「よく噛まない人」を待ち受ける悲しい未来。「風邪をひきやすい」「すぐ疲れる」「頬がたるむ」腸の名医が教える(後編)【自律神経研究の第一人者・小林弘幸教授に聞いた】
OTONA SALONE / 2024年9月27日 17時26分
オトナサローネ読者が、「気がついたら、体も心もオバサン化してる!」なんて状態にならないために、あらゆるヘルスケアを取材しているオトナサローネ。中でも「腸活」を大テーマとして取材を進める編集部は、一般社団法人日本美腸協会主催のトークイベント『腸の力がアップする美腸食革命』に参加し、勉強してきました。
『医者が考案した「長生き味噌汁」』や『結局、自律神経がすべて解決してくれる』などベストセラーを連発する順天堂大学医学部の小林弘幸教授が登壇。「よく噛む」ことの重要性について、お話しされていました。本企画では、噛むことと腸や自律神経の関係について解説していただきます。
◀◀前のページ 「よく噛む」たったそれだけで自律神経がととのってリラックスできる!?
ウソでしょ!?噛むことで唾液量が増え、病気に対する抗体が増加!
オトナサローネ読者の皆さんは、「風邪をひきやすくなった」「疲れやすい」といったことはありませんか。噛むメリットの中でも、「ウィルスの侵入を防ぐ」ことを詳しく説明しましょう。
私たちの体には、「免疫グロブリンA(IgA)」という抗体が、血液中に流れています。IgAは、体内にウィルスが入ってきた際に撃退するミサイルのような役割を果たすもの。新型コロナウィルス、インフルエンザウィルスなどの感染症に対し、生体防衛の最前線で働いてくれるのです。
そんな中、IgAはコロナ禍でかなり減ったことが分かっています。唾液に多く含まれるのですが、マスク着用が常態化したことで唾液量が減り、IgAも減ってしまったと考えられています。
また、IgAは年齢を重ねるにつれて自然に減る傾向も。そのため、更年期あたりから体の健康に、さまざまな不具合を引き起こすようになるのです。
>>実際どれくらい噛めば効果が見込める!?
30分かかる食事を40分に。噛む回数を増やそう
腸内環境のバランスを保ち、IgAを増やすためにも、食事中に、よく噛むことを意識してください。1日100回以上噛めると良いのですが、回数を数えるのはなかなか難しいので、ゆっくり食事に時間をかけてみませんか。例えば、30分かけていた食事を40分に延ばすことで、噛む回数も増えることが研究データで明らかになっています。「そこまで食事に時間をかけられない」という人は、ガムを噛むだけでもおすすめです。
また、左右均等に噛むようにすることもポイント。両側の奥歯で交互に噛んだときが、最も唾液の分泌量が多くなり、IgAも増えることが分かっています。あまり神経質になることはありませんが、30秒の間隔くらいを目安に、左右交互に噛む習慣をつけましょう。片側だけで噛むクセがつくと片側の筋肉だけが発達してしまい、顔のバランスに悪影響が出ることもあります。
噛むことは当たり前の習慣。だからこそ、おろそかにしてはいけない
「きちんとたくさん噛む」という行為だけで、口の周りの筋肉に適度な刺激を与えることもできます。それが、アゴや頬のたるみ防止にもつながるのです。腸内環境を調整し、体の免疫力アップだけでなく、見た目の老化防止にもなるのですから、噛むことをおろそかにしてはいけません。
いかがでしょうか?
毎日忙しく、食事にゆっくり時間をかけられないオトナサローネ読者もいるかもしれません。しかし、食べることは毎日に欠かせない習慣です。腸や体が元気になり、美容にもつながるのですから、簡単にできるヘルスケアとして、「よく噛んで食べる」ことをぜひ意識してみてくださいね。
【取材協力】順天堂大学医学部 小林弘幸教授
順天堂大学医学部教授。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。 1987年に順天堂大学医学部卒業。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手などのパフォーマンス向上指導に関わる。また、順天堂大学に日本初の便秘外来を開設した“腸のスペシャリスト”。整腸に寄与する食材やストレッチを提唱。
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