43歳、趣味ゼロの私がこの年で始めて挑んだ「一人で映画」。そこからみるみる「ひとり」の世界が広がっていく驚きの話
OTONA SALONE / 2024年10月28日 12時15分
日々が飛ぶように過ぎていく中、自分のあり方に漠然と迷う40代50代。まるでトンネルのように横たわる五里霧中ですが、そんな中「ほんのちょっとしたトライ」で自分のあり方を捉えなおすには、「最初の一歩」に何をしてみればいいのでしょうか。体験談をご紹介します。
■ジュンコさん
愛知県在住,45歳、病院の医局秘書。夫、大学3年と専門学校1年の娘2人の4人暮らし。仕事は8年前から始め、子育てが終わったいまは、自分のやりたいことにチャレンジ中。
【私を変える小さなトライ#8】前編
「私、何も趣味がないな」。43歳の誕生日を迎えた私が、心機一転で挑んだこと
こんにちは、ジュンコです。皆さんの体験を読んで、私もぜひシェアしたいと思って、ここ2年くらいの挑戦をお話しします。「一人では何にもできない」と思っていた私が、「一人で行動した」のをきっかけに自信が生まれて、びっくりするくらい世界が広がっていった、そんな体験です。
24歳の時に結婚して、ずっと家族中心で暮らしてきました。私の場合は娘2人に聴覚障害があったので、付きっきりで面倒を見なくちゃいけなくて、子育てがかなり大変だったんです。自分のために使える時間なんて全くなくて……。
最近になって、子どもも大きくなったので、やっと好きなことができるようになったと思ったんですが、ハッと気づいたら、「私、何も趣味がないな」って。38歳から働きには出ていたものの、家と仕事場の往復だけで、ママ友以外に友達もいない。愕然としてしまいました。
子どもも一人で出かけられるようになって、上の子が大学受験で塾に行く前に「一人でラーメン屋に行った」とか、「カレーを食べてきた」とか、ついには「一人しゃぶしゃぶに行った」なんて話を聞いていたら、「私はそんなこと、やったことない。私もやってみたい!」と思い立って。43歳の誕生日に有給休暇を取得して、「一人映画」にチャレンジしてみたんです。といっても、いつも家族で行っている、家から近い、イオンのショッピングセンターの映画館なんですけどね(笑)。
それまで友人に囲まれて暮らしてきたこともあって、一人で何かをするという経験はほぼありませんでした。だから「一人で映画を見る」ことがとても新鮮な気分で。
行こうと思い立ったときは「あの人一人ぼっちだ、かわいそう、なんて思われるのかな」なんて、どうでもいいことが気になっていました。でも、行ってみたら周囲のお客さんはほとんど一人(笑)。「なんだ、みんな一人でいろいろやっているんだな」と勇気をもらいました。
映画が終わって帰宅して、ちょっと興奮さめやらぬままお風呂に入りながら、「私も一人でいろいろできるんだ!」と達成感をしみじみと味わって。次に何をしようって考えてテンションが上がるような、不思議な勇気で満たされました。次の日からしばらくは周りの友達にも「私、一人で映画に行ってきたんだよ」って自慢しちゃいました。
「これができたら何でもできる」。大みそかの60kmウォーキングでさらなる自信が
人生初の一人映画をこんなに楽しめたことで、これまで「一緒に行ってくれる人がいないから」と諦めてきたたくさんのことがらが、一瞬で「一人でもできる挑戦のリスト」に変わりました。
いちど成功体験を得ると、人はどこまでも遠くへいきますね(笑)。なんと、その年の大みそかには、一人で「伊勢神宮初詣ウルトラウォーキング」に参加しました。歩く距離はなんと60km! 昼くらいに無人駅に集合して、そこから田んぼの中を延々と歩いて、山を2つ超えて、元旦の朝に伊勢神宮に到着するんです。最初は純粋に楽しかったのですが、そのうち休憩スポットで止まると、真冬だから本当に寒くて寒くて……。指先や足先が凍えそうになりながら、黙々と歩きましたね。寒さもあって、結構過酷だったので「早く終わってほしい」と何度思ったことか……。
道中、眠すぎて、斜めに歩いているのをスタッフさんが正してくれて、「眠りながら歩くことってできるんだな」と、発見もあったり(笑)。いつも伊勢神宮には車で行くので、内宮と外宮は近いと思っていたんですが、歩いたらこんなに離れていたんだという新たな発見がありました。ご夫婦で参加される方が多かったですが、一人参加も何人かいて、全然、淋しくはなかったですよ。
車で迎えに来てくれた家族からは、「意外とピンピンしているね」なんて言われましたが、伊勢神宮に着いたときには、くたくたに疲れ果てて、抜け殻状態でした。伊勢神宮にも参拝せずに、ゴール地点に用意されていた伊勢うどんを食べて、すぐに帰りました。
普段、娘が将棋をやっているので、将棋大会に付き添って、知らない土地に行くことが多いんですが、このウォーキングに参加した後は、数kmの距離ならもう全然、歩ける! 東京・千駄ヶ谷の将棋会館に行ったときには、明治神宮や渋谷駅のハチ公を見に、一人で散歩に出かけました。60kmという距離を歩いたことで、「あの距離を歩いたんだから、何でもできる!」って思えて、何をするにしてもハードルが低くなりました。
ここまでの前編記事ではジュンコさんの「一人映画」や「60kmウォーキング」の体験後に生まれた心の変化について伺いました。続く後編記事では「サバゲー」や「空を飛ぶ」ことに挑戦してさらに世界が広がった話を教えてもらいます。
つづき>>>「小さなトライを重ねて、経験値が上がっていく感覚が好き」。最後にはまさかの「あれ」にトライ?!
≪ヘルスケアライター 野添ちかこさんの他の記事をチェック!≫
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