平安時代、藤原道長も「肝試し」をしていた⁉ しかも、都には「鬼」まで棲んでいたなんて、コワッ!
OTONA SALONE / 2024年8月26日 18時1分
*TOP画像/道長(柄本佑) 大河ドラマ「光る君へ」 32話(8月25日放送)より(C)NHK
『光る君へ』ファンのみなさんが本作をより深く理解し、楽しめるように、40代50代働く女性の目線で毎話、作品の背景を深掘り解説していきます。今回は平安時代における「鬼」について見ていきましょう。
◀この記事の【前編】を読む◀『「 陰キャ」にはつらすぎる集団生活。窮屈な宮中ぐらし、まひろはブレずに「自分らしく」いられるのか?【NHK大河『光る君へ』#32】』__◀◀◀◀◀
平安時代、都には「鬼」が棲んでいるというウワサがあった
当時における鬼にまつわる逸話は多く存在します。平安貴族たちは鬼をおそれ、陰陽道の秘法にすがっていたといわれています。
平安京の豪華な正門である羅城門(らじょうもん)(※1)には鬼が棲みついているというウワサがありました。源頼光(※2)は馬とともに羅城門に向かい、真相を確かめることを試みたそうです。彼は門の下で鬼に出くわし、鬼の片腕を切り落としましたが、鬼は頼光から兜(かぶと)を奪い、姿を消したという言い伝えがあります。
また、紀長谷雄(きのはせお)が鬼と双六という賭け事を朱雀門(すざくもん)で行ったという言い伝えがあります。長谷雄は文人としてだけでなく、双六が強いことで名が知られていました。彼は見慣れない男から双六の勝負に誘われ、朱雀門の2階に行きます。ちなみに、朱雀門は鬼がよく現れる場所として有名でした。
長谷尾を誘った男は鬼であると正体を朱雀門で明かしました。長谷尾は恐れたものの、鬼の誘いを受け入れ、長時間にわたるプレーの末に勝利をおさめました。鬼は美女を差し出し、「この美女に100日間さわってはいけない」と言葉を残し、立ち去ります。80日目、長谷尾が美女にふれると、美女は水になって消えたそうです。
当時、鬼にまつわるこうした逸話はいくつも存在し、多くの人たちが鬼を身近に感じていたことが分かります。鬼の存在をおそれる人びとは鬼から逃れるために一定期間にわたって外出を控えたり、反閇(へんばい)と呼ばれる特殊な歩き方をしたりしていました。さらに、目的地が凶方にならない場所に移動する方違え(かたたがえ)を行っていました。
※1 芥川龍之介の『羅生門』(らしょうもん)は日本を代表する古典文学の1つ。本書のタイトルは羅生門だが、実際の門の名前は羅城門(らじょうもん)という。
※2 源頼光は平安中期の武将。都を脅かした酒吞童子(しゅてんどうじ)という強い鬼を倒したエピソードが有名。
平安貴族も肝試しをしていた?道長の勇敢さが分かる逸話も
花山天皇の誘いを受けて、藤原道長は肝試しに参加したという逸話があります。花山天皇は貴族たちを肝試しに誘ったところ、道長が我こそはと手を挙げたそうです。彼の一声により藤原三兄弟が肝試しに参加することになります。花山天皇は道隆には豊楽院、道兼には仁寿殿の塗籠、道長には大極殿に赴くようにと命じます。兄たちはおびえて途中で引き返してきましたが、道長は大極殿の柱の木切れを持って、戻ってきました。
当時の人たちは目にみえないものについて想像をふくらませ、恐怖心を掻き立てられていました。
大きな木の影が鬼のように見えたことがある人や、鳥の声が鬼の声のように聞こえたことがある人はいると思いますが、平安時代の人たちは我々以上にこのように見えたり聞こえたりしていたようです。
当時の人たちは目に見えないものを恐れていたため、道隆や道兼といった権力者であっても肝試しは恐怖を感じるものでした。
参考文献
田村正彦、 さがわゆめこ、 グラフィオ『鬼大図鑑』金の星社 2021年
加来耕三 (企画・校正・監修)、静霞薫 (原作)、中島健志 (作画)『平安人物伝 藤原道長』 ポプラ社 2015年
≪アメリカ文学研究/ライター 西田梨紗さんの他の記事をチェック!≫
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
大河「光る君へ」で描かれた"道長の死"のその後 摂関政治が終焉を迎え、院政の時代へと突入
東洋経済オンライン / 2024年12月29日 8時20分
-
「花山法皇の娘」のあまりに"壮絶すぎる最期" 恋愛に奔放だった法皇は母子と関係を持つが…
東洋経済オンライン / 2024年12月28日 7時40分
-
藤原道長憎しのあまり、暴走し自滅した…ギリギリまで道長を追い詰めた定子の兄・伊周が迎えたあっけない最期【2024下半期BEST5】
プレジデントオンライン / 2024年12月28日 7時15分
-
NHK大河はこの史実をどう描くのか…まだ幼い「定子の息子」に対して藤原道長が行ったひどすぎる仕打ち【2024下半期BEST5】
プレジデントオンライン / 2024年12月28日 7時15分
-
87歳で死去「道長の娘・彰子」及ぼす強大な影響力 藤原実資から「狂乱の極み」と批判されたことも
東洋経済オンライン / 2024年12月22日 8時30分
ランキング
-
1「歯石取りは痛い」と疑わない人が知らない真実 最後に「すっぱいもの」を食べる人は要注意
東洋経済オンライン / 2025年1月18日 16時0分
-
2670人超が「冷え性」に悩み…最も多かった「冷えを感じる部位」とは? “冷え性対策”に苦労する人が多数
オトナンサー / 2025年1月18日 19時10分
-
3「好感しかない」「実際合理的だと思う」 カスハラに悩んだお店が打ち出した“究極の対策”に称賛の声
オールアバウト / 2025年1月17日 21時50分
-
4“正しい鼻のかみ方”ちゃんと出来てる?テッシュメーカーが伝授 ポイントは「片方ずつゆっくり」なんだって
まいどなニュース / 2025年1月18日 20時30分
-
540歳から運動不足解消は何から始めたら良いの?
JIJICO / 2018年3月30日 7時30分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください