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【2024年版】原因不明の「円形脱毛症」。髪だけでなく「まつ毛やまゆ毛が抜ける」ことも【専門医監修】

OTONA SALONE / 2024年11月12日 7時30分

円形脱毛症の治療には、「日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」が実臨床で活用されてきましたが、2024年9月、診療ガイドラインの改訂版※が発表されました。今回は、現段階の最新版である第 3 版をもとに、最新治療法をお届けします。

 

「円形脱毛症」は代表的な脱毛症のひとつ、髪だけでなくまゆ毛やまつ毛、全身の毛が抜けてしまうこともあり、治療が難しい疾患です。また、がん治療中や抜毛症などさまざまな理由で髪がない状態「ヘアロス」のひとつです。

 

「ヘアロス」はアピアランス(外見)に大きく影響することから精神的ダメージも大きく、社会生活を困難にし、QOLを低下させます。当事者は生きづらさを抱えていたり、周囲に伝えづらくひとりで悩んでいる場合が多いのが現状です。円形脱毛症について、脱毛症外来のある東京医科大学の入澤亮吉先生に伺いました。

 

▶▶【閲覧注意】40代、「多発型円形脱毛症」のリアル写真はこちら

 

ヘアロス #6

円形脱毛症とは? 全身の体毛が抜けてしまうことも

円形脱毛症は、頭髪などに”円形の脱毛斑(脱毛がみられる部位)”ができる病気です。「10円ハゲ」をイメージする方が多いでしょうが、小さな脱毛斑だけが円形脱毛症ではありません。小型の脱毛斑が1個だけの「単発型」から、頭髪全体あるいは全身の毛が脱落してしまう「汎発型」までさまざまなタイプがあり、脱毛斑の数、範囲、形態などによって分類されています。

 

【分類】

●単発型:脱毛斑が単発のもの
●多発型:複数の脱毛斑を認めるもの
●全頭型:脱毛の範囲が全頭部に拡大したもの
●汎発型:全頭部の脱毛に加え、まゆ毛やまつ毛を含めた全身に脱毛が拡大するもの
●蛇行型:頭髪の生え際が帯状に脱毛するもの
●逆蛇行型:側頭部と後頭部を避け、前頭部と頭頂部に帯状に蛇行型と逆のパターンに脱毛するもの
●びまん型:境界明瞭な脱毛斑がなく、頭部の全体が脱毛するもの

 

 

【重症度】

重症度を表す指標として,アメリカの円形脱毛症評価ガイドラインでは、頭部全体の面積に占める脱毛巣面積の割合(S)と,頭部以外の脱毛の程度(B)によって重症度を決定しています。S2 以上を重症症例としています。

S0:脱毛がみられない
S1:脱毛巣が頭部全体の 25%未満
S2:脱毛巣が 25~49%
S3:脱毛巣が 50~74%
S4:脱毛巣が 75~99%
S5:100%(全頭)脱毛

 

ほかにも、JAK 阻害薬など全身投与の薬剤に関する臨床試験では、SALT スコア50 以上(頭髪の脱毛面積の割合:0は脱毛なし、100は全脱毛)を重症の基準として使用しています。

 

脱毛症の重症度は、脱毛面積だけで規定されるものではなく、患者に与える心理的影響、まゆ毛やまつ毛など頭髪以外の脱毛症状の有無、症状の進行の早さなどさまざなな因子の影響を受けます。

 

 

>円形脱毛症の原因は? ストレス?

円形脱毛症の原因は? ストレス? 実は「原因不明」

円形脱毛症の原因は、いまだにはっきりとしていませんが、頭部で多くを占める成長期(毛を作り出す時期)にある毛包を標的とする「自己免疫疾患」です。本来はからだを守る免疫の働きが異常をきたし、リンパ球が自身の毛包を攻撃してしまうことで毛が抜けてしまうと言われています。

 

円形脱毛症は人口の0.1~0.2%に発生すると言われ、一生のうちに円形脱毛症になる確率は1.7%。男女差はほとんどなく、どの年齢層にも発症します。親子や兄弟姉妹で発症することも。日本の横断研究では2012 年は0.16%、 2019年は0.27%と有病率が徐々に増加しています※。

 

まれに難治化し、頭髪だけでなく、まゆ毛やまつげ、その他全身の毛が抜けることもあります。円形脱毛症は橋本病などの甲状腺疾患、尋常性白斑、全身性エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎などの自己免疫疾患が合併することもあります。また、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎といったアトピー疾患を合併することも知られています。

 

ストレスは「原因」ではなく、「誘因」のひとつと推定されています。肉体的疲労や感染症も一種のストレスですが、誘因のひとつと考えられます。一方、精神的ストレスが円形脱毛症の誘因になるかどうかについては賛否があるところです。「自分が弱いから」と自身を責め、一層つらくなる人もいるようですが、そのような無駄な考えは捨てましょう。

 

 

▶▶続き▶▶【2024年版】円形脱毛症の治療法は?「頭皮に注射」⁉特定の免疫を抑える新薬も「保険適用」に【ヘアロス】

 

※引用、参照:日本皮膚科学会
※病院によって、治療法が異なることもあります

 

監修:東京医科大学病院皮膚科、ワタナベ皮膚科 入澤亮吉先生

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本性感染症学会認定医。日本皮膚科学会東京支部代議員、日本皮膚悪性腫瘍学会評議員、日本褥瘡学会評議員。1988年東京医科大学卒業。同大学病院皮膚科病棟医長を経て、2021年より東京医科大学病院皮膚科 講師。特定非営利活動法人 円形脱毛症の患者会 監事

 

≪オトナサローネ編集部 木村美穂さんの他の記事をチェック!≫

 

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