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秋に急激に「肌の乾燥」を感じたら。今すぐ食べておくべきものって何?【田野岡メソッド/二十四節気のかんたん養生】

OTONA SALONE / 2024年10月21日 8時45分

こんにちは、再春館製薬所の田野岡亮太です。

私は研究開発部に属し、さまざまな商品に携わってきました。その過程で、たとえば漢方原料が土地土地で少しずつ性質を変えること、四季のうちでも変わることを知り、やがて人間の心身そのものが気候風土に大きく影響を受けていることに深い興味を持つようになりました。中医学を学び、国際薬膳調理師の資格も獲得、いまもまた新たな活動を続けています。

1年に二十四めぐる「節気」のありさまと養生について、ここ熊本からメッセージをお送りします。

 

【田野岡メソッド/二十四節気のかんたん養生】

秋の味は「辛み」。でも、控えめにしたほうがいいのです、その理由は

中医学では「秋は辛みがおすすめの季節」と言われます。辛い味がいいですよ、そう言われると、不思議と「ラーメンに唐辛子を真っ赤になるまで入れる人」を容易に想像できたりします。それは…中医学の解釈からは少し外れますが、脳内β-エンドルフィンというホルモンを分泌させて気分を高めたい人かもしれません。そして、この働きは中医学が伝えたいこととは…少し異なります。中医学が「辛み」で伝えたい機能は、毛穴を開閉する働きになります。唐辛子で真っ赤になったラーメンを食べている人は、頭皮の毛穴がすっかり開いて大量の汗をかいている…そうなんです。辛みの働きは毛穴を開くことになります。

 

暑かったり湿度が高いと毛穴が開いて汗をかきます。いっぽう、乾燥を感じたり体表温が下がったりすると毛穴を閉じて体温の流出を防ぎます。毛穴は体温の調節を行う働きをしています。毛穴のもうひとつの役割として「汗で体表を潤す」という働きがあります。寒くて乾燥していると毛穴は閉じたままになるので、皮膚の乾燥はますます進んでしまいます。皮膚と肺はどちらも大気中の空気と触れていて、「潤っていると心地良い」という似た性質があるので、肺の機能は皮毛(ひもう:皮膚と髪の毛以外の体毛)の栄養を補うと中医学では捉えています。肺と毛穴は密接な関係があるということですね。

 

その延長で、「肺の変調は“毛穴”にあらわれる」とも中医学は捉えています。空気が乾燥し始める秋は、潤っていることが心地よい肺の機能にとっては嫌な季節です。また、空気の冷え・乾燥は肌にとっても嫌なことで、毛穴を閉じて体温が逃げないようにしますが、その分体表は乾燥が進みます。毛穴を適度に閉じて適度に開く、それを伝えたい言葉が「秋の味は辛み。でも、控えめに。」になります。皮膚呼吸という言葉がありますが、もしかすると皮膚、毛、毛穴は肺の機能とつながっていると考える中医学がベースとなっているのかもしれませんね。

 

秋に摂りたい意外な食材は?まさかのコレ

では、秋に摂りたい食材とは何なのでしょうか。まず、赤しそ。赤しその香りには毛穴を緩やかに開く働きがあるので、辛いという味に分類されています。続いて、からし。TOP画像は山形県を訪問した際に食べた特産の玉こんにゃくです。こんにゃくは肺・大腸の経絡に働きかける、この時期におすすめの食材です。改めて写真をよく見ると、からしが添えてあります。からしの辛みで開く作用を足すことで、肺の機能により働きかけているとも解釈できますね。

 

熊本名物からしれんこんも、白い食材であるれんこんの穴にからし味噌を詰めて、卵黄やウコンなどを混ぜた衣をつけて油で揚げたもの。ウコンの辛みと苦みで肺の宣発と粛降に働きかけている…と思うと、山形県の玉こんにゃくしかり、昔からの名物食を構成食材の働きから紐解くと、身体の健康をよく考えて作られたのだろうな…と感心します。

 

れんこんの穴は肥後藩(後の熊本県)細川家の家紋、九曜(くよう)の紋に良く似ています。初代藩主が病弱だったことを心配した寺の和尚が、「何か栄養のあるものを…」と熊本城の外堀に植えていた蓮を食べさせようとしたのがきっかけだそうです。この外堀の蓮は、加藤清正が非常食用にと植えていたものだったとのことで、やはり熊本は、昔から食養生の意識が高い土地なんだな…と感じます。

 

熊本はさまざまな食の力を感じとる文化をはぐくみ続けたのだな、と思います

熊本にいると、食材のほかにもいくつかの食文化にめぐり合うことが出来ます。日本酒に欠かせない酵母で、酸が穏やかで華やかな香りを作ることができる酵母「きょうかい9号」は熊本県が発祥の地です。また、熊本には北部と南部で異なる食文化をたどってきた名残があります。熊本県北部地域は細川藩の影響で日本酒の蔵元が多く、南部地域は海外交易を盛んに行っていた相良一族に伴う影響で焼酎文化が根付いています。それと、熊本には味噌天神という愛称で呼ばれる、日本で唯一の味噌の神の神社があります。このように、食と密接に神の力を感じ取る文化だったのだと思います。

 

写真は真西の方角に沈む太陽です。秋分は太陽が真西に落ちていきます。再春館ヒルトップではちょうど大木の向こう側に夕陽が見える頃で、業務終了後の帰宅の途につく18時過ぎにこのような夕陽に出会うことが出来ます。秋分の夕陽を見るのは今年で18回目になります。来年も健やかに19回目を見たいと思います。

 

≪OTONA SALONE編集長 井一美穂さんの他の記事をチェック!≫

 

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