「長袖出した?」急に突然訪れた秋の大きな気温変化、備えるために食べておくとよいものは【田野岡メソッド/二十四節気のかんたん養生】
OTONA SALONE / 2024年10月3日 16時0分
こんにちは、再春館製薬所の田野岡亮太です。
私は研究開発部に属し、さまざまな商品に携わってきました。その過程で、たとえば漢方原料が土地土地で少しずつ性質を変えること、四季のうちでも変わることを知り、やがて人間の心身そのものが気候風土に大きく影響を受けていることに深い興味を持つようになりました。中医学を学び、国際薬膳調理師の資格も獲得、いまもまた新たな活動を続けています。
1年に二十四めぐる「節気」のありさまと養生について、ここ熊本からメッセージをお送りします。
【田野岡メソッド/二十四節気のかんたん養生】
「白露」は過ぎましたが、やっと露がおりる気温になりました
少し遅れ気味ですが、今週は「白露」のお話です。というのも、今年はあまりに暑い夏が長く、気候的に今がちょうど白露の暦に込められた状態かな…と感じているからです。
今年の白露は9月7日から21日まででした。昼夜の気温差が大きくなって、朝に露がおりるころです。草におりた露は透明ですが、光が当たって「白」と表現するところは風情ですね。空気が冷え始めるということは、いよいよ残暑の終わりも近づいてきましたね朝露が日の光をあびて白く輝く季節。ようやく秋を感じられる気候になってきました。
熊本には天草(あまくさ)という海が近くにあります。白露の暦の期間の9月に天草に行ってきましたが…やはりまだ夏の海でした。夏の間は暑さもあるので夜釣りでのイカ釣りに徹しますが、肌に接する空気から秋を感じられるようになると、いよいよ昼釣りの時期になります。熊本から少し外海に出た東シナ海で釣りをするとカンパチの幼魚(熊本ではネリゴと呼んでいます)が釣れるようになります。
秋の入り口になにより気遣いたいのは「肺」の機能です
秋に活躍したい「肺」。その機能はいくつかありますが、まず1つ目として挙がるのが呼吸の担当。西洋医学での認識と少し異なるのですが、中医学での呼吸は「肺」と「腎」の共同作業とイメージしています。もう1つ、肺がつかさどる重要な役割として「宣発(せんぱつ)」と「粛降(しゅくこう)」があります。宣発は身体の上や外に向いた作用、粛降は身体の下に向けて散布する作用です。
身体の機能の中心となる五臓について、中医学は中国の王朝に見立てたストーリーで表現することがあります。「心の機能」は君主(≒王様)、「肺の機能」は臓腑の中で一番上に位置しているので、君主の頭の上に掲げる傘とイメージします。この傘は気・津液(しんえき)、栄養、つまりエネルギーを体中にいきわたらせる役割を持っています。いちど気を上げるのが宣発、上げるだけだとなくなるので下げるのが粛降です。
「宣発」を応援する、上げる機能を持つ食べ物が、大葉、高菜、らっきょう。この季節、TOP画像にしている大葉とらっきょうを刻んで混ぜただけのシンプルご飯は相当おすすめです。驚くほどに食が進みます。
肺の応援食材は、お米、もち米、長芋、じゃがいも、かぼちゃ、シイタケ。栗が旬に入るので、上の写真の通りの栗ご飯もいいですね。前回は面取りが楽しくてかぼちゃをたくさん剥いてしまいましたが、今回は栗の皮むきが楽しくてついつい熱中してしまいました。どうやら私はこういう細かな作業が大好きみたいです。
熊本で高菜が食べられる理由も、驚くほど理にかなっているのです
再春館製薬所への通勤路に青々と育っている野菜があったので、何だろうと調べてみたところ「高菜」でした。高菜は小松菜などが属するアブラナ科の葉野菜で、主な産地は九州。高菜漬けは加工食品として道の駅などで販売されたり、とんこつラーメンのトッピング具材として使われていたり…とよく目にする常備菜です。その作用を調べてみると「宣発」に働きかける作用がありました。食材の作用を知って「この時期の肺の機能を助けてくれる大切な野菜」と認識すると、日に日に大きくなる高菜畑の横を通ることが楽しく感じるようになりました。
道の駅などで売られている高菜漬けには、白ゴマとウコンを加えてゴマ油で炒めた、少しピリリと辛い味のものもあります。白ゴマは大腸の働きをサポートしてくれますし、唐辛子は毛穴の開きをサポートするので肺の働きを助けることにつながります。黄色く見える高菜漬けはウコンの色が多いのですが、ウコンは肝の気のめぐりに働きかけてくれます。ストレスがたまってしまった時に出るストレス咳にまで作用が期待できる…と思うと、高菜漬けがとても養生食に感じられます。
熊本城主が加藤清正だったころから、熊本の地は養生、自然と身体のバランスを意識していたように感じます。熊本城の本丸には大きな銀杏の木が植えてありますが、あれも籠城に備えてのことだと言われています。私たちの再春館の名も、肥後藩主が細川重堅公の時代に創設された日本初の公立医学校で、医学を学びたい人に門戸を開いた藩校「再春館」に由来しています。自然とともに生きる土地に、私は呼ばれていま仕事をしているのかもしれません。
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