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40代50代「更年期だけれど、ホルモン補充療法はちょっと抵抗がある」人が「最初にすべきこと」とは?

OTONA SALONE / 2024年9月29日 20時0分

気分はモヤモヤ、汗はダラダラ。何もやらずに1日を過ごしてしまったり、ささいな一言にカチンときて過剰反応してしまったり……。閉経の前後5年、アラフィフ世代の心と体はまるでジェットコースター。これまでにない日々の不調にとまどい、焦りを感じている人も少なくないのではないでしょうか。

 

婦人科での治療のうち、西洋的な医薬品投与、「ホルモン補充療法」(HRT)ではなく、体におだやかな印象のある漢方治療で何とか症状を軽くしたい――。そう考える更年期ど真ん中のアラフィフライターが、東京・飯田橋の漢方医である新見正則先生に、漢方治療のはじめの一歩について伺いました。

 

「ホルモン治療をするのに何か抵抗がある」という人にも、漢方は有力な候補です

日本人女性の閉経平均は50~52歳ごろ。最終月経から1年経過した時点で、遡って1年前を閉経と判断します。つまり、「最近生理がないな」が1年続いたら初めて「1年前に閉経していたのね」と判断できるのです。

 

「更年期」とはこの閉経の前後5年、合計10年を指します。思春期、青年期などと同じ、誰もが通過するステージの1つです。女性ホルモンは40歳前後から卵巣機能の低下(=加齢)で分泌量が減少し始めます。それに伴ってさまざまな不調が現れるのが「更年期症状」。症状が強く生活に支障をきたすようになると「更年期障害」です。

 

さて、その更年期障害で婦人科を受診し、投薬による治療を決めた場合、いくつかある選択肢の一つが減少した女性ホルモンを補う「ホルモン補充療法」(HRT)です。エストロゲン、黄体ホルモンの2種類の女性ホルモンを経口薬や経皮剤(貼り薬、塗り薬)で補うことで、動悸や発汗などのいわゆるホットフラッシュ、イライラや抑うつ、不眠といった精神症状、肩こりや腰痛、頭痛、めまい、疲労感といった身体症状を軽減するものです。特にホットフラッシュには効果を示すケースが多いとされます。

 

メリットの多いHRTですが、既往症によって適応外の方もいますし、副作用は極めて低く抑えられているので心配ないとはいえ医薬品である以上はゼロではありません。そもそも「投薬するほどの症状ではない」人もいるほか、「医薬品を常用したくない」「HRTが体質に合わない」などさまざまな理由で、それ以外の治療を求める声は常時上がります。

 

そこで注目されるのがもう一つのメジャー治療法、漢方です。

 

「漢方」は中国伝統の「中医学」と混同されることがありますが、実は古代中国の医学を起源として日本の気候・風土に合わせて進化してきた日本独自の医学。一般に漢方薬と呼ばれる生薬またはエキス製剤を用いて治療します。いわゆる「ツムラの24番」のようなものです。

 

「これら漢方薬は更年期の症状ともとても相性がいいんです」

 

こう話すのは、オトナサローネでおなじみ、外科・免疫研究者・漢方のトリプルメジャー医である新見正則先生。

 

「生薬の原料は自然界に存在する薬用植物の葉・茎・根などを主体に、動物由来・鉱物由来のものを組み合わせて作られています。一般に漢方薬として扱われるのは、それら生薬のエキスを抽出したエキス剤。服用することで、心身への効果が期待できるというわけです。漢方治療の最大の魅力は、大きな副作用がなく、体にやさしいこと。とくにHRTで懸念されている血栓ができないという利点があり、安心して服用できます」(新見先生)。

 

漢方というと「高価なのでは」「特殊な医師だけが処方するのでは」というイメージがあるかもしれませんが、最近ではこのおだやかさに注目が集まり、婦人科だけでなく内科、耳鼻科など漢方エキス製剤を処方する保険診療のクリニックがぐんと増えました。むしろ「まったく出さない」ところのほうが少数派かもしれません。保険適用の漢方クリニックも増えており、賢く活用したいものです。

 

いまいち謎なのが「保険で処方される漢方薬」と「市販の漢方薬」の違い。本当のところは?

漢方薬というと中国のもののように思えますが、実は中国の古典的伝統医学を江戸期の日本が研究し独自発達させた、日本ならではの伝統医学体系です。医師が処方する薬と薬局で販売している薬は同じものです。

 

漢方薬は同じ処方名、たとえば葛根湯でも「医療用」「一般用」が存在します。葛根湯ならば処方(生薬の配合比率)が4通りあり、メーカーごとに採用している処方が違いますが、基本的には一般用は「3/4量処方」など「比率は同じだが含有成分量が低い」製造で安全性をより高めています。「満量処方」とあれば一般用でも医療用と同じ配合量ですが、では満量ならばよいかというと、あくまで個人の証に合わせて補うためのものなので過剰はマイナスとなり、「諸説ある」のが漢方の奥深いところです。いずれにせよ大きな副作用はほとんどなく、西洋薬との併用もできます。

 

医療用漢方製剤は148種類で、その内訳は、146種類のエキス製剤と四苓湯、紫雲膏です。このほかに187種類の生薬(煎じ薬)を組み合わせて、保険適用もできますが、通常は自費での請求がほとんどです。エキス製剤は顆粒で、例えるならばスーパーで売っているレトルトカレーのようなもの。ロットによる違いはあるものの、品質を均一にし、ほぼ同じような中身に仕上がっています。一方、生薬は手作りカレーのようなものと言えるでしょう。なお、生薬を処方してくれる医師はそう多くはありません。

 

「生薬とエキス製剤のどちらがいいとは一概には言えません。コーヒーで言えばインスタントとレギュラーだと例えられることがありますが、レストランでもおいしい店に行けばおいしいし、まずい店に行ったらレトルトの方がよほどおいしいということもあります。良し悪しは使ってみないとわかりません」(新見先生)。

 

エキス製剤(顆粒)は煎じる必要がないので、誰もが気軽に始められます。婦人科系の不調に効果があるのは「加味逍遥散(かみしょうようさん)」(24番)をメインに、「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」(23番)、「桂枝茯苓丸(けいしぶくりゅうがん)」(25番)、「桃核承気湯(とうかくじょうきとう)」(61番)の3つが患者さんの体質に合わせて選ばれます。イライラが激しい場合は「抑肝散(よくかんさん)」(54番)などがプラスされることもありますが、大体は上記4種類でほぼ対応できるそうです。

 

服用するにあたって生理周期の1カ月くらいは様子をみて、あまり効果が感じられない場合は、上記の理由で別の会社のものを試してみるのもよいでしょう。

 

 

つづき>>>更年期は「誰かに相談できれば8割治る」とも言われるが、「ちょうどいい相談相手」がたまたまいない場合は

 

 

 

≪ヘルスケアライター 野添ちかこさんの他の記事をチェック!≫

 

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