55歳、小6の娘と「性」について向き合って「母としての役割を手放していく」寂しさに直面した。きっとこれが「最後に娘に教えること」
OTONA SALONE / 2024年10月13日 20時0分
30代後半から40代に出産したお母さんたちが、いま更年期を迎えています。その娘世代は思春期。一つの家の中に初潮期と閉経期が同居しているというのが現代のひとつの姿でしょう。
親がどのような世代であれ、いずれ到来するのが「性的なことを子どもに教える」シーンです。どのような行為によってなぜ受精し、どう出産に至るのか。女性や男性が固有に持つリスクとは何か。自分を、大切な人を守るため、私たちは何に気を付けるべきなのか。
教えなければならないことはたくさんあるいっぽう、「急に質問されたから心構えがなくてごまかしてしまった」「恥ずかしくて答えられなかった」という声も多いのが実情です。そんな中、意思を持って「子どもと性」に取り組んだママたちは、どのような準備をして、どのようにそのシーンを迎えたのでしょう。
【小学生の子どもに性をどう教えるか#3】前編
性の話以前に、「きちんと向き合って対話する」こと自体が母にも娘にもとっても難しい
こんにちは、メグミです。いま55歳、ここまで登場した2人のママたちのママ友です。上に高1の長女がいるので、私は2人よりもひと回りお姉さんです。
お友達のご家庭が「性教育」という難題をどうクリアなさったのか、拝読するのはとても興味深いことでした。今回、お話しませんかというお誘いをきっかけに、私は下の娘・小6のリサとはじめて性の話をしようと意気込んでいました。子ども同士もお友達ですから、2人のお話をリサに読ませてその感想を聞こうと考えました。
我が家も幼稚園時代からカブトムシや蚕を飼っていたので、2人の娘は交尾は早くから知っていました。さらに、リサは姉にくっついて姉の友人宅に遊びにいき、そこでお部屋にあるきわどいマンガを読んでいることも聞いていました。おそらく性行為については先に情報を入手しているだろう、むしろ性に快楽の要素があることのほうを中心に知っているだろう。だから、話を向けるきっかけに、他のご家庭でどんなお話をしたのかの実例はちょうどよかったのです。
その日、私は朝から何度も脳内で声のかけ方から話の進め方、娘の反応と私の応答、この答えがきたらこう言おうと「理想的な伝え方」をシミュレーションしていました。そして、いよいよ夕方になって帰宅したリサに、意を決して話しかけました。しかしリサは見たいアニメがあったようでした。
「リサ、お母さんあなたと性の話をしたいんだけど」「……? いいけど、何分くらいかかるわけ?」「30分くらいかな」「ええっ、そんなにかかるの? もうアニメ始まったし無理」。
ぶっきらぼうに断られました。が、私の意気込みは伝わり、リサはイライラした空気をまき散らしながらもテレビを消してくれました。しかし、こんどは私がその空気にイライラしてしまい、つい買い言葉で「いや、やっぱりいい」と引いてしまいました。するとリサが「えええ? いま私、せっかくその気になってテレビ消したのに??? なんだいソレ????」と、怒りだし、喧嘩別れになってしまいました。
その夜、主人に「そういう話をしようと思ったんだけど、こういう理由でできなかった。うちの場合は快楽方面の認識が強いような気がして、どう軌道修正するか私は困っている」と伝えました。「何とかしてくれ」ではなく、「困っている」と。
いつの間にか主人はリサを車で送迎する最中に話をしてくれていたようです。昨日になってリサに「明日、ママ同士でランチするけれど、いま6年生ママの間ではこういう話が話題になってるんだよ」と話したら、「あ、それ車の中でお父さんと話した」とスパっと言われました。
過去にも似たことが何度もありました。我が家はつくづく話を「こういう方向に進めよう」と思い描いた理想の方法に持っていくことができないんだな、どれだけ意気込んでもことごとくできないんだなって、がっくりしました(笑)。
パパの「あまりに要点をつかんだ」性の伝え方と、娘の意外な反応とは
気を取り直して、リサに「パパは何を話してくれたの?」と聞いてみました。すると。
人には3大欲求があります。食欲・睡眠欲・性欲です。動物の場合はまた違います、人と動物は違っていて、人間だけが性行為を繁殖とは別に行います。動物や昆虫の世界には避妊するためのピルやコンドームがありません。なぜ人間の世界ではそういうものが作られたのかというと、繁殖以外を目的に行為をするからです。自分たちを守るために薬や道具が生まれました。
完全にこの通りではなく、もっと子どもらしい表現です。そして、どこまでが主人が話したことで、どこからがリサが自分で調べたりしたことなのかはわかりません。しかし我が娘ながら「わかってらっしゃる……」と驚きました。
途中から、これはもう聞くに徹しようと感じました。すると、リサは話しているうちに興が乗ったようで、「動物ってすごいんだよ」と話し始めました。「猫はね、しゅって入ったらぱーんて弾けるんだよ」……そうなんだ?「それを引き出すときに粘膜を傷つけるんだって、だからメスは次そういう行動が起きそうになったとき痛いからやだってなる、複数回できにくいようにできているの。犬はまた違って、すごい長いんだ」。
犬はそういえば狼を改良して作り出した愛玩種だなと思い出して、へーっとリサの話を聞いて、「そういう情報はどこで仕入れたの?」と聞いたら、「え? 学校」。
どうやら、授業の調べ学習のときに、みんなで勝手に調べた様子。親としてはちょっと驚きでしたが、ひとまず動物の話からここぞとばかり「人間は子孫を残す目的以外にも性行為をする生き物である、ピルやコンドームなどガード法は生まれたけれど完全ではない、予期せぬ妊娠が起きたとき傷つくのは体も心もやはり女性側なので、女の子は特に自分を守らなくてはならない」と話をしました。しかし、リサは「そんなの知ってるよ」と軽く受け流しました。
本当にことごとく思い通りにならない話でした。我が家の場合は、姉がいるおかげか、リサもちょっと大人びた、思いがけない行動をとるタイプです。私が思う内容を教育するというより、こういう話しができる環境をキープすることのほうが大事だなと、途中で思い切りました。
ただでさえ隠されやすい話ですから、あれしちゃダメ、これしなさいと口うるさく言う親子関係のままでいると、いずれ口を開いてくれなくなるでしょう。なので、とりわけ性の話は、だんだん乗ってきて話してくれている最中にうっかり「やだ気持ち悪い」なんて口走らないよう、「ひたすら聞くに徹する」態度が重要と感じました。
つづき>>>なんで思春期の娘と母親はこれほど「かみ合わない」んだろう。私が気づいた「それほど心を悩ませなくていい」理由は
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