「40・50代は“リンゴの切り口が茶色く変色”するように細胞の劣化が進みます!」アンチエイジングの鍵「抗酸化力」を高めるのは「体にいい油」!?【慶應義塾大学医学部教授のオイルドクターに聞いた・後編】
OTONA SALONE / 2025年1月16日 20時56分
毎日の食事に欠かせないオイル。「摂り過ぎると、生活習慣病や肥満につながる可能性がある」とは何となく分かっていても、あまり気にせず使っているのがホンネではないでしょうか。
とはいえ近年では、自分に合った良質なオイルを摂り続けると健康維持に役立つといわれています。
そこでオトナサローネでは、「オイル」をテーマとした慶應義塾大学の勉強会に参加。講師とした登壇されていた慶應義塾大学医学部の井上浩義教授に、オイルの種類と効果効能について解説していただきました。スーパーには、さまざまな種類のオイルが並んでいるので、「どれが良いのか分からない」と思っていた方は必見です!
◀この記事の【前編】を読む◀「肌や体が老けていく……」を実感する毎日。老け細胞を救うカギはオイルにあった!?__◀◀◀◀◀
▶「美肌」「血液サラサラ」「悪玉コレステロールを減らす」など、いいことづくめ!
「オメガ3」で、細胞を柔軟に!「美肌」「血液サラサラ」「認知機能・心機能アップ」40・50代に嬉しい効果しかない
「オメガ3」には、細胞そのものを柔軟にする働きがあります。そのため血管を柔軟にしたり、心臓の働きを高めたりすることも期待できます。読者に特にうれしいのは、アンチエイジングに役立つこと。細胞や血管が柔軟になれば、皮膚や髪など見た目にも潤いやツヤがキープされます。それだけでなく脳血流が増えるため、認知機能やうつ症状の改善が期待できるという研究成果も発表されています。
「オメガ9」が悪玉コレステロールを減らす。「コレステロール値」や「血圧」が気になる方におすすめ
「オメガ9」にはHDLという善玉コレステロールを減らさずに、LDLという悪玉コレステロールだけを減らす働きがあります。LDLコレステロールが過剰になると動脈硬化の原因になるので、コレステロール値が気になる人はぜひ。また、悪玉コレステロールを抑えられると、血管の内壁に付着して血管を詰まらせる可能性も減るので、高血圧の予防にもつながります。
▶でも摂り過ぎはNG。ベストな分量は?
「体にいい」けれど目安を守って!「オメガ3=5g」「オメガ9=15g」
「オメガ3」や「オメガ9」が体にいいとはいえ、カロリーはほかの油分と同じなので、適正な量に抑えることが大切です。エゴマ油などの「オメガ3」は5g(スプーン小さじ1杯)が適量で、オリーブオイルなどの「オメガ9」は15gを目安にすると良いでしょう。
まずは、毎日の食事にオメガ3を意識してプラスし、家庭での調理にはオメガ9を適量使うことでバランスをとってみてはいかがでしょう。
例えばサラダには、ドレッシングなどの代わりにオメガ3のエゴマ油やアマニ油を回しかけるのがおすすめ。エゴマ油は香りがなく便利で、私も好んで使っています。黒胡椒と塩で味付けをすると、おいしくいただけますよ。そのほか、朝食でヨーグルトに垂らすのも手軽でおいしい食べ方です。
▶逆に老ける!NGなオイルと摂り方とは
これは逆に老ける!NGな油の摂り方もチェックして!
油なら何でも体にいいわけではありません。むしろ健康に悪影響な油の知識もしっかり入れておきましょう。
①現代社会においてサラダ油、ごま油などの「オメガ6」は摂り過ぎかも
ごま油、大豆油、コーン油、ヒマワリ油などの「オメガ6」は、サイトカインという人間の体を守る免疫物質を作る原料になります。とはいえ、現代社会において調理や加工食品により「オメガ6」は取り過ぎと言われるほど。それにより、アレルギー反応が過剰に出る人がいるという研究もあるので、あえて「オメガ6」をとる必要はありません。
②「もったいない」って使い回してない?サラダ油は1回ごとに捨てよう
日常使いのオイルとして、サラダ油が定着しているご家庭もあるでしょう。気をつけてほしいのが、使い回しをしないことです。例えば揚げ物をしたときも、1回ごとに捨ててください。「活性炭が装着された、オイル専用の濾過器を使用してるから大丈夫」と思う方もいますが、オイルが新品になるわけではないので捨てるのが一番です。
(環境のために、正しい捨て方で捨てましょう)
なぜなら、一度使用されたオイルは酸化が進み、過酸化脂質が発生します。過酸化脂質が体内に蓄積すると炎症や細胞死を引き起こし、虚血性疾患などの病気を引き起こす可能性があるからです。
▶不全、心筋梗塞、動脈硬化、不整脈などのリスクを高める上、がん、糖尿病、アレルギーとの関係も!?
マーガリンや洋菓子、菓子パンに含まれる「トランス脂肪酸」は高リスク!
また、摂り過ぎに気を付けたいのが「トランス脂肪酸」です。マーガリンや洋菓子、菓子パンなどに含まれています。トランス脂肪酸には、悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らす働きがあるといわれています。血管に蓄積すると柔軟性が失われ、心不全、心筋梗塞、動脈硬化、不整脈などのリスクを高める上、がん、糖尿病、アレルギーとの関係も疑われています。
スーパーで、自分に合ったオイル選びも楽しい
スーパーへ行ったら、ズラリと並んだオイルを見比べてみましょう。種類が多く、選ぶ楽しさもありますね。毎日使うものは体に蓄積するからこそ、重視して選んでください。オイルを自分に合った種類に変えるだけで、若々しさはもちろん、健康も同時に手に入るに違いありません。
【解説】
慶應義塾大学医学部
井上浩義教授
医学博士、理学博士。1989年九州大学大学院理学研 究科博士課程修了。山口大学医学部生理学教室助手、久留米大学医学部放射性同位元素施設教授などを経て、2008年から現職。 『からだによいオイル 健康と美容をかなえる油の教科書』 (慶應義塾大学出版会)、『知識ゼロからの健康オイル』(幻冬舎 )など著書多数。
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