1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. カルチャー

義母の「近距離介護」ストレスでついに限界が。そんな心を救ってくれたのは「亡き父の教え」だった。「介護をスムーズに進めるために大事なこと」

OTONA SALONE / 2024年10月25日 11時16分

こんにちは。神奈川県在住、フリーライターの小林真由美です。ここ数年のマイテーマは「介護」。取材でも高齢者にまつわること(介護のほか、終活や相続・遺言など)に関わる機会が増えてきましたが、どこか他人事でした。それがしっかり「自分事」になった途端、驚くほど冷静さを失ってしまったのです。

【アラフィフライターの介護体験記】#5

 

◀◀前のページ 『「あんな怖い顔初めて見た」認知症の義母に誰かが「憑依」してる?冷たく他人行儀な態度に困惑。さらに私を限界に追い込んだ夫のひと言』

 

「もう、ムリ!! 限界!!」止まらぬ愚痴とイライラで介護ストレスMAXか?

ついに感情をコントロールできなくなった私は「もう、ムリ!! 限界!!」とけっこうな大声で叫んでいました。

 

振り返ってみると、2年前のこのときが 私の“介護ストレスMAX状態”だったのかもしれません。しかしその状態に持っていったのは、他の誰でもない自分。介護はもちろん、認知症に対する知識が乏しい中、暴走気味に突っ走り(勝手に)介護を抱え込んでいたのです。

 

介護は「実親ではなく“義理の親”だからこそできる面もある」

そもそも、お義母さんの「近距離介護」に賛成し、積極的に関わることを望んだ私。友人からは、「介護って自分の親ですら厳しそうなのに、よくできるよね」と言われることもありますが、私としては「このまま田舎での1人暮らしが続き、お義母さんの状況(体の変化など)が見えないほうがストレスかも」とさえ思っていました。さらに、「介護は実親ではなく、“義理の親”だからこそできる面もある」といった気持ちもあり……。

 

>>「義理の親だからこそできる」。そう思えたのは祖母の介護を全うした父の背中を見ていたから

感情が入り込まない関係だからこそ、冷静に介護ができる

私には、102歳で亡くなった母方の祖母がいました。クリスチャンだった祖母は、穏やかでとても心の優しい人。母も「おばあちゃんは全然手がかからないし、できる限り家で介護したい」と言っていましたが、それでも特別養護老人ホームに入居するまでの数年の間に、しんどそうにしている母の姿を何度か目にすることがありました。

 

それは、入浴や排せつなどの介助で生じることではなく、「そこに子どもがいるよ」と幻覚を訴えたり、夜中に徘徊しようとしたり……と、いわゆる認知症の症状が出たときのこと。その様子に動揺し、母が辛く悲しそうにしていたのを今でも覚えています。

 

そんな中、義理の息子である父はどうしていたかというと……。父もとても思いやりのある人で、長年同居する中で得た祖母(義母)からの信頼は厚く、自然な流れで介護に参加しているようでした。

 

たとえば、先ほどのように祖母が幻覚を訴えても、慌てることなくユーモアたっぷりに返し、夜中に徘徊しかけた祖母を連れ戻したときも、冷静に落ち着いて対応するので、祖母としても安心してベッドへ戻れたようなのです。

 

あるとき父に、「おばあちゃんへの対応、すごいね」と伝えたことがあります。すると「義理の親だと、距離があるから逆にいいんだよ。そうじゃないと、感情が入り込んで大変だからね」と言ったのです。

 

残念ながら父は昨年(2023年)、この世を去りました。今も父が生きていたら、介護のことをもっと聞いてみたかった。でも明らかなのは、父の言葉に実親を介護する母への優しさが詰まっていたことです。そして、私が「義母の介護に関わろう」と決めたきっかけにもなりました。

 

>>「認知症」診断に落ち込む義母と夫。私だけは冷静でいられた

介護には「距離感、大事」を改めて知る

 

夫曰く、私がお義母さんの介護に携わり始めた頃は、この “義理の親だからこその距離”があったことで、比較的スムーズに進められていたようです。実際に、医師から認知症と診断されたとき、夫は少なからず落ち込んでいて、その様子を見たお義母さんが夫のことを心配し、2人して口数が少なくなり、食欲も減退……といったことがありました。でも、その中に私がいたことで日々の暮らしが回り、お義母さんもだんだん元気になっていったというのです。

 

たぶん私も実の母が認知症になったとしたら、夫と同じような状態になったかもしれません。でも、お義母さんが正式に認知症だと聞いたとき、私の中に「悲しみ」の感情はほとんどなかったような気がします。(申し訳ないけれど)どちらかと言えば、「無」。

 

それが、あんなふうに感情をむき出しにするなんて……。そんな自分に驚きながらも、「このままじゃマズイよな」と思った私は、義母宅近くの地域包括支援センターへ。「困ったらいつでも来てくださいね」と名刺をもらっていた社会福祉士のもとを訪ねました。

 

そこで、分かったこと。私は介護をする中で、お義母さんとの距離感を少しずつ間違え、勝手に介護を抱え込み、次第にストレスを感じるようになっていたのです。「少し休息したほうが良いかもしれませんよ」というアドバイスもあり、私はしばらく直接的な介護から離れ、その間に新しい住まいの情報収集を始めることにしました。

 

よく耳にする「環境を変えることで認知症が進む」。まさにお義母さんの場合も、そうだったのかもしれません。徐々に料理ができなくなり、気が付けば洗濯機の使い方も危うい。もちろんお風呂嫌いも。

 

訪問介護を活用する方法もありますが、社会福祉士の方と話す中で、「再び環境を変えることのリスクはゼロではないけれど、やってみなければわからない。介護の負担を減らすため、そしてお互いに“ほどよい距離”を保つため、食堂もある<サービス付き高齢者向け住宅>(サ高住)への引っ越しを検討してみては?」という流れになりました。

 

しかし、現在住むエリアには「サ高住」の数が圧倒的に少なく、「ここは良さそう!」だと思っても、<予算が見合わない><数十名の予約待ち>など、新居探しは出だしからかなり難航するのですが……。これはまた、別の機会にお話ししたいと思います。

 

≪ライター 小林真由美さんの他の記事をチェック!≫

 

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください