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いくら偉くても、我が子には生後1カ月まで会えなかった平安時代。「出産」の幸せの裏には、誰からの不幸が!【NHK大河『光る君へ』#36】

OTONA SALONE / 2024年9月23日 16時30分

*TOP画像/一条天皇(塩野瑛久) 彰子(見上愛) 大河ドラマ「光る君へ」 36話(9月22日放送)より(C)NHK

 

平安の女たち、平安の男たちを描いた、大河ドラマ『光る君へ』の第36話が9月22日に放送されました。40代50代働く女性の目線で毎話、作品の内容や時代背景を深掘り解説していきます。

道長ファミリーから頼られるまひろ。彰子がもっとも信頼する指南役に

本放送では、まひろ(吉高由里子)が彰子(見上愛)からも、道長(柄本佑)と倫子(黒木華)からも頼りにされ、感謝される様子が描かれていました。彰子については、他の女房にはほとんど目をくれず、まひろにだけ心を寄せています。

 

まひろ(吉高由里子) 彰子(見上愛) 大河ドラマ「光る君へ」 36話(9月22日放送)より(C)NHK

 

また、道長と倫子は彰子が心を開いたのも、一条天皇(塩野瑛久)と彰子の心が交わったのもまひろのおかげだと考えています。

 

倫子が彰子に向ける眼差しは以前と変わらずあたたかなものであり、お腹に子がいる娘を心配し、母親として支えていました。道長は皇子の誕生によってどこかほっとした表情が印象的でした。

 

彰子(見上愛) 倫子(黒木華) 大河ドラマ「光る君へ」 36話(9月22日放送)より(C)NHK

 

道長(柄本佑) 大河ドラマ「光る君へ」 36話(9月22日放送)より(C)NHK

 

敦成親王の誕生後、まひろと道長が月を眺めながら寄り添うシーンにキュンとなった視聴者は多いはずです。

 

道長(柄本佑) まひろ(吉高由里子) 大河ドラマ「光る君へ」 36話(9月22日放送)より(C)NHK

 

まひろは「中宮様という月の光に 皇子様という新しい光が加わった盃は 今宵の望月のすばらしさ そのままに千代もめぐり続けるでありましょう」と、道長に話します。皇子の誕生の喜び、そして栄華をきわめる道長を祝うまひろの思いが込められています。また、この台詞には、道長のかの有名な望月の歌を思い出した人もいるのではないでしょうか。

 

 

【史実解説】彰子は道長邸で出産。一条天皇が赤ん坊と初対面したのは誕生から1カ月後

本章の最後に、彰子の出産について史実に少しふれておきます。平安時代、出産はケガレと考えられたため赤ん坊を宮中で産むことはできず、彰子は道長邸で出産しています。このとき、御座所の設備は邪気を払うため白一色に模様替えが行われました。

 

道長と倫子は彰子の出産を近くで支えていました。倫子は彰子を看護し、道長は娘と生まれてくる赤ん坊のために僧侶12人を自宅に呼び、御読経を24時間行いました。本放送にも、祈祷中は女房に邪気払いの米がまかれていましたが、実際に大量の米がまかれたそうです。

 

なお、一条天皇が敦成親王(あつひらてんのう)と初対面したのは、誕生から1カ月後でした。我が子に会うまでにこれほどの時間を要したのは出産をケガレとする見方が関係しています。

 

 

本作に色濃く描かれている…誰かの幸せは誰かの不幸

本放送では、道長ファミリーが将来に胸をふくらませ、まひろが女房として充実感を抱きながら働く姿が描かれていました。しかし、誰かが幸せを感じているとき、その裏では不幸の只中にある者が存在するのが世の常といえるのかもしれません。

 

伊周(三浦翔平)は道長派が彰子の出産を祈る中で、彰子の出産を阻むためにひとり呪詛を行っていました。彰子が皇子を生むと、伊周は権力の座からますます遠ざかるためです。

 

伊周(三浦翔平) 大河ドラマ「光る君へ」 36話(9月22日放送)より(C)NHK

 

伊周が使った呪いの道具 大河ドラマ「光る君へ」 36話(9月22日放送)より(C)NHK

 

また、ききょう(ファーストサマーウイカ)は伊周から一条天皇の心をまひろが書いた物語がとらえ、このことが彰子の出産につながったと聞かされると、心をかき乱され、けわしい顔つきに。

 

ききょう(ファーストサマーウイカ) 大河ドラマ「光る君へ」 36話(9月22日放送)より(C)NHK

 

帝は自分が書いた草子を破れるほど読んでいたのに、今はまひろの物語がいたくお好みだと聞かされれば、よい気がしないのは当然でしょう。さらに、定子一筋であった帝の心に変化が起きたと知れば、定子の心中を思い怒りや悲しみといった感情が生じるものです。

 

まひろの充実した宮仕えを快く思っていない女房も…。左衛門の内侍(菅野莉央)は赤染衛門(凰稀かなめ)にまひろに指南役を奪われたことが悔しくないのか問います。彼女自身については中宮様のおそばに仕える役目を奪われたと主張していました。 赤染衛門はまひろに不満を抱く彼女に「中宮様が 藤式部をお求めになれば致し方ないことです」と一言残し、立ち去るという大人の対応を。

 

左衛門の内侍(菅野莉央) 赤染衛門(凰稀かなめ) 大河ドラマ「光る君へ」 36話(9月22日放送)より(C)NHK

 

しかし、左衛門の内侍から「左大臣様と藤式部はどういう間柄なんでございましょう?」「ただの主従ではありませんわよね」と言われると、彼女の前では平然を装いますが、何かがひっかかったような表情を見せます。

 

本放送の最後では、赤染衛門がまひろを意味ありげに呼びとめましたが、このときの赤染衛門の表情は険しく、まひろを疑っているようでした。

 

まひろ(吉高由里子) 赤染衛門(凰稀かなめ) 大河ドラマ「光る君へ」 36話(9月22日放送)より(C)NHK

 

まひろと道長との関係は周囲に知れ渡ってしまうのだろうか。

 

 

▶つづきの【後編】では、平安時代の宮中ではシングルマザーやバツイチの女性が働いていた!?__▶▶▶▶▶

 

≪アメリカ文学研究/ライター 西田梨紗さんの他の記事をチェック!≫

 

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