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起業に成功したIT社長「代償は夫婦の絆と熱情」。 レスと離婚は、誰にでも平等に訪れる

OTONA SALONE / 2024年9月22日 20時30分

世界でも類を見ない人口減少社会を迎えている日本は「失われた30年」と呼ばれるように、年々、経済が弱体化したことも少子化の要因となっていわれています。

 

それと同様に深刻な課題のひとつが日本人の没性交渉の常態化です。

 

25年ぶりに実施された『性機能障害の全国実態調査に関する報告』(2023)によれば、年齢別EDの有病率は50歳以上が41.7%、また性交頻度が1カ月に1回未満(1カ月間に1度も性交がない)を「セックスレス」としたところ、全体の70.4%が該当しました。日本は少子高齢化と同時に、恐るべきレス社会に突入していたのです

 

こうした社会課題について男性側の視点から執筆を続けるライター・山下あつおみ氏が、レスを抱えた夫婦問題についてレポートします。

【無子社会を考える#18】前編

ショウさんのケース  結婚と出産までの経緯

今日は、レスをきっかけに離婚されたというショウさん(仮名・47歳 : IT企業社長)にお話を伺いたいと思います。まずはどのような経緯で結婚されたのか教えていただけますか?

 

「実は、私たちは『できちゃった婚』だったんです。妻と付き合い始めて1年ほど経った時に、妊娠していることがわかりました。当時、私は30歳で妻は27歳、結婚はもう少し先のことだと考えていましたが、娘ができると知ってすぐに結婚を決めました。正直なところ、私たちの結婚生活は娘が生まれることで始まったんです」

 

 

幸せな家庭のスタートと、その後の変化

無事に娘さんが生まれてから、どのような変化がありましたか?

 

「娘が生まれた瞬間は、父親としての喜びが大きかったですね。私たちの家庭は新しい命によって一層幸せに満ちていると感じました。けれど、同時に私たち夫婦の関係は、育児に追われる中で徐々に変わり始めたのも事実です。娘が生まれてからしばらくは、妻と私の関係は完全に育児中心になり、二人の時間はほとんどなくなってしまいました。とはいえ、多くの家庭が同じかなと思い、あまり気にしていませんでした」

 

 

起業と夫婦関係の変化

その後、会社を辞めて独立したとのことですが、起業を決意されたのはどんなタイミングだったのでしょうか?

 

「娘が3歳の頃、私は33歳で起業を決意しました。長年IT業界で働いていた経験を活かして、自分の会社を立ち上げたんです。最初の数年は本当に忙しかったですね。毎日遅くまで仕事をして、休みもほとんど取れない生活が続きました。会社を軌道に乗せるために必死だったので、家庭のことは妻に任せきりになってしまいました」

 

その時、奥さまとの関係に何か変化はありましたか?

 

「そうですね、やはりお互いに疲れきっていました。私は仕事、妻は育児と家事。お互いに負担が大きく、夜には疲れ果てて会話もなく、すぐに寝てしまうという日々が続いていました。これは言い訳なのですが、私としては妻に負担をかけないように外部のサービス、例えば家事代行やベビーシッターなども利用しましたが、結果的にそれが二人のすれ違いを生んでしまいました。私は『妻の負担を軽減している』と思っていましたが、妻は『私が直接家庭に関わってほしい』と感じていたんです」

 

日々のすれ違いが夫婦関係にどのような影響を与えたのでしょうか?

 

「次第に、妻との間に心の距離が広がっていきました。私は会社の成長に全力を注いでいて、家に帰る頃には、妻も娘も寝ているという状態が続いていました。週末もほとんど仕事で潰れてしまい、家族との時間が取れなくなりました。その時は、今は忙しいだけで、落ち着いたらまた妻と娘との時間を持てるだろうと楽観的に考えていましたが、その瞬間は一度も来ませんでした。仕事が成功するほど、さらに忙しくなっていったんです」

 

 

レスの顕在化と他の女性との出会い

では今回の取材の本題ですが、レスの状態に気づいたのはいつ頃ですか?

 

「娘が生まれてから、気づけば自然と夜の営みはなくなっていました。最初はお互いに疲れているからと理解していたのですが、次第にそれが当たり前のようになり、数年が経過しても何も変わらなかったんです。妻との心の距離がどんどん広がり、家に帰ると彼女がただの同居人のように感じることが増えていきました。いつしか、仕事に集中することでその孤独感を埋めようとしていたんです」

 

その後、他の女性との関係が生まれたとのことですが、その経緯を教えていただけますか?

 

「仕事のストレス解消のためにゴルフを始めたんですが、そこで3歳年上の女性と出会いました。彼女もゴルフが趣味で、週末に一緒にプレーするうちに親しくなっていきました。彼女は私を一人の男性として見てくれたし、実は彼女も経営者だったんです。それで意気投合してしまいました。同じ共通点があることが私にとって新鮮で、家で感じられなかった『求められている感覚』を与えてくれました。次第に彼女との関係が深まり、気がついた時にはもう後戻りできないところまで進んでしまっていました」

 

なるほど、ゴルフで出会ったのですね。その関係は奥さまにバレなかったのでしょうか?

 

「そうです。私は最後まで隠し通しました。絶対にバレないことが最低限のマナーだと思っていたんです。やってることはダメですが、それでも妻を傷つけたくなかったし、家庭を壊すつもりはありませんでした。仕事も家庭もバランスを取っているつもりでしたが、実際にはそううまくいくはずもなく、心の中では罪悪感を抱えていました。でも、妻に真実を伝えて苦しませることだけは避けたかったんです」

 

 

夫婦関係の破綻と離婚に至る経緯

その結果、どのように夫婦関係が変わったのでしょうか?

 

「表面的には何も変わっていないように見えたかもしれませんが、私たちの間には確実に大きな溝ができていました。妻との会話はほとんどなくなり、家にいても二人で過ごす時間はほとんどありませんでした。私は自分の行動に対する後悔や罪悪感を感じながらも、それを隠し続けました。結果的に、私たちの関係は自然と壊れていったんです」

 

その後、離婚に至る経緯についてお話しいただけますか?

 

「最終的には、妻との間に修復不可能な溝ができてしまい、結婚して10年目に離婚することになりました。今から7年前ですね、娘が10歳のときです。もちろん離婚を避けたかったですが、お互いにもう関係を修復できる状態ではありませんでした。私は妻と話し合い、しっかりと財産分与と養育費の支払いについても合意しました。経済的な責任を果たすことが、娘や妻に対してできる最低限のことだと考えたんです」

 

しっかりと財産分与や養育費も支払っているということでしょうか?

 

「そうです。離婚後も妻と娘が幸せに暮らせるように経済的な支援は欠かしていません。また娘との時間を大切にし、会うたびに娘が成長していく姿を見ることが私にとっての大きな喜びです。私たちの離婚がどれだけの影響を与えたか分かりませんが、私は父親としてできる限りのことをしたいと思っています」

 

 

▶つづきの【後編】では、離婚が成立してから感じた「孤独感」、不倫相手との将来について、ショウさんの胸の内を聞かせていただきました。__▶▶▶▶▶

 

 

≪家庭関係研究所 山下あつおみさんの他の記事をチェック!≫

 

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