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平安時代、「人工妊娠中絶」はすでに行われていた。恋愛体質の男女だらけなら、「意図せぬ妊娠」は当たり前!? 「避妊方法」はなかったの?

OTONA SALONE / 2024年10月1日 11時31分

*TOP画像/彰子(見上愛) 大河ドラマ「光る君へ」 37話(9月29日放送)より(C)NHK

 

『光る君へ』ファンのみなさんが本作をより深く理解し、楽しめるように、40代50代働く女性の目線で毎話、作品の背景を深掘り解説していきます。今回は平安時代における「人工妊娠中絶」について見ていきましょう。

 

◀この記事の【前編】を読む◀ 『「このままじゃ、娘から“毒親” 認定されそう」まひろが『源氏物語』の豪華版を制作する裏で、ダメ母ぶりが露呈?【NHK大河『光る君へ』#37】』__◀◀◀◀◀

恋多き平安貴族たち…恋の悩みだけでなく、「妊娠」の悩みもつきものだった!?

平安貴族の多くは恋に多忙で、社会的な地位が高い男性ほど複数の妻をもっていました。貴族の男性の中には異なる妻のもとに日々通いつめる男も珍しくなかったといわれています。

 

平安時代は“色恋沙汰の時代”といっても過言ではなく、多くの男女が恋に気持ちを高ぶらせ、心傷つき、涙を流していました。

 

また、恋に狂った男女が珍しくなかった当時、一線を超えた夜の営みをする男女は多く存在したと想像できると思います。夜の営みと切り離せないのが、妊娠問題です。出産で命を落とす女性は多く、妊娠・出産は命にかかわりました。妊娠すればお腹の子どもだけでなく、母体の命にかかわる問題といっても過言ではないでしょう。

 

 

平安時代、「人工妊娠中絶」はすでに行われていた

妊娠した女性が人工妊娠中絶を選択するケースは多々あり、こうした選択を批判する声はほとんどありませんでした。当時、人工妊娠中絶は不徳とみなされてはいなかったのです。

 

12世紀はじめに世に出た『今昔物語』には流産の方法として毒を服するという記述があることからも、平安時代に人工妊娠中絶が行われていたことが分かります。

 

当時、人工妊娠中絶は服薬によって行われました。堕胎薬は中国から輸入したもので、貴族は堕胎薬を飲んで中絶していました。堕胎薬は高価で、庶民の手には届きにくかったため、庶民は薬草を混ぜた薬で中絶していたのではないかと考えられています。

 

なお、人工妊娠中絶が広まるのは江戸時代といわれています。江戸時代は経済的な理由から人工妊娠中絶を選択する人が多くいました。また、当時において人工妊娠中絶を禁じる法律がありましたが、この法を平気で犯す妊婦や産婆が多くいたことは記録から分かっています。

 

 

「避妊」が平安時代に行われていたかは謎。コンドームが日本で使われるようになったのは江戸時代以降

平安時代、避妊が行われていたかどうかは記録がほとんどないため分かりません。また、当時使っていた避妊道具についても残っていないのかもしれません。

 

現代におけるメジャーな避妊方法といえばコンドームの使用ですが、コンドームが使われるようになったのは江戸時代後期です。とはいえ、コンドームは外国から輸入していたこともありこのときはまだ稀少で、庶民は手にできなかったといわれています。

 

平安時代における避妊方法は見つかりませんでしたが、江戸時代については多くの記録が残っています。お灸をおへそに据える身体を洗いまくる(精子を洗い流せば妊娠しないと考えられていた)などは一例です。当時は、科学的根拠がない方法で避妊を試みる人たちが多くいました。

 

参考資料

関口裕子、 服藤早苗、 長島淳子『家族と結婚の歴史』森話社 2000年

水戸計『お江戸はつらいよ』彩図社 2023年

晋遊舎『100%ムックシリーズ完全ガイドシリーズ157 日本史読本完全ガイド』 晋遊舎  2016年

 

≪アメリカ文学研究/ライター 西田梨紗さんの他の記事をチェック!≫

 

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