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「親ガチャで職業がほぼ決まる」ガチャの結果に不満を言う人はゼロだった⁉ 【平安時代の「仕事」】

OTONA SALONE / 2024年10月22日 11時1分

*TOP画像/道長(柄本佑)  大河ドラマ「光る君へ」 40話(10月20日放送)より(C)NHK

 

『光る君へ』ファンのみなさんが本作をより深く理解し、楽しめるように、40代50代働く女性の目線で毎話、作品の背景を深掘り解説していきます。今回は平安時代における「仕事」について見ていきましょう。

 

◀この記事の【前編】『「王子様を待つだけなんてイヤ!」守られるのではなく、守る立場になりたい!「彰子」は新しいタイプのお姫様!?【NHK大河『光る君へ』#40】』を読む__▶▶▶▶▶

自分の個性や能力を考慮して、仕事を決められない平安時代

平安時代、職業選択の自由はほとんどなく、生まれたときの階層を超えることはできませんでした。また、親の仕事を子どもが継ぐケースが多く、自分の意思で仕事を選ぶ人は少なかったと考えられます。例えば、親が農家であれば子どもも農家になりますし、親が五位以上の貴族であれば子どもも同等の地位を得ます。

 

庶民の子どもはいくら優秀でも貴族と肩を並べて働くことはできませんでした。そもそも、庶民が学べる場所はなかったため、高い能力を秘めた人であってもそれに気付く機会がなかったはずです。

 

当時は出自がすべてという不平等な時代でしたが、庶民が貴族をうらむことはなかったと一般的に考えられています。むしろ、庶民は貴族について前世の善行でその地位にあると考えていたため、彼らを尊敬していました。

 

 

いつの時代も人は働かなければならない…家の繁栄のために、飯を食っていくために

平安時代は現代と比べれば仕事の種類は限られていましたが、社会はさまざまな職業に従事する人たちで成り立っていました。

 

ここでは、貴族階級の仕事と庶民階級の仕事をそれぞれ紹介します。

 

貴族

[貴族の男性]

藤原顕光(宮川一朗太) 実資(秋山竜次) 斉信(金田哲) 藤原行成 (渡辺大知) 大河ドラマ「光る君へ」 40話(10月20日放送)より(C)NHK

 

男性貴族は父や祖父の位階を継ぐのが一般的でした。ただし、申文(もうしぶみ)という今でいうところのエントリーシート(ES)を提出する就職活動のようなものも存在していました。申文には自己PRや志望動機などを書いたそうですよ。紫式部の父・為時のように思い通りにいかない人も多く、貴族であっても希望のポジションに就くのはなかなか大変だったといわれています。

男性貴族の仕事は宮中で主に働く中央官職と、越前や太宰府などで働く地方官職に分類できます。

 

 

・中央官職
宮中で働く貴族は4時頃に起きて、6時頃に帝がいる内裏に出勤していました。宮中での役割は人によって異なり、ホワイトカラーの文官とブルーカラーの武官に分類できます。文官は会議(現代でいう内閣の会合)に参加して国の運営について話し合ったり、議論した内容を記録したりします。また、儀式や行事の運営を担うこともあります。一方、武官には宮中の護衛や帝のボディーガードが含まれます。戦争はほとんどなかったため戦に行き、命懸けで戦うようなことはありませんでした。

内裏で働く位階が高い貴族たちは束帯(そくたい)と呼ばれるフォーマルウェアを着ていました。織り方や素材にこだわる人が多く、ファッションセンスを競い合っていたそう。

中央官職に就いていたよく知られている貴族には藤原実資藤原行成がいます。

 

・地方官職
貴族の中には地方に赴任し、そのエリアの政務をつかさどる国司と呼ばれる人たちもいました。今でいう、県知事のような立場です。

当時、国は大国(13カ国)、上国(35カ国)、中国(11カ国)、下国(9カ国)の4段階に分類されていました。

 

平安時代における国の格付 倉本一宏 (監修)『大河ドラマ 光る君へ 紫式部とその時代』 を参考に筆者作成

 

国司の待遇は上位の国であるほどよかったといわれています。評価が高い人や家柄がよい人に上位の国が割り振られます。中下級貴族の多くが「我こそ大国に行きたい」「中国や下国はいやだな」と思っていたそうですよ。

地方勤務は都に比べて不便なことも多く、赴任先までの旅も大変ですが、待遇はよかったようです。中下級貴族として都に残るよりも、国司として大国や中国で暮らす方が生活がゆたかだったともいわれています。

地方官職に就いていたよく知られている貴族には藤原為時藤原宣孝がいます。紫式部の父も夫も地方に赴任していた時期がありました。

 

・その他
陰陽師や芸術家、医師などの専門職

 

 

[貴族の女性]

まひろ(吉高由里子) あかね(泉里香) 宮の宣旨(小林きな子) 大河ドラマ「光る君へ」 40話(10月20日放送)より(C)NHK

貴族の女性は屋敷の奥でひっそりと暮らしていたイメージがありますが、紫式部清少納言のように外で働く女性もいました。彼女たちは帝や中宮に女房としてお仕えしていました。

女房の中には帝の秘書的な役割を担う人後宮の礼式を担う人中宮のお世話をする人物品を管理する人などがいました。

女房のワークウェアは十二単です。十二単といえば、襟元や袖口から見える数枚の袿がステキですよね。袿は季節や草花をイメージしながら組み合わせを決めていました。

なお、貴族女性の中には宮仕えをする女性だけではなく、自分の家よりも位階が高い家の女房や乳母として働く女性もいました。

 

 

庶民

賢子(南沙良) 双寿丸(伊藤健太郎) 乙丸(矢部太郎) 大河ドラマ「光る君へ」 40話(10月20日放送)より(C)NHK

 

当時、庶民は男女関係なく、生産活動に参加していました。庶民の暮らし向きは楽ではなかったため、男女ともに働かなければならなかったためです。

 

多くの男女が稲作に携わっていました。自分の田んぼで米や麦などを栽培する人だけでなく、田主に雇われて田植えなどを手伝う人もいました。

 

そのほかにも、商売薪の運搬水汲み魚介など水産物の獲得高利貸し工事、位階が高い家の雑用・使い走りなども庶民階級の人たちが従事していた仕事です。

 

また、衣服をつくるのは女性の役割で、多くの女性が夫や子ども、雇い主のために縫ったり染めたりしていました

 

 

参考文献

倉本一宏 (監修)『大河ドラマ 光る君へ 紫式部とその時代』 宝島社 2023年

川村裕子『平安男子の元気な!生活』岩波書店 2021年 

砂崎良 (著)、承香院 (監修)『平安 もの こと ひと事典』‎ 朝日新聞出版 2024年

服藤早苗『「源氏物語」の時代を生きた女性たち』NHK出版  2023年

 

≪アメリカ文学研究/ライター 西田梨紗さんの他の記事をチェック!≫

 

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