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私たち母親は「すべての子どもが理不尽な悲しみに直面しないでほしい」とひたすら祈っているのだと気づいた

OTONA SALONE / 2024年9月30日 12時32分

このシリーズは私のママ友からスタートして、同世代の子どもを持つママたちが「子どもと性」という難問題にどう対処していったか、次のママたちがよりよい方法を見つけ出せるように伝言していくのが目的です。文末に募集もあります、どうぞ「子どもによりよくお伝えするための事典」を目標に、みなさまのお話をお聞かせください。

【小学生の子どもに性をどう教えるか#2】後編

 

女親は「あなたが加害側に回らないように」と考えるものなのかもしれない

たとえば、こんな感じです。

 

「コウキにやりたいことが見つかって大学に進学したのに、彼女が妊娠したらどうする? 選択肢は大きく2つです。 1・彼女を中絶させる 2・責任をとって結婚して大学を中退する」

 

1の場合は相手の体を傷つけます。中絶をどう行うのか、掻把法について詳しく教えたらショックを受けていました。それだけではなく、その子はもしかして子宮が傷ついて二度と妊娠できなくなるかもしれない、それをあなたがさせてしまう可能性があります。

 

2の場合、責任をとって子どもを育てるお金を稼ぐために働かなければならないということは、自分の夢をあきらめなければならない可能性も出てくるということです。

 

こんなふうに、振り返ればリスクの話に終始しました。好きな人ができたら抱き合いたい、チューしたいと思うのは当たり前なんだよ。好きな人ができたらそういう気持ちになるんだよ、それは恥ずかしいことではないんだよ。だけど、そこには大切な相手の尊厳と、自分の尊厳、そしてリスクがあるんだよ。その大前提は「ぼくは男の子だから」なんだよ、どうしても男の子はよそのお嬢さんを傷つける可能性があるんだよ。誰かを好きなることは素晴らしいこと、尊いことだけれども、相手の人生、自分の人生を大きく左右する可能性もある、だからそこまでの覚悟を持ちなさい。

 

これが女児ならば自分の身を守る話をいっぱいしたのだと思うけれど、男児の場合は逆の話になったな、というのが話してみたあとの感想です。本人がどこまで理解してくれたかはおいておいて、母親はせいいっぱいあなたの将来を心にかけているのだということは伝わったのだと思っています。

 

その後、梅毒のニュースで確認できた。「理解できている」

その後、コウキが4年生に入ってから「梅毒が流行している」という報道が流れました。さっそくコウキは「ママ、梅毒ってなに?」と質問しにきます。これはいい機会だと思って、「梅毒というのは性交渉でうつる病気だよ。怖いのはこんなふうになっちゃうことだよ」と写真を見せました。するとコウキは「うわあ」とびっくりして「絶対こんな病気になりたくない」と。性病は感染するリスクがあるんだよ、感染するからしたくないと思う必要はないよ、ちゃんと理解していれば予防ができるよ、知識を持って気を付けることがとっても大事なんだよと伝えることができました。

 

そのとき、小2で説明したことをどこまで覚えてるか聞いてみました。すると、体のことは保健体育の授業でも習ったので覚えてるけど、私が話した現実的なことは性病リスクのことしか覚えていなかったみたい(笑)。

 

なので、改めてリスクの話をもういちどしたところ、「そうだね」と納得していました。今回は性病の話でしたからHPVワクチンの話も伝えました。男性にも助成が出るなら、相手と自分を両方とも守るためにワクチンを接種することをママは勧めたいよと。実は私も40歳のとき、9値HPVワクチンでも49歳まで有効性があると聞いて、自費で3回受けているんです。それで守れるかはわからないけれど、ワクチンで防げるがんがあるなら子どもを含めてそれは防ぎたいですよね。HPV感染による各種の症状は女性だけで防げるものだとは思えないため、余計に。

 

母親はみんな「理不尽な悲しみはできるだけ経験してほしくない」一心なのだと思う

我が家はパパが忙しすぎて、なかなかコウキと向き合う時間を取れません。ママ友のトモコさんのおうちはパパが積極的にコミットしてくれたという話をうらやましく思いました。我が家もパパが書籍を買ってきてくれたという点ではずいぶん助けてもらいましたが、コウキに夢精の話はしたものの、自慰をすっとばしていきなり性交の話してしまっているから、どのタイミングでどう伝えるべきか……それはパパにお願いできるといいな、と思っているけど、どうなんだろう。

 

今回お話をしてみて、改めて気づきました。私は自分の子どもに辛い経験をしてほしくなく、また彼の周囲にもできるだけしてほしくないと思っているのだと。よく、「人生の体験としていろいろな経験をしたほうがいいよ」と言いますが、中絶をはじめとする「理不尽な思い」はしてほしくない。

 

親のエゴで息子を抑圧してはいけないなとは思うけれど、でも、これに限らず何であれ知識を持ったうえで判断してほしいなとは常日頃思っています。中でもこの分野は、今から想像しても怖いですよね、大学に入った彼がある日「実は彼女が」と切り出すのを想像したら。やっぱり、私にとって孫になるその子どもは、不本意なタイミングではなく、望まれたときに生まれてきて欲しいと思うのです。いえ、どちらにせよ生まれてきてくれたらどんなタイミングであろうと大喜びで迎え入れて、全力で支えるとは思うのですが、でも「なるべくそうでないほうがいいな」という気持ちを伝えるのは母親である私だけだと思います。だから、この気持ちはこれからも機会があるたびに伝えていきたいと思っています。

 

また、こうして俯瞰してみると、やはり男子より女子の方がリスクが大きいのだなと改めて感じました。私は男子の親ですが、女子もなるべく具体的な話をして身を守る術を手に入れて欲しい。

 

基礎体温や排卵周期のことは私たち親世代でも知らない人が結構いますよね。若手のアスリートが基礎体温を記録したら、自分が不調な期間の波がわかるようになって、ここは無理をしても意味がないから休もう、練習を軽めにしようと判断できるようになり、結果的に故障も減ったという記事を読みました。女子は閉経まではどうしてもホルモンの影響を強く受けて生きていくので、基礎体温こそ若いうちからつけて欲しいな、基礎体温で妊娠しにくい時期をわかってるというのも自分の身を守ることになるよね。なんて思いました。

 

どうか子どもたちが幸せな青春時代を送れますように。

 

 

【編集部より】次に続くママにぜひご伝言ください。あなたはどのように「性の話」を子どもに教えましたか?アンケートで教えてください!こちらから

 

≪OTONA SALONE編集長 井一美穂さんの他の記事をチェック!≫

 

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