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更年期「いちばんの問題」って何だった?「太る」はやっぱり大問題。眠れない、疲れる…どう対策する?

OTONA SALONE / 2024年9月28日 20時1分

47歳の香織さんからいただいた「更年期かな?」のご相談。45~48歳の、いわば「前期更年期」のほとんどの皆様に当てはまる迷いだと思います。

 

「気になるのは、最近気持ちのアップダウンがあること。朝起きるのがしんどいし、気持ちが落ち込むこともあり、これまでなかったイライラにもふと気がついて。これって更年期なのかな? サプリメントを飲み始めたりしたほうがいいのかな? なんて、なんだか不安になって」。

 

前編記事『47歳のママ友に「更年期の準備」を質問されたので、いまから5年に「起きそうなこと」を53歳の私が考えてみた』に続き、後編記事でも私の立場から考えてみました。

 

更年期、いろいろ言われるけれどやっぱり「太る」、というか「痩せにくくなる」

さて、「更年期は太る」と言われますが、いっぽうでエストロゲン(女性ホルモン)の分泌低下で代謝が短期にそこまで落ちることもないだろうという議論もあります。エストロゲン低下→LDLコレステロール増加→内臓脂肪増加という機序は正ですが、実際に私はまだLDL値は上がっていないのに現実問題えらく太ります。たとえば先のお正月はちょっと気を抜いたら6㎏太っていて、いやいやマテさすがに6㎏は嘘だろと自分でもあきれてしまいました。

 

身体がしんどい日があるから行動量が減っているのは事実です。身体を動かせばそこまで太らないのだと思います。ですので、自分をいたわると同時に、自分が太りやすい状況にあることを意識すべきだなと思います。

 

もうひとつ、50歳というのは人生100年時代には「まだこの倍はこの身体を使う」という最後のメンテチャンスであることもお伝えしておきたいです。50歳になった瞬間「100歳までの未来を考える」スイッチがぱちんと入ったほうがいい。

 

更年期の前半、閉経までは、イライラや怒り、気持ちのアップダウンとの闘いがありました。ここからの更年期後半は「老いていく物理身体との闘いになる」と先輩がたからは聞いていて、すでに私はそちらに差し掛かっています。

 

大問題なのは骨粗鬆症。骨はいま何とかしないともうどうにもなりません。他に早く手を打ちたいのがGSM、尿漏れなどのケア。高脂血症、高血圧など循環器まわり。これらを維持するには運動、食事の習慣がとっても大事になってきます。ここまでジャンク食を食べ、塩分をたっぷりとり、だらしなく過ごしてきた私も、いいかげん年貢を納めねばならないのです。

 

じつは、医師による更年期障害の診断は「血液検査」なしにできるのです

さて、案外知られていないことですが、更年期障害の診断には必ずしも血液検査は必要ありません。医師は問診での、年齢や症状などの判断で更年期障害と診断して投薬治療ができます。私も投薬治療のホルモン補充療法(以下HRT)のスタート時、医師はメンタル不調の訴えと、年齢、月経状況を聞き取り、エコーで子宮と卵巣の状態を確認して、血液検査なしで即日処方でした。閉経前に該当する年齢かどうか、月経の乱れが起きているかを聞き取り、エコーで子宮や卵巣に投薬リスクがないかを確認したのです。

 

「更年期はどの時点から始まるの?」「どんなサインがあるの?」「私は軽いの?重いの?」「これって更年期症状?それとも老化?」これらはほとんどの方が口にする質問です。

 

まず、更年期のスタートの一つの目安は年齢。国内での更年期の定義は閉経の前後5年で、閉経平均は52歳台ですから、47歳が大きな目安です。もうひとつ、更年期スタートの大事なサインは月経不順です。月経不順がない時点で病院を受診してもまだ治療開始に至らないケースがほとんどです。

 

困り感があるなら自己診断せず産婦人科を受診すべしですが、一方で更年期は急激に減る女性ホルモンに身体を慣らす時期でもあり、「汗が出るけど在宅勤務だしOK」と自分なりに過ごせる人まで受診を義務に思う必要はありません。実際、50代の約50%は自身の更年期症状に思い当たっていますが、通院しているのは50代の約10%というデータがあります*1。

 

「重いか軽いか」については、ここまでの取材から「もともと持っていた弱い部分の振れ幅が大きくなる」傾向を感じます。特にメンタル面は特徴的で、不眠を持っていた人は眠れなくなるし、抑うつ傾向の人は落ち込みが強くなるように思います。腰痛があった人は腰痛が出やすくなるかもしれませんし、めまいがある人もメニエールかなというような状態に見舞われがちです。

 

いずれにせよ、これらの不調をそれぞれの専門の科で異常がないか弁別してもらって、他に原因がない場合にはじめて更年期症状と判断されます。他に異常が見つかった場合の代表格、手指の関節が痛くなるヘパーデン結節は早めに整形外科医の診断を受けて早く投薬に進むことで予後がよくなることがあります。甲状腺の異常も同様です。また、ホットフラッシュはHRTがよく奏功するケースがあるので、お仕事の現場での滝汗に困る人は早めに医師に相談を。なお、従来よく言われた遺伝因について、親や姉妹の症状の強弱は特に相関を見出さないそうです。「親は頭痛に苦しんでたから」「姉は軽かったらしい」等はまったく私と関係ないわけです。

 

「老化か更年期か」については、「更年期が終わってみて症状が治まったら更年期症状」です。大きくいえば更年期症状も老化なので、もう抗おうとせず、受け入れてやりすごし、うまく共存していけるのがいいのかなと思います。

 

「子宮摘出後は閉経をどう判定するのか」。一般には血液検査で一定数値の場合に「閉経だろうと判断」します。ですが医師いわく、月経の有無で禁忌が変わる医薬品はないため、医療サイドは閉経しているかどうかをそれほど気にしないのだそう。なるほど、だから血液検査なしにHRTに入るのですね。

 

これから更年期を迎える人が「とるべき対策」って何でしょうか?

