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やりがちな「〇〇食べ」はNG。腸内で短鎖脂肪酸を作って、太りにくいカラダにするためには?(後編)

OTONA SALONE / 2024年11月27日 19時1分

前編(記事はこちらから>>>)では、腸内細菌と食物繊維の関係や短鎖脂肪酸についてお伝えしましたが、後編は実践編! 実は、腸活の強い味方になってくれる注目の食物繊維があります。腸活で美肌を目指す方法やリーキーガット(腸漏れ)、更年期世代の腸活についても、大阪公立大学の細見晃司先生に解説してもらいます。

 

多様な食物繊維を摂るよう意識する

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腸内細菌は、1種類とか2種類の菌だけが突出してたくさんあれば良いというものではなく、多様な腸内細菌が活躍するのが望ましいと言えます。そのためには、同じ食品ばかり食べるのではなく、バランスの取れた食生活をすることが理想です。

 

なかでも現代人の食生活に足りていない栄養素の一つが食物繊維で、消費者庁も食物繊維を摂取することを推奨しています。まずは食物繊維をしっかり摂ることを意識してください。

 

ただ、ひと言で食物繊維と言っても、多くの種類が存在します。水溶性食物繊維と不溶性食物繊維というだけでなく、さらにその中でも種類が分かれていて、構造が違います。その中でも注目されているのが、「発酵性食物繊維」です。

 

発酵性食物繊維は、菌が何かを代謝することを「発酵」と言うので、「発酵性食物繊維」と呼ばれています。腸の中で発酵しやすい食物繊維で、食べる前に発酵している発酵食品とは異なります。短鎖脂肪酸に変換されやすく、善玉菌のエサになりやすいという特徴が
あります。

 

 

食物繊維や発酵性食物繊維には相性がある

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食物繊維、特に発酵性食物繊維は腸活の中でも重要なキーワードになりますが、ただ単に摂取すればいいというものではありません。
腸内細菌は、菌の種類や割合が人によって全然違います。菌の種類が違えば、菌の好きな食物繊維も違っていて、菌の種類によって分解して短鎖脂肪酸にできるものも違います。

 

つまり、摂取しても短鎖脂肪酸にできないこともあるのです。食物繊維と菌の相性と言っても良いでしょう。Aさんにとって良かった発酵性食物繊維がBさんには合わないこともあるため、まずは自分の腸内細菌に合う食物繊維を見つけてもらうことが大事です。お腹に合わない食物繊維を摂取してしまうと、腸内細菌が分解できず、お腹が張ったり、お通じが悪くなったり、下痢になったりします。食物繊維との相性は体調がサインになるので、合わないと思ったら切り替えて、体に合う食品を食べたら良いでしょう。

 

 

「ばっかり食べ」に注意

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注意したいのは、同じ食品ばかりを食べる「ばっかり食べ」です。ご自身の体に合った食物繊維を3つ、4つ見つけておいて、複数のものを組み合わせてローテーションして食べましょう。いろんな種類の腸内細菌にエサを与えることができ、さまざまな菌を増やすことができると考えられます。食材を買う時に、先週買わなかった食品を買うだけでも、いろんな食品を口にすることができます。

 

また、食物繊維がいいからといって、そこに食事が偏ってしまうのも問題です。多様性が大事なので、いろんな食品を組み合わせて食べましょう。

 

 

>>多様性というけれど、どんな栄養素をとればよい?

