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心尽くしの夕食を「何これ?作り直せ」と言われて…モラハラの支配から抜け出したい私は、ある日夫を置き去りにしてアクセルを踏んだ(後編)

OTONA SALONE / 2024年12月23日 15時1分

結婚生活は信頼と尊重を土台に築かれるべきものです。しかし、モラルハラスメントが日常的に繰り返されると、その基盤は簡単に崩れてしまいます。妻の行動すべてを否定し、自己肯定感を徹底的に奪おうとするモラハラ夫の行動は、妻を深く傷つけ、精神的なダメージを与えます。

今回は夫の言葉で自己肯定感が奪われ鬱病になってしまったKさんのお話です。

(個人が特定されないように変更を加えてあります)

 

第三者目線での理解が大切

人に相談することで自分の置かれている立場と状況がわかります。勇気を持って友人に相談したりモラハラの記事やサイトを見ることで、自分の置かれている立場が第三者目線で理解できると思います。

Kさんのされていたこと以外にも、モラハラ夫の行動の背景には、次のような理由が考えられます。

  • 自己中心的な支配欲求
    家庭内で自分の立場を絶対的にしたいという欲求があり、相手を従わせることで安心感や自己肯定感を得ようとします。
  • 劣等感や不安の裏返し
    自身の劣等感や不安を隠すために、他者(妻)を否定し攻撃することで、自分が相手より優れていると思い安心するのです。
  • 共感能力の欠如
    他者の努力や思いを理解し、尊重する能力が欠けているため、相手の行動を自分の主観でしか評価できません。
  • ストレスの発散
    仕事や外部でのストレスを家庭内で発散する対象として妻を利用することがあります。そして、攻撃的な行動がエスカレートする場合もあります。
  • 心理的コントロールへの執着
    妻を精神的に追い詰めることで、相手の行動や感情をコントロールできるという満足感で満たされます。

こうした背景からモラハラ行動は生まれてきます。そしてモラハラが繰り返されることで家庭内の安心や対等な立場がなくなり、妻に大きな不安と恐怖を与えることになります。モラハラ行動をする人は、本当は気が小さいただ、威張りたいだけの人間だと思えるようになると、相手の言動に左右されずに上手にあしらうことができるようになる場合があります。

 

Kさんがはじめた「あること」とは 次ページ

モラハラの記録を取ることで、自分の状況を客観視できるように

Kさんはアドバイスをもとに、まず日々の出来事や夫の言葉を記録することにしました。「10月12日、料理が遅れたことで『妻失格だ』と怒鳴られる。夜は眠れなかった。」というように、感じたことをそのまま書き留めるようにしました。記録を続ける中で、Kさんは夫の態度が支配的であること、そして自分がいつも夫の勝手な理由で責められていることを客観的に認識できるようになりました。記録はKさんにとって現実を見つめる手段となり、同時に自分を守るためにもなりました。

 

ある日曜日のこと、以前から夫が家族でドライブに行くと決めていたので、Kさんは朝早くからお弁当を作って用意していました。それなのに夫はなかなか起きて来ず、やっと起きてきたと思ったら「日曜日にドライブに行くと混んでいるからやめる。」とまた勝手な理由で予定をひっくり返したのです。

 

今までだったらぐずる子供達にも「パパが決めたから仕方ないから、近所の公園に行こうね」と宥めたりしていましたが、この日の私は違いました。ここで夫の言うことを受け入れることは夫の支配に屈することになると思ったのです。「あなたは家にいればいい。私と子供たちは予定通り出かけてきますので」と言って自分で運転してさっさと出かけました。

 

バックミラーに夫のぽかんとした顔が写り、おかしくなって笑い出したら、子供達も大声で笑い転げていました。こんなふうに何の気兼ねなく笑うって今までなかったな、車で騒ぐと怒鳴られたからなと、今まで自分も子供もどんなに我慢して夫の機嫌を取っていたのか改めてわかりました。

そのとき夫はこう思っていた 次ページ

そのとき夫はこう思っていた

Kさんが夫の指示を拒否し、自ら行動を起こしたことで、モラハラ夫は以下のような感情を抱いたと思われます。

  1. 驚きと困惑
    これまで自分の言動に従順だった妻が急に反抗したことで、彼の中で「支配している」という安心感が崩れ落ちます。
  2. 苛立ちと怒り
    自分の計画や指示を無視されたことに対する怒りや苛立ちが生じます。支配がうまくいかないことは彼にとって「自分の権威が脅かされた」と感じさせます。
  3. 不安と恐れ
    妻が自分の支配から抜け出し、自立した行動を取ることで、「このまま自分の影響力がなくなるのではないか」と恐れる場合もあります。
  4. 自己正当化
    自分の行動や態度を「妻が悪いから」と正当化し、自分の非を認めないようにします。非を認めないことで自分の自尊心を守ろうとします。

Kさんが夫の支配から抜け出し、自立した行動を取れたのは、記録を続ける中で「自分が悪いのではない」と客観的に認識することができ、少しずつ自己肯定感を取り戻したからです。そして「今までの私と違う」と思いながら自分で行動を起こす勇気が湧いきたので、支配に屈しないことで、心が軽くなる瞬間を味わえたのです。夫の機嫌を気にせず、車を運転して出かけたことで。子供たちにとっても窮屈な環境を作っていたと気づき、「子供たちのために自由で楽しい家庭を作りたい」という思いが強まりました。Kさんは「これまでどれだけ自分も子供たちも夫の機嫌に振り回されてきたのか」と改めて気づき、これからは「自分の意思で生きる」という決意を固めるきっかけになりました。

 

Kさんの行動は、彼女自身が自分を取り戻すきっかけであるだけでなく、子供たちにとっても大きな意味を持つ出来事でした。このような一歩が、モラハラの支配から抜け出すための重要な第一歩と言えるでしょう。

 

その後、夫にも変化が 次ページ

自分が変わることで相手も変わった

Kさんは夫に対して今までは、表情や態度を見てから夫に声かけをしていましたが、今はそんなことを気にせずにどんな時も笑顔で挨拶ができるようになりました。これまでなら、夫が声を荒げるとすぐに萎縮して言い返すこともできませんでしたが、夫が何を言っても、深く傷つくことなく受け流せる強さを持てました。

夫は次第に自分の文句や態度がKさんに通じなくなったことに気づいたようです。以前のように、Kさんが怯えて自分を優先することがないとわかったのです。そしてある日、夫が「最近君も子供達も笑顔が多くなったね、家に帰るとホッとする」と言ったのです。その一言で、夫にも良い変化が起きていることがわかります。

 

Kさんが夫のモラハラに気付き、それに怯えず堂々と自分の軸を持って生きるようになったことで、妻を支配しようとしていた頃よりも今の方が居心地がいいと思ったのです。Kさんのケースのようにうまくいく場合もありますので、まずは行動をしてみることをお勧めします。それから、どうしたらいいのか考えていきましょう。

 

 

 

≪モラハラカウンセラー 麻野祐香さんの他の記事をチェック!≫

 

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