そして「事前対策」のお話。本格的な更年期に差し掛かる前に何か準備をしたい場合、まずは漢方からお話すべきでしょう。

 

漢方は症状投与の西洋医学とは違う体系にあり、体全体の調子を整えるのが目的なので病気のない状態であっても服用できます。まだ具体的に何も異常がないので病院に行くのもな、という場合、まずはドラッグストアで「命の母」からどうぞ。

 

漢方には「3大女性処方」というのがあります。桂枝茯苓丸、当帰芍薬散、加味逍遙散。その人の体質や症状で処方されるものが違いますが、更年期症状なら9割がたこのどれかが出ます。これら3処方に含まれる処方を全部カバーしているのが命の母。まず飲んでみて、手ごたえがあるならば漢方によく反応すると判断できますから、あ産婦人科で「手ごたえがあったので漢方薬にステップアップしたい」とお願いしやすくなるのではと思います。

 

なお、効いているかどうか確かめたいとき、ちょっと荒っぽいですが確実なのは「いちど飲むのを止めてみること」です。大抵の場合、やめてみるとやっぱり調子が崩れるもので、飲んでいる意義が感じられます。血中濃度を維持すべき医薬品ではやめていただきたいのですが、連用前提ではない薬局のOTC医薬品やサプリメントならばこの手は使えます。

 

漢方と並ぶのは、やはり大豆イソフラボン系サプリメントでしょう。代表格がエクオール、さらに最近注目を集めるゲニステインも見逃せません。個人的にはゲニステインのシャープさが好きです。大豆イソフラボンは女性ホルモンと形状が似ているため、どんどん減っていく女性ホルモンのように振る舞ってもらうことでトラブルに対処するものです。たとえば鉄やビタミンB、Dなどを組み合わせた総合サプリメントは、仮に大豆イソフラボン感受性が低かったとしても意味があるのではと思います。

 

これら「プラスする」対策にとどまらず、日常習慣でのコツコツとした対策はそれ以上に重要です。何といっても、睡眠、運動、食事。

 

まず睡眠から、更年期に差し掛かると6割以上の人が睡眠の質の急激な低下を実感するとされます。人によって「眠りそのものが浅い」「寝つきが悪い」「夜中に何度も目が覚める」など現れ方が変わります。もともと睡眠に自信のある人以外は大抵何か出るので、熟眠できなくても必要な睡眠が取れるように早寝早起きかつ長く寝られる環境を整えてください。子どもがある程度大きいならもう朝ごはんもお弁当も自分でなんとかしていただき、ママは8時まで起きなくてもいいくらいです。あるいは、夜できれば11時に寝る前提で退勤を早めてもいいくらいです。そんなの無理って思うと思いますが、そのくらい何かを合理化せねば身体が持たないのです。

 

続いて運動。特に過去何度も運動習慣の獲得に失敗してきた人は、これがもう人生最後のチャンスと真剣に捉えて生活習慣に組み込んでほしい。理由は2つ、まず更年期は自分に自信がなくなるレベルで太ります。食事量を減らしてもそれを上回る代謝低下があるのではないかと実感があります。もう1つ、更年期後半から骨粗鬆症、GSMや高脂血庄などのリスクがはね上がります。これらの対策は結局、運動なのです。運動習慣のある人のほうが更年期障害そのものが軽いというデータもあります。ですが、ここまで運動できていない人は、何度も失敗し続けてきていますよね。そこですべきこと、3ヶ月から半年くらいのスパンで1つ新しいことを始め続けてほしい。10回も始めると何かできることに落ち着くはずなので、三日坊主を恐れず、どんどん初めて止めていってほしいのです。

 

最後に食事。私はいまだに食事がジャンクですが、これはもう本当に命を取られると痛感したのが52の時でした。特に私は妊娠性糖尿病をやったので、高脂血症リスクがくるんですよね。食事を変える努力は実らないので、サプリメントを効果的に追加すること、またキウイやらナッツやら習慣に組み込めそうな置き換えを意識するようになりました。ポテチをナッツに、クッキーはキウイに変更して、ポリフェノール、繊維、たんぱく質、ビタミンDなどを意識しています。コーヒーは基本全部カフェラテにしてカルシウムを、おにぎりは鮭にしてビタミンDを、みたいな感じです。

 

長々とお話してきましたが、「更年期の入り口」で考えておくべきこととは

結論が長くなってしまいました。こんなに長く書きましたが、

 

1・「これまでと違うな」というしんどさ、異常を感じたら迷わず婦人科へ

2・でも、困った変化がないなら特別なことはしなくていい。何か対策したほうが安心するならば、サプリは取り入れるといい

3・検診を活用しつつ、安心してかかれる婦人科を探しておくといい。年に1回でいいので検査数値を1つのクリニックにまとめるのもいい

4・閉経・更年期障害はある意味通過点でしかないため、「閉経前後に起きていく身体の老化」に対する備えの時期と捉えたほうがいい

 

現場からはこんな感じです!

 

*1「更年期症状・障害に関する意識調査」 基本集計結果 (2022 )厚生労働省

 

≪OTONA SALONE編集長 井一美穂さんの他の記事をチェック!≫

 

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