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夫に「通帳を見せて」と言ったら激昂して…。「これが家庭のためなんだ」その言葉は本当?妻の決意は(後編)

OTONA SALONE / 2025年1月8日 20時1分

夫婦問題・モラハラカウンセラーの麻野祐香です。「この人となら経済的にも安心して暮らせる」「頼りがいのある人と結婚できた」と思い、幸せな気持ちで結婚生活をスタートさせた方が、結婚後に経済的モラハラという現実に直面し、悩みを抱えることは少なくありません。

特に、家計管理を夫が一方的に握り、妻の経済的自由を奪うケースでは、日々の生活が精神的な負担となり、自分の価値を見失ってしまうのです。今回は「共働きの給与まで夫に管理されている」というYさんのお話を紐解きます。【後編】です。

(個人が特定されないよう変更を加えてあります)

 

あまりに巧妙な経済DVで、気づくのが遅れたけれど…

Yさんが今まで夫に経済的に支配されていたことに気が付かなかったのは、夫を信頼していたことが大きな要因です。

夫が経済的な知識や能力に優れている、自分はその点が苦手だったので「自分のお金も夫に任せればうまく運用してくれる」という信頼が支配を許すきっかけとなりました。結婚前から夫が外資系銀行で働いていることもあり、「誠実で信頼できる人、お金のプロが夫なんて私は恵まれている」と信じていました。

 

Yさんは「夫が家庭の財政を管理し、妻は生活費とお小遣いをもらう」という役割分担を受け入れていました。しかしこれは、夫婦の平等というものでなく、陰に夫の支配の欲求が隠れていたのです。

夫の「君は僕と結婚しなかったら老後は生活保護だったよ」という言葉も信じ込んでいたYさんは「自分の欲求は無駄使いなんだ。夫が許してくれる金額で計画的に使わないといけない」と思い込み、自己評価が下がって自分を責めてしまう習慣が身についていました。そしていつしか、自分の考えを主張するよりも夫に従うほうが楽だと感じるようになったのです。

さらには夫が「家庭全体のため」という名目で給与を管理していたため、Yさんは夫の方針によって家庭が安定しているかのように感じていました。この「安定」が実はYさん自身の自由や自立を犠牲にしたものであると気づくのに時間がかかってしまったのです。

 

妹からのストレートな指摘にハッとして 次ページ

妹からのストレートな指摘にハッとして

Yさんは妹に、自分の給与が自分で使えない状態、すべて夫が管理しているということを打ち明けました。すると妹は「お姉ちゃん、それおかしいよ!自分が稼いだお金なのに、なんでお姉ちゃんが使えないの?それって夫婦の関係として不平等すぎない?」と言ったそうです。

その一言にYさんはハッとしました。それまで、夫に家計を任せることが「家庭を守るための自然な形」と思い込んでいました。しかし、妹の言葉を受けて、自分の生活がどれほど制限されているのか、どれほど夫に依存しているのかを初めて考えるきっかけになったのです。

 

妹から言われた言葉が頭の中をぐるぐると巡り、やっとYさんは今の状況がおかしいことだと思えました。

  • 「どうして私の給与なのに、私が自由に使えないんだろう?」
  • 「家族のお金がいくらあるのかも知らされないって、これって普通なのかな?」
  • 「夫に任せるのが正しいと思っていたけど、それで私は幸せになれているの?」

これまで、「夫は家庭のために頑張っているのだから」と、自分を納得させていました。でも、妹からの「おかしい」という指摘で、Yさんの中にあった疑問や不満が一気に表面化したのです。

 

「夫は”家族のお金”と言いますが、私は夫の給与がいくらで、どこの口座に振り込まれているのかも知らない。そして私の給与が本当にちゃんと運用されているのかも知らなかったのです」

Yさんが夫に「あなたの給与明細や今まで貯めている通帳全て見せてほしい」と言ったところ、夫は激昂したといいます。

「家計は俺がちゃんとやってるじゃないか。お前に任せたら無駄遣いされるだけだろ?信頼してるなら、任せればいい」

その言葉を言われると思っていたYさんは、冷静に返しました。

「信頼の問題じゃないわ。私たちは夫婦でしょ?お互いが家計の状況を知っているべきよ。それに、私の給与も私が管理するべきだと思う」

夫はさらに言い訳を重ねますが、Yさんの態度は揺るぎませんでした。

 

「今までの私は、自分の違和感に目をつぶっていた。でも、もうこれ以上自分を無視することはできない」

とYさんは心の中でつぶやきました。

 

いよいよ対決。経済的DVをする夫の「言い訳」とは 次ページ

経済的DVをする夫の「よくある言い訳」

  1. 「女は数字に弱い。自分に任せた方がいい」妻の能力を軽視し、自分が家計管理をすべきだと決めつける。これには妻の自信を奪い、依存させる意図が隠れていることもあります。
  2. 「お前に任せたらお金が無駄になる」妻が家計管理をすると浪費すると決めつけ、経済的な信用を与えない。
  3. 「家計の全体像は複雑だから説明してもわからない」自分だけが理解しているという優位性を保つための言い訳で、情報を意図的に隠します。
  4. 「俺のやり方が一番効率的だ」自分が家計を管理することで、家庭の経済がうまくいっていると主張し、妻に異議を唱えさせない。
  5. 「家計管理は男の仕事だ」昔ながらの性別役割に基づいた固定観念を持ち出し、妻を家事や子育てだけに専念させようとする。
  6. 「信頼しているなら任せてくれ」妻に家計の状況を見せないことを信頼の問題にすり替え、逆に妻の疑問を「信頼していない」という問題に変えてしまう。

これらはモラハラ夫に共通する「支配欲」がそうさせています。そして自分が家にとって大切な存在だと自己満足し、妻の自由を奪うことで征服欲も満たしています。

 

人生を取り戻す決意をしたYさんは 次ページ

勇気を持って、人生を取り戻して

「夫は私の態度に苛立ちを隠せない様子でした。私がどんなに言っても、給与明細も通帳も見せる必要はないと言い続け、ただその場をやり過ごそうとしているのが見えました」

Yさんはもう一度、静かに、しかしはっきりと伝えました。「私は家計の状況を正確に知りたいだけ。そして私の給与は私自身で管理する。それが今後の私たちの信頼を築くために必要なことだと思う」

その言葉に夫は言い返せない様子でしたが、目を合わせようとはしませんでした。

Yさんはこのままでは夫の支配から抜け出せないと感じ、翌日会社に給与の振り込み口座の変更を依頼しました。そして、夫には再びこう伝えました。「あなたが本当に家計を管理しているなら、明細や通帳を見せて。見せられないなら、私はもうあなたを信じることはできない」

 

夫は顔を真っ赤にして「妻は夫の言うとおりにしていればいいんだ」と声を荒げましたが、その瞬間、Yさんは心の中で離婚を決意したそうです。妹との会話がきっかけとなり、Yさんは自分が経済的に支配されていたことに気づき、そこから自分の人生を取り戻す強い決心がついたのです。

 

夫婦間のお金の問題は、単なる家計管理ではなく、お互いの尊重と信頼があってこそ成り立つものです。もし、相手の言いなりになり、経済的な支配を感じた時には、ひとりで抱え込まず、身近な人や専門機関に相談する勇気を持ってください。自分の人生を取り戻す一歩を踏み出すことが、何よりも大切なのです。

 

 

 

≪モラハラカウンセラー 麻野祐香さんの他の記事をチェック!≫

 

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