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「こんなの私じゃない」「人と会いたくない」…外見の変化による「生きづらさ」とがん患者の〈アピアランスケア〉

OTONA SALONE / 2024年11月15日 7時30分

病気、あるいは治療による「外見の変化」は、想像以上の苦痛を伴います。外見が変わってしまった自分を受け入れられない、人に見られるのが怖い、病気による外見の変化で同情されるのもつらい……日常生活に大きな影響を与えています。

 

今回は、外見(アピアランス)の変化による苦痛を軽減するケア「アピアランスケア」を紹介します。

 

ヘアロス #11

「アピアランスケア」とは

「アピアランスケア」という言葉を知っていますか?

厚生労働省によると、「医学的・整容的・心理社会的支援を用いて、外見の変化に起因するがん患者の苦痛を軽減するケア」と定義されています※。

 

「厚生労働省 アピアランスケアについて」によると、「乳がん女性苦痛度TOP20」のうち60%が外見症状となっています。1位は髪の脱毛、6位はまゆ毛の脱毛、7位はまつ毛の脱毛、9位10位11位12位17位はに関するものでした。

 

便秘、口内炎、発熱等これまで医療が対処してきた副作用症状より、まゆ毛やまつ毛の脱毛など、痛みやかゆみも伴わない外見症状が苦痛度が高いという結果に。※

 

外見の変化は、外出の機会が減ったり、人と会うのがおっくうになったり、今まで通りの生活が困難になってしまいます。その苦痛を医療用ウィッグや帽子、メイクなどで軽減させ、QOLの向上を目指すことがアピアランスケアです。

 

 

※厚生労働省

 

>>具体的な変化とアピアランスケアは?

おもな外見の変化とその対応策

頭髪の脱毛

医療用ウィッグ、医療用帽子(ケア帽子)、スカーフなど

まつ毛・まゆ毛の脱毛

まつ毛貧毛症治療薬「グラッシュビスタ®」など、メイク、メガネ

爪障害

ネイルケア、ネイルカラー(急な受診や入院の際、オフできないためジェルネイルは避けた方がベター)、テーピング、ネイルチップ

 

 

決して「医療用」と名前のついたもの、「患者専用のもの」を使わなければいけないわけではありません。自分が心地よいものを選んで、少しでも自分らしく社会生活を送っていきましょう。

 

 

 

 

がん患者向けのアピアランスケアですが、「ヘアロス」かつ「爪に症状の出る」円形脱毛症と重なる点が多くあります。

 

アピアランスケアのなかでも大きく悩ます「ヘアロス」。髪を失ったときの不安や恐怖。ヘアロスは見た目に大きく影響することから、生きづらさを抱えていたり、周囲に伝えづらいためひとりで悩んでいる人が少なくないのが現状です。

 

当事者は、社会に適応するために、”普通”に見えるように、変わってしまった外見を隠す努力をしています。アピアランスケアで外見の変化を隠しても、人の目が気になる、心ない言葉を言われるのではと不安なまま過ごすなら、アピアランスケアの意味はありません。アピアランスケアをしても生きづらさを感じるのは、世間の「目」に原因があるのではないでしょうか。

 

外見が変わってしまっても、ヘアロスでも、当事者も世間も気にすることなく社会生活を過ごすことができるなら、アピアランスケアは必要ないでしょう。そのためには、多様な外見があることを知り、受け入れること。理解できないものを否定しないこと。大切なのは、同情ではなく、理解と共感ではないでしょうか。本来目指すべき社会は、努力をしなくても生きづらさを感じない社会、「自分らしく」不安なく生活ができる社会だと思います。

 

 

〈体験談〉ある日突然「まつ毛が抜けたらどうしますか?

 

>>次回から、医療用帽子、医療用ウィッグ、スカーフのアピアランスケアについてお届けします。

 

≪オトナサローネ編集部 木村美穂さんの他の記事をチェック!≫

 

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