「なんでやねん!なんで俺、おしめ替えながらプーされなあかんねん」宮川大助の介護【なにわ介護男子#7】
OTONA SALONE / 2024年9月27日 20時0分
日本を代表する夫婦漫才・宮川大助さん・花子さん。2019年に花子さんに血液のがんである「多発性骨髄腫」が発覚、今もなお闘病生活を続けています。
今年6月末に『なにわ介護男子』(主婦の友社刊)を上梓。完治しないこの病気を抱えながら生きる花子さん、そして自身の体調も芳しくない中でも懸命に支える大助さん。花子さんはそんな大助さんを「なにわ介護男子」と命名し、大変な闘病と介護の日々にもクスッと笑えるスパイスを忘れません。本連載では、おふたりのお話から、「生きる意味とは?」「夫婦とは?」を考えていきます。また、介護をする側・される側の本音にも迫ります。
放射線治療が一段落したあと、保留になっていた白内障の手術を受けた花子さん。無事に手術が終わり、退院の運びとなりましたが、そのあと、自宅での本格的な介護がスタートしたのでした。このとき、大助さんが「介護男子」としてデビューしたわけですが、長年連れ添った夫に介護されることになった花子さんはどんな気持ちだったのでしょうか? そして、その後はどのような心境の変化があったのでしょうか? そのアンサーは“おしめ交換”にまつわるお二人のやりとりから読み取れるかもしれません。
羞恥心を伴う「摘便」も、笑いさえあれば双方が「おもしろいこと」にできる
大助さんが正真正銘の「なにわ介護男子」になったのは、花子さんが原因不明のまま、右足がまったく動かなくなり、ほぼ寝たきりになってしまってから。病院では看護師さんがやってくれていたさまざまなケアを自宅で大助さんが担うことになりました。
「薬の管理やベッドから車椅子への移動、日中のおしめ交換、夜のバルーンカテーテルの挿入など、すべてを(大助くんに)お願いしなければならなくなりました。便通も気にしてくれて、ちょくちょく摘便もしてくれます。そのときも、いろいろおもしろいことがあるんですよ」
摘便とは、自然排便ができない、麻痺があるなどの理由で腹圧がかけられない、脊損や直腸機能障害がある患者さんに対し、肛門から直腸に指を入れて便を掻き出すこと。ケアされる側にとっては、苦痛と羞恥心を伴うことも多いものです。そんな摘便タイムにでさえも、「おもしろいこと」があるとは、さすが花子さんと大助さん!
「私が『ちょっと出てるみたい』と言うと、すぐにお尻を確認してくれて、『顔も出してないで。また硬いのが詰まってんちゃうか』と言いながら、手袋をはめた指で中をクチクチと探ってくれるんです。『あっ、やっぱり硬いの詰まってるわ。クランチチョコみたいなやつが』って。クランチチョコって、ちょっとかわいいでしょう。いつも笑ってしまいます」
やり方によっては直腸や肛門を傷つけてしまうこともある難しいケア。大助さんはやり方を教わったことはないはずなのに、看護師さんがやっている様子を見ていたのか、とてもお上手なのだそう。そんな大助さんに感謝の気持ちを伝えるべく、花子さんはおしめを替えてもらう際には特別な方法で感謝を伝えます。それは、おならをプッとすること(笑)。
「『なんでやねん! なんで俺、おしめ替えながらプーされなあかんねん』って。ははは、そりゃそうですね。大変失礼いたしました。車椅子に乗せてもらうときにも、私の背中を支えながら『行くで! いち、にーのさん!』と抱え上げてくれるので、ここぞとばかり、また私がプーッ! 大助くん、『なんで今やねん。ああ、大砲や。大砲くらった』って手であおぎながら大騒ぎ。二人して爆笑しています」
大変なことが多く、どうしても気持ちが暗くなりがちな介護生活。しかしながら、常に笑いを忘れない花子さんと大助さんの姿勢には、学ぶことが多くあります。そして、今こうしてお二人が笑い合いながら過ごせる日々は、あきらめずに紆余曲折を乗り越えてきた賜物でしょう。後編では、在宅介護が始まった頃の介護される側・する側の思いを取り上げます。
次の話>>>>宮川大助「あなたのうんこをじっと見つめて『これが夫婦というものだろうか』と哲学的思索にふけったこともあった(笑)」
前の話<<<<22年、心停止寸前で救急搬送されてわかった。私は漫才をしたい。マイクの前に「立ちたい」と
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