まさか自分が「モラハラ夫」に?結婚10年目の筆者が失敗を経て「セックスレスなし」円満な夫婦関係にたどりつけた理由とは【後編】
OTONA SALONE / 2024年9月10日 18時57分
結婚生活10年。
我々夫婦は、自他ともに認めるおしどり夫婦です。周りの目には「運よく相性に恵まれた二人」と映っているかもしれません。
しかし実は、妻をはじめ私自身も、良好な夫婦関係でいられるよう努力したり工夫したりを繰り返してきました。
本項では、我々夫婦がどのようにして夫婦円満を実現してきたか、どういう工夫や失敗をしてきたのかを告白します。
「セックスレス」「不倫」「金銭問題」など、トラブルは大きく「3つの課題」を達成することで解消される可能性が高いと筆者は考えています。3つの課題とは「コミュニケーション」「コンディション」「自己受容」です。
前編では、「コミュニケーション(相手の話をよく聞く)」について解説しました。今回は、残り2つの課題について、解説いたします。
<<前のページ まずはとにかく話を聞いて「こちらを受け入れてもらいやすい状態を相手に作ってあげる」ことが大切
>>過去に一度だけ「モラ夫化」。乗り越えた方法とは
では、残り2つの課題について解説いたします。
2.コンディション(自分の状態を管理する)
お恥ずかしい話ですが、ママ友やパパ友から夫や家庭人としてしばしばお褒めいただく筆者ですが、実は過去に一度だけいわゆるモラ夫化したことがあります。
1年にも満たない短い期間ですが、当時の私は「文句を言うなら俺と同じだけ稼いでみろ」と妻に言ったことがあるのです。この時期は夫婦関係があまりうまくいっておらず、連れ添ってきた長い期間の中で、唯一我々夫婦が小さな危機を迎えた局面でした。
当時、私は「自分にはモラハラの気があったんだ……」と思い、自分自身に失望しました。そしてそんな自分を改善するために、モラハラをする人間の心理などについて勉強しました。
ところが最終的にわかったのは、私にモラハラの気質があったのではなく「当時はモラ夫化しやすい状態にあった」ということでした。
人格や性格など「性質」の問題でなく、状況や境遇など「状態」による問題であることに気付いたのです。「もともとモラハラ気質だった」のでなく、「モラ夫というバッドステイタス(ドラクエでいうところの「毒」や「呪い」のような)が付与されている状態だった」といえばわかりやすいでしょうか。
私がモラ夫化したのは、仕事のストレスが原因でした。
ですから、私がモラ夫をやめるのに必要だったのは「仕事のストレスの原因を解消すること」だったわけです。それを理解したとき、私はストレスから解放されるための手を打ちました。そしてようやくモラ夫という名のバットステイタスから解放されたのです。
こうして、妻との良好な関係を取り戻すことができました。
モラハラ行為を咎めるのは簡単です。でも、実はモラハラ行為をしているそのお相手は実はモラハラ気質というわけでなく、モラハラ行為に転じてしまうほどのストレスや攻撃性を発露するような状況や境遇に置かれているのではないか──?
こういう視点を持つと、お相手への人格否定という不毛な選択をせず、「自分たちの課題を克服するには自分ないしお相手あるいは我々の状況を変えた方がいいかもしれない」という建設的な発想を持ちやすくなる気がします。
さて、特に女性はホルモンバランスの変化に伴う気分の浮き沈みなど、フィジカル的なコンディションと併せてメンタル的なコンディションが不安定になるのを感じたことがある方が多いと思います。
女性の体調が周期的に変わるのは、ホルモンや体質など「性質」の問題。
体調の変化によりイライラしやすくなったりふさぎ込んだりするのは「状態」の問題です。
「状態」が原因で生じている不具合に対し、「これは性質が原因で起きているに違いない」と誤解した結果の悲しい夫婦のすれ違いは、実は世の中にとてもたくさんあります。
もし妻がモラ夫だった私を「あなたは最低の人間だ」のように人格(性質)を否定していたら、問題は解決に向かうどころかむしろこじれていたに違いありません。
「性質」は変えられませんが「状態」は変えられますし、調整や管理もできます。
両者の分離が妻と夫双方にとっての岐路であり、心身のコンディションを上手に管理する第一歩といえるでしょう。
3.自己受容(ありのままの自分を受け入れる)
自己受容をわかりやすく説明すると、「ありのままの自分自身を認め、受け入れてあげること」です。
自分の長所も短所も成功も失敗も、すべて等しく認めて受け入れるようなイメージです。
言葉で言うのは簡単ですが、実際にはかなり難しい作業でもあります。なぜなら誰もが必ずしも高い自己肯定感を持っているわけではありませんし、生育環境やトラウマ、脳の特性(感性や思考の癖のようなもの)により自己受容が困難なケースも少なくないからです。
コンプレックスや虚栄心などの自己顕示欲、「他人より優位でありたい」という社会的欲求や支配欲求、「あの人ばかりずるい!」という嫉妬や処罰欲求といった課題もあります。
人生経験や年齢や立場などの社会的ステージにより、達成の難易度が変わる側面もあります。
自分と他人を見比べてつい「自分はダメな人間だ……」と卑下してしまったことはありませんか?
