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「レスよりつらいのは、自分の存在意義が見いだせないこと」。孤独な夜と折り合いをつける43歳夫。悩みとその先にあるものとは

OTONA SALONE / 2024年11月30日 22時31分

世界でも類を見ない人口減少社会を迎えている日本は「失われた30年」と呼ばれるように、年々、経済が弱体化したことも少子化の要因となっていわれています。それと同様に深刻な課題のひとつが日本人のセックスレスの常態化です。

 

25年ぶりに実施された『性機能障害の全国実態調査に関する報告』(2023)によれば、年齢別EDの有病率は50歳以上が41.7%、また性交頻度が1カ月に1回未満(1カ月間に1度も性交がない)を「セックスレス」としたところ、全体の70.4%が該当しました。日本は少子高齢化と同時に、恐るべきレス社会に突入していたのです。

 

◀この記事の【前編】を読む◀静岡県で保険の営業に勤しむテラダさん(仮名43歳)は、結婚して9年目。家族のために早朝から夜遅くまで働き、日々努力を重ねてきました。家族を守りたいという思いが強い父親です。しかし40代に突入したある日、ふと感じるようになったのは、「自分は今、何のために生きているのか?」という疑問でした__◀◀◀◀◀

 

【無子社会を考える#22】後編

 

孤独な夜と、葛藤の先にある誘惑

ある日のこと、夜が更け、家族が眠りについたリビングで、テラダさんはスマートフォンを手に取り、ぼんやりと画面を眺めていました。抑え込んできた欲求が募る中で、ふと指がスマートフォンの検索バーに滑り、無意識のうちに「風俗店」という言葉を入力している自分に気づきます。

 

最初は気まぐれのような感覚だったようです。興味本位で風俗店のホームページを開き、ただ覗くだけで満足するはずだと自分に言い聞かせます。しかし、目の前に並ぶ写真やサービスの説明が、彼の心の中で静かに広がる空虚さを埋めるような気がして、画面から目が離せなくなっていくのです。

 

「本当に行くつもりはない。これはただの暇つぶしだ」

 

テラダさんは自分にそう言い聞かせながらも、画面をスクロールするたびに、心の中にわずかな高揚感と罪悪感が混ざり合います。家族がいる身であり、責任ある父親である自分が、こんな行動をしていることに対する後ろめたさが、胸の中で重くのしかかります。何度も画面を閉じようとするものの、結局指は再び検索画面に戻ってしまうことがあるようです。

 

その後も夜になるたび、テラダさんはスマートフォンを手にし、画面を眺めてしまうことがありました。家庭や仕事での役割を全うする一方で、自分の心の中で満たされない部分を埋めたいという思いが、こうした行動に現れていることに彼は気づいていました。しかし同時に、それがただの一時的な慰めに過ぎず、根本的な解決にはなっていないことも理解しています。

 

そのような時、どんな思いが浮かんできますか?

 

「やはり、どこかで『自分は間違ったことをしている』という罪悪感があります。でも自分自身が満たされないままでいることも辛くて…。ただ、こうした行動を続けても何も変わらないことも分かっているので、ますます自分が迷子になっているような感覚に陥ります」

 

こうしてテラダさんは、レスの葛藤と家族に対する責任感の間で苦しみながらも、現実の解決方法を見つけられずにいるのです。このエピソードを通じて、夫婦間の性問題が家庭や自己の価値観にどのような影響を与えるか、現代の社会問題として浮かび上がります。

 

 

現実と折り合いながら生きる、悩めるテラダさんの「日常」

風俗店のホームページを何度も覗いてしまう自分に罪悪感を覚えつつも、テラダさんはその日常は変わらないそうです。もちろん家庭を守り、仕事に励み、父親としての責任を果たすことに変わりはありません。しかし、夜が訪れるたびに、心の中で渦巻く孤独感と満たされない欲求は、静かに彼を支配し続けています。

 

テラダさんはこのままでいいのかという葛藤を抱きながらも、家族との会話や子どもたちの成長を見守る日々にわずかな救いを見出そうとします。

 

「ふとした瞬間に子どもたちの笑顔を見ると、自分の人生もこれで十分なのかもしれないと思えるときもあります。また、仕事に集中することで、家庭での悩みを一時的に忘れることもあります。それは完全な解決ではないけれど、日々の忙しさの中で目を背けることで何とか折り合いをつけています」

 

テラダさん、今後どのようにこの状況と向き合っていきたいとお考えですか?

 

「正直、これからどうしていくべきか、答えはまだ見つかっていません。ただ、家族のために自分が頑張り続けることには変わりないですし、何も言わずそばにいてくれる家族のために働くことで、今の自分の役割を果たしていきたいと思っています」

 

テラダさんは奥さまとの関係や自分の内なる悩みについては、今すぐに解決できるものではないと理解しながらも、少しずつ心の重荷を軽くするための方法を模索しています。家族に尽くしながらも、自分自身を見失わないように努めること。それが、今のテラダさんにできる最善の「折り合い方」だと考えているようです。

 

「人生にすべての答えがあるわけじゃない。でも、今の自分を受け入れながら、少しでも前向きに生きることができれば」

 

テラダさんのこの言葉は、家庭や仕事、そして自分自身との折り合いをつけ、答えが出ないままでも前に進んでいく覚悟でした。完璧ではなくても、家族と共に過ごす日々を大切にし、自分の中で小さな幸福を見つけながら、テラダさんは自分なりの道を歩んでいくのです。

 

こうしてテラダさんは、完全には解決できない悩みを抱えつつも、自分の人生と向き合い、一日一日を生きていきます。その率直な言葉から、性の問題は改めて難しい社会課題のひとつだと考えさせられるインタビューとなりました。

 

 

 

≪家庭関係研究所 山下あつおみさんの他の記事をチェック!≫

 

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