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わが子から完全無視の母親。仕事や生き方さえも否定される、こじれた親子関係。実は「似たもの同士」で、分かり合える日が!?【NHK大河『光る君へ』#39】

OTONA SALONE / 2024年10月14日 15時30分

*TOP画像/まひろ(吉高由里子) 惟規(高杉真宙) 大河ドラマ「光る君へ」 39話(10月13日放送)より(C)NHK

 

平安の女たち、平安の男たちを描いた、大河ドラマ『光る君へ』の第39話が10月13日に放送されました。40代50代働く女性の目線で毎話、作品の内容や時代背景を深掘り解説していきます。

 

 

きょうだいの絆は唯一無二。惟規はまひろを思う頼もしい弟

まひろ(吉高由里子)と惟規(高杉真宙)はふたりで冗談を言い合ったり、お互いを気にかけたりと仲睦まじいきょうだいです。

 

惟規は根が暗くて、自分の心に正直なまひろに困惑させられることもあったはず……。さらには、姉が道長(柄本佑)との間に子どもを授かるのだから気を揉むことも多々あったと思います。惟規は姉の性格を誰よりも理解し、姉の心にどんなときも寄り添っていました。

 

賢子(南沙良)が裳着を終えた日、まひろと惟規はきょうだい水入らずの会話をたのしみます。

 

まひろ(吉高由里子) 惟規(高杉真宙) 大河ドラマ「光る君へ」 39話(10月13日放送)より(C)NHK

 

まひろ(吉高由里子) 惟規(高杉真宙) 大河ドラマ「光る君へ」 39話(10月13日放送)より(C)NHK

 

惟規は「姉上の裳着の時は姉上と父上の仲は最悪だったな。父上と目も合わさない姉上 怖かったよ」と懐かしみつつ、「親子って変わらないようで 変わるんだよな…。」「だって 賢子の母上は姉上だけなのだから」「きっと… みんな うまくいくよ」と、娘との関係に悩むまひろを励まします。また、まひろが道長に賢子が彼の実子である事実を伝えていないことについても誰よりも気にかけています。

 

惟規がこの世を去ったのは従五位下に叙され、赤い束帯を着られるほどに出世した時期でした。彼がこの世を去ったことはまひろや為時(岸谷五朗)、賢子といった血縁者だけではなく、いと(信川清順)にとっても悲しいものでした。

 

いと(信川清順) 大河ドラマ「光る君へ」 39話(10月13日放送)より(C)NHK

 

いとは惟規に実母のような愛情を注ぎ、彼が偉くなる日のために赤い束帯をひそかに用意するほど楽しみにしていました。また、いとは自分が育てたのだから惟規はいつの日か偉くなるという自信もありました。いとにとって惟規は我が子のように愛おしい存在だったのです。

 

賢子(南沙良) きぬ(蔵下穂波)  乙丸(矢部太郎) いと(信川清順) 惟規(高杉真宙) 大河ドラマ「光る君へ」 39話(10月13日放送)より(C)NHK

 

おおらかで、明るい惟規は多くの人たちから愛されるキャラクターでした。為時やまひろは楽観的で、寛容な彼にたすけられたことは多くあったと思います。

 

大人になった賢子が、嘆き悲しむまひろに寄り添うシーンも

本放送にも賢子がまひろに反抗的な態度をとるシーンがいくつかありました。屋敷に帰ってきた賢子は為時や惟規には挨拶をするものの、まひろを完全無視……。(反抗期の娘がいる親御さんにとって馴染みのシーンですよね)

 

賢子(南沙良) 大河ドラマ「光る君へ」 39話(10月13日放送)より(C)NHK

 

また、裳着の日も、まひろは賢子からその場にいないかのような扱いをされます。

 

まひろ(吉高由里子) 賢子(南沙良) 為時(岸谷五朗) 惟規(高杉真宙) いと(信川清順) 乙丸(矢部太郎) 大河ドラマ「光る君へ」 39話(10月13日放送)より(C)NHK

 

賢子(南沙良) 為時(岸谷五朗) 惟規(高杉真宙) 大河ドラマ「光る君へ」 39話(10月13日放送)より(C)NHK

 

「今日までお育てくださってありがとうございました。おじじ様のご恩は 忘れませぬ」と、ここにおいてもまひろはスルーです。さらには、宮仕えの話になると「母上と同じ道を 行きたくはございませぬ」と、まひろは生き方を完全否定されます。

 

為時や惟規がまひろと賢子を時々重ねて見ているように、まひろと賢子は“似た者同士”です。

 

親と子が理解し合うことは漢文を理解するよりも難しいのかもしれません。まひろも為時に似て学問を愛し、内向的で、それでいて曲がったことを嫌っていましたが、自分と似ているはずの父を理解できるようになるまで時間がかかりました。賢子についても母譲りのまっすぐな性格であるがゆえに家族から離れて暮らす母親を理解できず、複雑な思いを抱えています。

 

他人であれば気にならない言動でも親子であれば気になることもあります。それは相手を愛し、血のつながりを意識しているがゆえに、自分の“思い”や“理想”を押しつけてしまうからなのかもしれません。

 

本放送のラストでは、まひろと賢子の関係に少し変化が生まれます。

 

まひろ(吉高由里子) 賢子(南沙良) 大河ドラマ「光る君へ」 39話(10月13日放送)より(C)NHK

 

まひろ(吉高由里子) 賢子(南沙良) 大河ドラマ「光る君へ」 39話(10月13日放送)より(C)NHK

 

賢子は涙を流すまひろの背中を優しくたたき、母親と悲しみを分かち合うかのように抱きしめます。

 

惟規が「親子って変わらないようで 変わるんだよな…。」と口にしていたように、親子の変化は時の流れの中で変化します。まひろは為時の家での言動に疑問を抱き、母の死の真相を葬ったことをうらんでいた時期もあります。しかし、こうした時期は過ぎ去り、まひろは父と和解し、一家を支える立場になりました。賢子についても、涙を流すまひろを抱きしめる彼女の表情はやさしく、たくましく、母親を支える日が訪れるだろうことも予感させるものでした。

 

 

つづき▶この記事の【後編】を読む▶ 平安時代、「不倫」をしたら懲役2年ってホント!? 百人一首の女たちの中には”男に手厳しすぎる絶世の美女”や”雇い主に夫でもないくせにと言い放った女”も……。__▶▶▶▶▶

 

≪アメリカ文学研究/ライター 西田梨紗さんの他の記事をチェック!≫

 

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