ダメな結果になってしまうのは、あなた自身の人格や性格や能力が原因ではなく、生まれた環境や今置かれている境遇などの「状態」が原因かもしれません。
自己受容を達成するためにまず、自分の人格を自分で否定するような思考を改める必要があります。「自分は十分なパフォーマンスを発揮できない状況や状態にあるのではないか?」「毒や呪いなどのバットステイタスが付与されている状態ではないか?」という視点に切り替えるのです。
「ダメな自分でもいい」
「短所も自分の長所のうち」
「ありのままの自分が好き」
最終的にこのように思えるようになったとき、人に対して素直に謝れるようになりますし、素直な気持ちで感謝の言葉を口にできるようにもなるはずです。
良好な夫婦関係、ひいてはあらゆる良好な人間関係を築く上で欠かせない姿勢です。
>>モラハラ期も乗り越えた。筆者夫婦の“いま”
課題を克服するために
「コミュニケーション」「コンディション」「自己受容」の3つの課題を克服する上でキーワードとなるのが「感情管理」です。
たとえば夫婦でコミュニケーションを図るのに、感謝や喜びや楽しさといったポジティブな感情をセーブする必要はありません。むしろおおいに共感して夫婦一緒に前向きでポジティブな感情を楽しむのがベストです。
しかし、怒りなどのネガティブな感情をダイレクトに表現してしまうのはよくありません。ただしここで重要なのが「怒るのはいけないこと」ではなく「不適切な形で怒りを表現することがいけない」という目線を持つことです。
つまり「自己受容」です。
別に怒ってもいいのです。失敗してもいい。怒りという自然な感情や失敗をありのままに受け入れましょう。不快なことをされたら怒るのがあなたや私ですし、それが人間の自然な姿です。何も不自然ではありません。
ただし、表現方法を工夫した方が予後がいいのは明らかです。
こうして自分の怒りや悲しみや悔しさや嫉妬や後悔といったネガティブな感情をありのままに受け入れ自己受容すると、コミュニケーションの質が上がります。
大半の人間は感情が不安定な人(感情処理が得意でない人)に対して警戒心や不安感を覚えます。逆に言えば、大半の人は安定感のある人を好む傾向があります。ですから、自分の感情が安定すれば必然的にコミュニケーションの質が上がるわけです。
コミュニケーションの質が上がれば、夫婦関係が良くなるのは自然なこと。暮らしの幸福度も向上するでしょう。
ストレスが減れば体調もよくなるかもしれません。
こうして感情と環境が整備されれば、「コミュニケーション」「コンディション」「自己受容」の3つの課題の達成が円滑に進行します。
理想の夫婦関係を実現するためのロードマップが見えてくるのではないでしょうか。
筆者夫婦の“いま”
私たち夫婦が出会ったのは、かれこれ15年以上も前のことです。
私達は出会って間もなく惹かれ合い、交際開始とともに同棲を始めました。長い結婚生活では、24時間365日のほとんどを一緒に過ごしてきました。今もそうです。
確かに、付き合い始めの頃のような初々しいパッションはなくなりました。
だからといって気持ちが冷めたわけではなく、むしろ人生の苦難をともにしてきた絆や、お互いに支え合い助け合ってきた信頼関係と感謝の気持ちは、交際当時の直情的な情熱や熱烈さなどよりもはるかに尊いものです。
我が家には二人の子がいます。陽気で明るい小学校3年生の長男と、食い意地が張りすぎて最近我が家で「美食太郎」というあだ名が定着しつつある2歳の次男。
子が生まれ親になると、我々夫婦も以前のような恋人然とした関係ではなくなりました。ライフスタイルも変わりますし、お互いの立場や役割も変わります。家庭を持つことであきらめなければならないことや、我慢しなければならないこともあります。
しかし、子を授かった幸せには代えられません。
今日も家族みんなで笑いながら食卓を囲める喜びには代えられません。
人生模様はこうして徐々に移ろい、春夏秋冬のような美しさや厳しさとともに変化していくのでしょう。
一方で、私には昔から変わらないものがあります。
それは、妻の幸福を願う気持ちです。
妻の素敵な笑顔で満たされていたいという私自身の幸福への欲求でもあります。
妻も同じように、私の幸福を願ってくれていると思います。
変わるものがあれば、変わらないものもあり。変わってしまうものもあれば、変えるべきでないものもある。
「芯は揺るがないこと」
それが、紆余曲折ながらも我々が心地よい夫婦関係でいられる理由であり、四季折々と同じく人間関係の自然な営みなのだと感じる今日この頃です。
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