1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. カルチャー

更年期は「誰かに相談できれば8割治る」とも言われるが、「ちょうどいい相談相手」がたまたまいない場合は

OTONA SALONE / 2024年9月29日 20時1分

婦人科での治療のうち、西洋的な医薬品投与、「ホルモン補充療法」(HRT)ではなく、体におだやかな印象のある漢方治療で何とか症状を軽くしたい――。そう考える更年期ど真ん中のアラフィフライターが、東京・飯田橋の漢方医である新見正則先生に、漢方治療のはじめの一歩について伺いました。

病院に足が向かない人は、まず最初に市販の漢方薬を試してみてはどうでしょう?

「漢方というと街中に点在するいわゆる漢方薬局の、比較的高額な生薬を思い浮かべる人が多いのだと思いますが、保険が効くと月数千円程度とそれほど負担感はありません。料金をなるべく安く抑えたいなら、薬局で漢方薬を買うか、保険適用でオンライン診療に対応するクリニックもおすすめです」(新見先生)

 

新見正則クリニックはカウンセリングにたっぷりと時間をかける自費診療なので、そこまで深刻ではない更年期障害の場合は、島根県にある「出雲漢方クリニック」を紹介しているそうです。

 

「私のようなカウンセリングメインの自費クリニックもあくまでもピースの一つ。標準治療に併用して組み合わせることでより打率を上げるクリニックで、とくにがんの方が多く来院されています。更年期障害でお困りの方は、まずは保険診療内の漢方薬を試してみてください。うまくいかなかったら、最後の最後の最後で、うちに来るといいでしょう」(新見先生)

 

更年期は辛いかもしれないけれど、ホルモン量の減少に身体が慣れ、いつかは必ず収まる病気です。そういった意味では深刻度は低いものの、症状をなるべく緩やかにして、心おだやかな日々を過ごしたいものです。

 

「しんどい心のうち」を気軽に話せる相手がいないなら、カウンセリング上手な医療者は強い味方

最後に、心と体は相関しているので、更年期障害には心の問題が関わっていると知っておきましょう。一説には「抱えている辛さを吐き出して共感してもらえたら8割治る」と言われるほどに、この時期のストレスは強く、しんどいものなのです。

 

ですが、話題が責任感の薄いコイバナ一辺倒だった学生時代とは違い、40代50代は異なるステージに進んだ友人たちと一定の節度を持ったお付き合いを続けていることでしょう。「突然つらい話だけを急に聞いてと頼むのには抵抗がある」というケースも大変よくあることです。たまたま周囲に話せる同僚がいる場合はラッキーですが、そうでない人もたくさんいるからこそ、この問題は根深いのです。

 

「プラスして、食うや食わずで生きてきたつい80年前までとは違って、現代人はレジリエンスがない人が多くなりました。ものごとに耐え、困難をしなやかに乗り越えていく力のことです。心の悩みを吐き出せるコミュニティや人間関係が希薄になっていることもしかり、心が病んでしまう原因が増えているのだと思います」(新見先生)。

 

カウンセリング巧者として知られる新見先生によれば、更年期世代が抱えている問題は多くは旦那さんのこと、それから、子どもや仕事など。つまり、みんな「自分のこと」ではなく、「他者のこと」を抱え込んでいるのですね。

 

これら何かしらの問題が心の闇となって、症状が悪化しているケースが非常に多いそうです。おいしいものを食べる、旅行に行く、癒しの時間を持つ……だけでは全く追いつかず、なかには「自殺したい」「会社に行きたくない」「家事ができない」と社会生活を送るのも困難になってしまうほど、負の感情を抱え込んでしまう人も。

 

「SNSで何百人も友達がいても、実は心の内を明かせる本当の友達がいなくて、みんな困っているんじゃないかな。日本は宗教もなければ、コミュニティも希薄で、核家族になってしまいましたからね」(新見先生)。

 

単に薬を飲めばいいというわけではなく、誰かに話を聞いてもらうだけで、心は軽くなり、体の症状も軽減していきます。更年期が近づいてきたら、ここまで節度を保って付き合ってきた友人たちと「もう一度ぐっと近づく」ことを意識しておくのが、現代社会を生き抜く自衛策にもなり得ます。話をできる人がいなくて、悶々とした思いを溜め込んでいくと、更年期障害はますます重くなっていきます。

 

もし周囲に話をできる人がいなければ、新見先生のようなプロを頼って、カウンセリングで心の闇を軽くする方法もあるでしょう。ギチギチに凝り固まった思考をほぐして、ゆるやかな気持ちになると、症状も快方に向かうかもしれません。

 

■新見正則医院 院長 新見正則先生

1985年 慶應義塾大学医学部卒業。98年 英国オックスフォード大学医学博士取得(Doctor of Philosophy)。2008年より帝京大学医学部博士課程指導教授。20代は外科医、30代は免疫学者、40代は漢方医として研鑽を積む。現在は乳がん患者に対するセカンドオピニオンを中心に、漢方、肥満、運動、更年期など女性の悩みに幅広く寄り添う自由診療のクリニックで診察を続ける。がん治療に於いては、明確な抗がんエビデンスを有する生薬、フアイアの普及も行う。フアイアは槐(えんじゅ)の老木に生えるキノコ。

 

 

 

≪ヘルスケアライター 野添ちかこさんの他の記事をチェック!≫

 

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください