結構多いのは、そうした受診機会のハードルが残るせいかもしれません。まずは仕事に行けなくなる前の、『少し辛いな』くらいで受診を考えてほしいのです」
「障害」の定義は「生活に支障があること」だからと、そのレベルまで一生懸命がんばってしまう人が多いのですが、がんばらなくていいのです、と続けます。
「ほてり、汗は『苦痛』なのだと感じていいのです。夜、汗で目が覚めるなら『苦痛』ですから来院していただきたいし、更年期のことで悩みがあるならそれも『苦痛』、来院に値するのです。ただし、同じ汗でも、汗がつらくてお友達と外出がおっくうなど、苦痛があるなら更年期障害ですが、辛くないなら障害ではありません。受診せねばならないとも感じなくていいのです」

更年期障害を「予防」するためには、早めに対策を始めるべきですか?

最近では更年期の予防意識が高まり、40代に入るやいなや、更年期準備に何をすればいいか情報収集を始める人が増えつつあります。
「予防的な受診は確かに増えています。オススメは区市町村の婦人科検診を活用した相性のいいクリニックを探しです。検診の案内が届いたら、近隣の産婦人科を何か所か受診して、そろそろ更年期が不安なのですがと相談してみてください。気の合う先生を見つけておくことが更年期前の準備にはいちばんです」
更年期が近づいてきたら、血液検査なども頻繁に受けて、ホルモン値をチェックしたほうがいいのでしょうか? その場合、何歳くらいから意識するのが正解なのでしょう。
「採血して数値を測ってくださいという方もよくお見えになりますが、更年期かどうかは採血では決められず、むしろ月経の乱れが重要な目安です。月経が乱れる前は採血しても更年期の診断に至らないと思ってください、ですのでそもそも予防的な受診は不要です。年齢関係なく、月経が乱れて不調が出てからでOKです」
とはいえ、この症状が果たして更年期なのか何なのか、判断つかないというときは来院していただくといいそうです。
「治療を受けることそのものはいいことなのですが、昨今は更年期を少しでも軽く乗り切りたいという意識が高まるあまり、40代に入るやいなや不調や症状を探してしまう気配があります。リストの不調に何個当てはまるからきっと私は更年期だ、と先手を打って症状を探してしまうのです。しかし、リストの条件に当てはまるから更年期と決まるわけでもないんですね」
更年期障害は除外診断といって、更年期の時期にみられる不調について、その不調の背後に他の疾病が隠れていないことを一通り検査し、なにも異常がなかった場合に診断します。月経が乱れていない場合は更年期である可能性はまだまだ低く、医師も依頼されれば採血はするものの「違うだろうな」とは感じているそうです。
「日本の健康保険では予防的な医療はできないうえ、月経が順調にある間はHRTを行ってもあまり意味がありません。エクオールなど大豆イソフラボンサプリメントは飲んでもいいのですが、大豆イソフラボンのエストロゲン様作用は弱いので、まだホルモン分泌がある段階ではあまり変化は感じないのではと思います。将来の更年期症状の予防になるというエビデンスも現状はありません」
むしろ、食事の栄養バランスに気を付け、夜たっぷり睡眠をとり、また今のうちに運動習慣をつけることのほうが重要なのだそう。
「この場合、ビタミンBやCはあまり更年期症状とは関係ありません。飲むなら骨粗鬆症予防も兼ねてビタミンDがよいでしょう」
もうひとつ大事なのは、前述のとおり、更年期障害を感じるからといって、必ずしも受診をしなければいけないというわけではないこと。「受診しない自由」もあるのです。更年期だから病院に行かないとならないと強迫観念は持つ必要もありません。

 

≪OTONA SALONE編集長 井一美穂さんの他の記事をチェック!≫

 

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