ビタミンB1も必要

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食物繊維や短鎖脂肪酸以外の栄養素や食品成分も腸内細菌の機能や多様性と関わっていることも分かってきました。なかでも注目されているのはビタミンB1です。

 

ビタミンB1は、短鎖脂肪酸の一つ、酪酸を作る酪酸産生菌を増やします。しかし、腸はビタミンB1を作れないので、私たちが食事から摂取したビタミンB1を使って増えていきます。食物繊維を摂取するだけでなく、ビタミンB1が足りているかどうかも考えてみてください。

 

ビタミンB1は豚肉や鶏レバー、豚レバー、ウナギなどにたくさん含まれていますが、必ずしも肉から摂る必要は無く、玄米やそば、大豆やブロッコリー、しめじなどにも含まれています。大豆といえば納豆ですが、納豆菌は菌のリレーの第一走者でもありますし、食物繊維やビタミンB1も豊富。腸活にはうってつけの食品です。

 

 

味噌や酒粕などの発酵食品を食べるのも「腸活」

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食物繊維を摂取すると、それが大腸に届いて菌のリレーによって発酵が起こりますが、それを食品の中でしているのが発酵食品です。菌のリレーの中で代謝物を作れない人は、発酵食品で代替えしてください。

 

発酵食品の中にはプロバイオティクスの菌もいて、食品なのでプレバイオティクスもあり、発酵しているのでポストバイオティクスができています。自分の腸の中で発酵させるのも腸活ですし、発酵食品を積極的に摂るというのも、また違う形での腸活になります。

 

 

今後、注目されるブラウティア菌

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まだ研究中ですが、日本人の肥満を抑制できる可能性がある腸内細菌「ブラウティア」を発見しています。この菌も大麦のβグルカンなどの発酵性食物繊維を好むようです。

 

私たちは、日本人1万人の腸内細菌を調べてきました。その中で、日本人の肥満と関連する腸内細菌を探索し、肥満でない健康な人で割合が多い腸内細菌の1つがブラウティアでした。

 

そこで、このブラウティアをマウスに摂取させて、マウスの体重変化と内臓脂肪の蓄積量に与える影響を調べました。高カロリーなエサを与えたマウスは、通常よりも体重が増加し、肥満となり、多くの内臓脂肪が蓄積していました。しかし、週に3回、ブラウティアを食べさせると、体重の増加が緩やかとなり、内臓脂肪の蓄積量が減少しました。

 

このような研究データから、ブラウティアは肥満を予防してくれる腸内細菌かもしれないと考えています。ブラウティアを摂取しても痩せる訳ではないのでご注意ください。太りにくくなると考えています。

 

今後の課題として、私たちがブラウティアを摂取した時に、マウスと同じ効果が発揮されるか確認する必要がありますが、現在、このブラウティアを増やすための食材の探索や、ブラウティアを使った製品の開発などにも取り組んでいます。

 

 

>>肌の若々しさにも、腸内細菌叢は大きく影響をもたらす!

腸内細菌叢は肌のコンディションやメンタルにも影響する

●全身を巡る腸内免疫

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腸管や腸にはたくさんの免疫細胞がいて、全身の免疫細胞の約半数が腸管にいます。腸管は消化吸収のための器官ですが、体を守る免疫器官でもあります。腸管の中の免疫細胞は、ずっと同じところにいるわけではなく、体の中をぐるぐる回っています。血液やリンパ液に乗って全身を循環しているのです。血液やリンパ液から腸管の組織に出てきて、それがまた血液やリンパ液に戻って、別の組織に運ばれます。

 

このように免疫細胞は出入りを繰り返して全身を巡っているので、腸管の免疫細胞は脳や皮膚など、全身をくまなく移動します。そのため腸内環境は腸だけではなく、脳や皮膚などの全身の健康状態と密接に関わっています。

 

腸に免疫細胞がいるというとピンとこないかもしれませんが、腸には微生物がいますし、体外から食べ物や病気を起こす病原体までいろんなものが入ってきます。そうしたものから体を守るために免疫細胞が集まっているのです。体にいいものはそのまま通して、悪いものは排除する、いわば門番のような役割を腸の免疫細胞は担っています。

 

 

腸内環境の乱れは皮膚や脳にも影響する

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腸内細胞と免疫細胞は非常に密な関係にあって、腸内環境が乱れたら免疫細胞も防御したり戦ったりするための免疫機能を発揮します。腸内環境が整っていたら、免疫もほどほどに落ち着いてきます。

 

