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楽しい思い出を共有できるのが「家族」。 里子たちのおかげで喜びが拡大しています【里親が考える「家族」の意味】

OTONA SALONE / 2024年12月19日 21時1分

 

実子4人を育てながら、多くの里子を家に迎えて、ともに家族として過ごしてきた吉成麻子さん。現在はファミリーホームとして、年中から小学校5年生まで4人の里子を預かっています。実子と里子の子育て、どんな違いがあるのでしょうか。吉成さんにとって家族とは。

 

◀この記事の【前編】を読む◀里親としてこれまでたくさんの子どもたちを育ててきた吉成さん。そのきっかけはなんだったのでしょうか? __◀◀◀◀◀

【家族のカタチ #4(後編)】

子どもを真ん中にみんなで楽しく過ごす

私にとって家族とは、一緒に旅行したり、おいしいものを食べたり、そういう楽しい思い出を共有できる存在。実子や里子以外にも、いろいろな人が関わり、楽しい時間を過ごす。でも里親をやっていなければ、できなかった経験もたくさんありますし、里子たちのおかげで、よりたくさんの楽しい思い出をもらえている。だから里親として里子を育てることは、家族が拡大しているというイメージですね。拡大家族です。

 

私たちのような家族を通して、いろいろな家族がいるということを、多くの人に知ってもらい、そのいろいろな家族に対して、みんなが寛大になれるといいですよね。そして乳幼児を育てる親たちみんなが、一緒に楽しく過ごせる場があったらいい。そんな思いから、2018年に「NPO乳幼児家庭養育の会」を設立しました。

 

この会では、主に社会的養護下の子どもたちが家庭で暮らせることを目指し、県内外の里親支援団体と協力しながら、フルーツ狩りやパンづくり、アート教室など、いろいろな交流イベントを行っています。里親はもちろん、シングル家庭やステップファミリーなど、さまざまな家族をサポートすることを目的としています。

 

日本では、何かと区分けする傾向にあります。たとえばシングルマザーはシングルマザー、シングルファーザーはシングルファーザー、ステップファミリーはステップファミリーなど、それぞれにグループがあります。でも「子どもをお世話する」という意味においては、その垣根は必要ないと思うのです。なぜなら、誰もがある日突然、別の立場になることがあり得るからです。

 

たとえば夫婦と子ども二人の4人家族だったのが、夫婦どちらかが病気で亡くなる、あるいは離婚するなどしたら、次の日からはシングルの家庭になるわけですよね。そうなったときにいちばん大事なことは、みんなが力を合わせて、その子どもたちを育てること。ですから私たち大人は、ふだんから自分の強さも弱さも自覚しつつ、隣の人には寛大にできることをしてあげて、できないことは手伝ってもらう、そういうスタンスが大切ではないかなと思っているんです。

 

 

適度に忘れるから次に進むことができる

私自身、この活動を長く続けて来られたのは、そういう思いもありますが、単純に子育てが好きというのもあります。私、嫌なことは、けっこうすぐに忘れちゃうんです(笑)。それぞれの里子たちと過ごすなかで、うれしかったり、悲しかったり、悔しかったり、いろいろなことがありますが、適度に忘れるから、また次を迎えることができる。

 

一個一個覚えていて執着がありすぎると、ときとしてトラウマになってしまい、なかなか続けられません。そういった私の思考は、もともとの性格もありますし、実子を出産したときの体験も大きいですね。実は、実子の上二人は、すごく小さく生まれてNICU(新生児集中治療室)に入院していたんです。他の子に比べると断然小さい。もう人と比べると、辛くなるだけだから比べない。吹っ切るしかなかったんです。

 

今、振り返ってみると、そういう経験も里子を育てるにあたって、生きているのかもしれません。これまで、いろいろな里子を預かってきて「どうして!?」と思うようなことは、山ほどありましたが、それはそれだし、子どもは変わっていく。そうポジティブにとらえられてきたのも、過去の経験があったからでしょうね。

 

 

夢は47都道府県の家によばれること

約20年前に里親からスタートし、ここ8年間は、ファミリーホームでやってきたので、今後は元の里親に戻り、どうしても家に帰れない子をみていけたらと思っています。そして、実家のない子にとっての実家的な役割ができたらいいなという思いも。

 

私は旅行が好きで、全国47都道府県に知り合いをつくって、ごはんをよばれるのが夢なんです(笑)。そして私自身も、そういう家でありたい。

 

私には、ここで育った里子だけでなく、施設出身の子にも知り合いがいて、たまにみんながうちに集まって、一緒にごはんを食べるんです。その子たちが、うちの里子たちにいろいろなアドバイスをしてくれたり、ケアをしてくれたりして、すごくありがたい。やはり当事者でないとわからないことも多いですから。また施設出身者の子で、プロスポーツ選手になった子もいて、みんなでその子の応援に行くこともあります。そういうことがすごく楽しくて、私にとっては息抜きにもなっています。

 

実家のない子たちによく言うのが、「結婚式をするときは、私が親として出てあげるからね」って。冗談半分ですが、本当にそうなったら、うれしいですよね。へそくり、包まなきゃって(笑)。そういった子たちが何かあったら連絡できる、そんな存在になりたいですね。

 

今の日本社会は、同調圧力が強く、ちょっと息苦しい。でも一度きりの人生です。同調圧力に負けず、のびのびとやりたいことをやらないと、あっという間に人生が終わってしまう。アラカンの今、つくづく思います。

 

人生が100%うまくいくことって絶対にありません。だからこそ、うまくいったことを数えたい。そうすれば、また前を向いて歩いていける気がします。

 

 

【profile】

吉成麻子さん

ファミリーホーム運営、NPO法人 乳幼児家庭養育の会理事。大学卒業後、1989年日本中央競馬会入会、1993年退職、結婚、一女三男の母に。2004年千葉県養育里親登録、現在、5歳から小5までの4人の里子と暮らす。

 

 

取材・文/池田純子

画像提供/吉成麻子さん

 

 

 

 

≪主婦の友社 OTONA SALONE編集部さんの他の記事をチェック!≫

 

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