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秋分の時期に摂っておくと「いいことがある」食材は?白いもの、潤すものといえば【田野岡メソッド/二十四節気のかんたん養生】

OTONA SALONE / 2024年10月17日 18時0分

こんにちは、再春館製薬所の田野岡亮太です。

私は研究開発部に属し、さまざまな商品に携わってきました。その過程で、たとえば漢方原料が土地土地で少しずつ性質を変えること、四季のうちでも変わることを知り、やがて人間の心身そのものが気候風土に大きく影響を受けていることに深い興味を持つようになりました。中医学を学び、国際薬膳調理師の資格も獲得、いまもまた新たな活動を続けています。

1年に二十四めぐる「節気」のありさまと養生について、ここ熊本からメッセージをお送りします。

 

【田野岡メソッド/二十四節気のかんたん養生】

秋分の時期にケアしたいのは「肺」、そして「大腸」。なぜこの2つなの?

9月22日から10月7日が秋分、昼夜が同じになる期間です。少しずつ日が弱く短くなり始め、季節が冬に向かいます。TOP画像は通勤路で見かけた彼岸花です。

 

今年は秋らしさの訪れがとても待ち遠しくなるぐらい残暑が長かったですね。彼岸花が咲くころになっても陽射しは強くて、花弁のぴんと張った細い部分は…まるで日焼けしているかのように少しお疲れ気味の花もありました。まだまだ太陽の陽射しからは強さを感じますが、それでも季節は彼岸花が咲くところまで来たのだなと感じました。

 

夜空の月が人々を癒す時期とも言われています。暦の上では秋のピーク、月を見ながらゆっくり休息しませんかという時期です。そんな秋に気遣いたい腑は「大腸」です。水分を身体に摂り入れる器官ですね。

 

秋に活躍するのは肺の機能です。人の身体の中で生命活動を支えている五臓六腑という言葉を聞いたことがあると思います。肺の機能にも「臓」と「腑」に分類される機能があり、臓は「肺」で腑が「大腸」になります。この2つの機能はお互いつながっている・連携していると捉えられるので「表裏(ひょうり)関係」と呼ばれます。

 

どちらかに何かが起きると、連携する相手の側にも変化が起きる。これは悪い影響だけではなく、良い影響も変化として起きるので、秋に肺の機能をケアするということは、肺のコンディションをケアしても良いですが、大腸のコンディションをケアしても良いことになります。

 

地味なようでいて意外に活躍している影の存在、それが大腸

では、大腸はそもそもどんな働きをしているのでしょうか? 言うまでもなく、身体に水分を摂り込む働きをします。口から飲んだ水分を身体の中に摂り込むのは、胃ではなく大腸です。外気の乾燥が進んで、肌表面や粘膜など身体から水分が奪われやすくなる時期に入っていきますので、“身体への水分の摂り込み”を気遣う意識を高くしたいですね。乾燥の秋…言い換えると「腸活の秋!」に感じます。

 

水分を身体に摂り込む器官…大腸。実はおたまじゃくしには大腸の器官がありません。水の中で暮らしているので水分を吸収する器官が不要なのでしょう。これがカエルになって大気中で暮らすことが生じると、水分を吸収する器官を体内に作るようになります。これが大腸です。秋から冬にかけて大気の湿度が低い期間になり、身体から水分が蒸散しやすい時期になります。潤い肌をキープするために、粘膜を乾燥させないために、身体の内側への水分供給が滞りなく行われるように“大腸”のコンディションにいつも以上に気遣ってあげてください。

 

では、どうすれば大腸のコンディションは整うのか?大腸には腸内細菌という住人がいますので、腸内細菌の働きを整える、あるいは腸内環境を整えることが大事です。大腸にはビフィズス菌が多く存在しています。ビフィズス菌は空気を苦手とする性質があるので、口から胃を経由して小腸あたりまでの空気が存在するエリアは苦手なのですが、大腸には空気はほとんど存在していないので、ココで活動しています。ビフィズス菌の活動の原動力になるのは食物繊維です。ビフィズス菌を含めた腸内細菌のエサとなって分解されます。食物繊維はさまざまな食材に含まれていますが、大腸の機能を考えると…穀物・雑穀に含まれている食物繊維をおすすめしています。

 

なぜなら、大腸は水分を吸収する働きをしますが、大便を作って外に出す働きもします。大便は腸内細菌の死骸のかたまりでもあるのですが、その骨格は「前日の朝食に摂った食物繊維」になります。寝ている間は消化活動をしていない胃にとって、朝から嬉しく感じるのは「柔らかい、温かい」食物繊維。お米や穀物は炊飯すると水分を含むので、胃にとって消化しやすい食材に感じます。寝起きの胃に優しくてビフィズス菌も嬉しく感じる。そんな理由で、“朝一番の食物繊維は穀物・雑穀”をおすすめしています。

 

大腸のコンディションが整うと、毎朝を快便で迎えることができるようになります。中医学では「肺と大腸は表裏関係」と考えるので、大腸の状態が良くなると、肺のコンディションも連動して良くなります。秋は特に肺の機能をケアしたい季節なので、「乾燥の秋は“腸活の秋”」は中医学的にも合っていることになります。

 

スープ粥を毎日簡単に作るための工夫とは?そして大切な「あの食材」

 

毎朝、時間がない中でスープ粥をゼロから作るのは大変ですよね。おすすめの作り方としては、下準備をまとめてしておくようにしています。しいたけやしめじ、エリンギなどのきのこは安くなっているときに買って、石づきを除いてから食べやすい大きさに割いて冷凍しておきます。冷凍することで細胞壁が壊れてきのこの栄養分を摂取しやすくなります。

 

また、旬の青菜、大根・かぶの葉、小松菜、ほうれんそうなどを刻んで、生のまま冷凍しておきます。おすすめと紹介させていただいたお米は、黒米・玄米と一緒に予め炊いて、お茶碗半分量ぐらいずつをラップで包んで冷凍します。この時に一工夫な食材として…寒天を加えます。水溶性食物繊維が豊富なので腹持ちが良くなることを期待しています。棒寒天をお米3合に対して1/3本くらいが目安。水でふやかしてから一緒に炊くと、お米がつやつやして美味しく感じられる効果も期待できます。

 

寒天には「化痰(かたん・けたん)」の効能がありますので、食べた飲食物を留まらせずに次に流すという働きが期待できます。また、「軟硬(なんけん)・通便」の効能もあるので、胃・小腸・大腸をスムーズに通って快便に導いてくれることも期待できます。その結果なのでしょう、「清肺(せいはい)」の効果もあり、飲食物が滞った結果として生じた肺の熱を冷ましてくれる効能もあります。消化器系の流れを良くして、結果的に肺の機能を整える…中医学的な考えとして「面白いな」と感じるところです。

 

もうひとつ、スープ粥で大事にしたいポイントは「スープ粥のメインは“スープ”」であることです。粥というとご飯がメインに感じますが、おなかに優しいスープ粥は「スープ」を摂ることを基本としています。ただ、単純に温かい液体のスープだけだと、胃は「消化は不要」と判断して30分ほどで胃を通過してしまいます。胃袋にできるだけ長く温かいスープを留めておけるように、きのこなどの具材とおすすめの食物繊維の穀物・雑穀を入れるようにしています。胃袋はおなかのほぼ中心に位置していますので、温かい状態が長く続くと「おなかの湯たんぽ」になります。身体が冷えきっていて、ひどい生理痛を感じていらっしゃる方には試していただきたい食べ方です。

 

 

≪OTONA SALONE編集長 井一美穂さんの他の記事をチェック!≫

 

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