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東大の先生にとって「学生」と「マナー」は取るにならない。1泊2日の講義で気づいたこと

OTONA SALONE / 2024年8月23日 11時0分

さんきゅう倉田です。元国税局職員の芸人として話を聞かれるたびに「異色の経歴ですね」などと言われていました。

「異色」。

その特殊さゆえに、テレビやラジオ、講演、執筆の仕事を賜ることができます。依頼者を裏切らないだけの知識があり、発露することも不得手ではないことが相手の満足の要件ですが、なんとかこれまで続けることができました。

そんな中での東京大学の受験。3回目で合格。今は2年生。経歴がどんどん複雑になっていきます(ちなみにワインエキスパートも持っている)。

芸人としての仕事を続けながら東大の講義を受けていますが、優先すべきは目の前の学び。講義は全く休んでいません。先生や学生から得た学びは、自分の思考を豊かにするし、仕事にも活かせると考えています。

ただ、講義の全てがすばらしいわけではないし、東大の先生たちが必ずしも優れているとは限りません。不合理だなと感じることもあります。どれだけ賢くても、研究をずっと続けていて思考が鋭敏でも、良い選択ができないことがある。

 

1泊2日の講義で

東大の講義には、単なる座学だけでなく、グループワークを中心としたものから、宿題として輪読が強制されるものや体育など様々な形式があります(以前は日本大学に通っていたので、比較すると全く異なる)。

夏休みに実施される講義もあれば、1泊2日で遠方に赴き、作業をすることもあります。普段と異なる環境で学びが得られると思うと胸が高鳴ります。ぼくもとある地方の山奥に行き、2日間の講義を受けました。

山を散策したり、虫を観察したり、土砂を分析したり、データについてみんなで考察したり、ご飯を食べたり、ボードゲームをしたり、花火をしたりしました(こういうときに、我々2年生は1年生に振る舞うことが多い気がします。日本大学にいたときは、先輩と知り合う機会は皆無だったので、上下のつながりがあることも東大の魅力だと感じます)。

山の中では川の流量を観測する装置を見学し、説明を受けました。装置は自然の中にあるので、カエルなどの生物が計測器に闖入することがあるようです。

「データがおかしいなと思っていたら、カエルが計測器の上にいたんです。それで計測が狂ってしまった。だから殺しました。殺さないとまた戻ってくるので」

ぼくたちは、この研究員を「カエル殺し」と呼ぶことにしました。研究のためなら命を奪うことも厭わない。研究との向き合い方の一つを学んだ気がします。

 

2日目は、川の途中に設置された大規模な装置を清掃します。数ヶ月で大量の土砂やヘドロが溜まるので、スコップなどを使ってかき出しました。学生や研究員が集っての共同作業。飛んできたヘドロにまみれながら、せっせせっせと掘り続けます。真夏ではないけれど、十分に暑い。こまめに休憩を取りながら、3時間ほど作業をしました。

長期間滞留した川の土砂は匂いがします。子供の頃水槽で飼っていた水辺の生き物が放つ匂いが当時の思い出と共に、脳内に充満します。餌が足りなくて共食いをしてしまうザリガニ、いつのまにか足が生えていたおたまじゃくし。無教養な子供の粗雑な飼育によって、かけがえのない生物を苦しめてしまったかもしれないと思うと、苦しくなります。

自分だって“カエル殺し”なのでした。

 

▶つづきの【後編】を読む▶  講習2日めに感じた東大の先生と学生の関係とは? __▶▶▶▶▶

 

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≪芸人・元国税局職員 さんきゅう倉田さんの他の記事をチェック!≫

 

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