免疫細胞の性質や機能と腸内の状態は非常に密に連動していて、腸内環境が乱れると免疫の機能が低下したり過剰になったりします。免疫機能が過剰になった細胞が全身を巡ると、肌荒れの原因になったり皮膚にダメージを及ぼしたりします。

 

脳に行けば脳の機能が低下し、メンタルに不調が現れる可能性もあります。これを脳腸相関と言いますが、腸内の免疫は、脳や皮膚など腸と離れた組織を繋げるメカニズムの一つになっています。

 

免疫は暴走して皮膚や脳にダメージを加えることもありますが、そのダメージを修復する役割も担っています。例えば、ダメージを負った細胞を分解して、どんどん食べて悪い細胞を排除することもあります。

 

脳の場合はもっと免疫と深い関わりがあり、脳は神経細胞と免疫細胞でできていると言っても過言ではありません。脳の発達や機能と密接に関わっていて、免疫に異常があると、さまざまな脳神経系の病気を発症します。

 

 

リーキーガット症候群(腸漏れ)とは?

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聞きなれない言葉ですが、リーキーガット症候群は、脳機能やメンタル、皮膚など全身の健康状態に関連する理由の一つです。本来、健康的な腸管であれば、腸の中(口から腸の中までは体外と考えられています)と体内は腸管バリアによって隔てられています。

 

この腸管バリアが腸の中から体内へ、もしくは体内から腸の中への物質の移動をコントロールしていて、必要な栄養素は体内に入りますが、病原体が入ってくることはありません。

 

しかし、バリア機能が崩れた状態、リーキーガットが起こると、腸の中から体内へ、もしくは体内から腸の中へ物質の移動が制御できなくなってしまいます。本来、体内へ入ってはいけない不要な物質が体内に入ってくると、免疫が過剰に反応して炎症が起こります。

 

それが全身に波及すると、花粉症や肌荒れなどいろんな不調が起こる原因になります。リーキーガットだから病気になるというほど強い作用はありませんが、全身で病気が発症しやすい状態、病気が悪化しやすい状態になってしまいます。

 

そこにアレルギー体質などの素因があると、発症率が高まってしまうのです。リーキーガットだから病気になるのではなく病気を起こしやすい状態になると考えてください。リーキーガットにならないように腸内環境を整えて、病気を未然に防ぐことが大事です。

 

 

更年期で痩せにくい、腸活で対処するには?

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更年期で代謝が落ちている人の場合、腸活をすることで代謝を上げるといいでしょう。腸管ホルモンは腸で働くのですが、血流に乗って全身を巡るので、腸活から全身の代謝を上げていくことが可能です。

 

食物繊維が不足しているのが現代人の特徴ですが、それはどちらかというと若い世代の話です。60代以上になると肉を食べなくなって野菜中心の食生活になりがちです。すると、タンパク質不足になってしまい、フレイルやサルコペニアなど筋力の低下を伴う病気になることもあります。

 

そもそも筋肉が少ないと代謝も進まないので、腸だけケアしていればいいとか野菜を食べていたらいいというのではなく、体づくりにはタンパク質の摂取や運動も大事だということを意識してください。

 

 

5年後、10年後の健康のために

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ダイエットだけでなく、皮膚やメンタルのコンディションにも影響するという腸活。細見先生は、今の健康というよりは、5年後、10年後、20年後の健康のために継続することが大事だと言います。

 

穀類にはたくさんの食物繊維が含まれています。白米を玄米に変えたり、副菜に切り干し大根や納豆を加えたり、毎日続けられる無理のない腸活をしてみましょう。

 

 

プロフィール

細見晃司先生

2011年大阪府立大学生命環境科学部卒業、2015年に同大学院にて博士号(獣医学を専攻)を取得。2015年より国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所にて特任研究員として腸内細菌に関する研究をスタート。同研究所の主任研究員、日本学術振興会特別研究員PD、ドイツ留学などを経て、現職の大阪公立大学大学院獣医学研究科・准教授。

 

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