女子アナ特有の「若さをヨシとする風潮」に反抗心すら抱いていたはずなのに…元TBSアラフォーアナの苦悩と葛藤とは
OTONA SALONE / 2025年1月19日 10時0分
2010年にTBS入社以来、小林悠名義でアナウンサーとして活躍後、2016年に退社。昨年活動を再開したアンヌ遙香さんが、愛してやまない「映画」をフックに“今思うこと”をストレートに綴る連載です。
TBSアナウンサー時代から培われた、ほんのりマニアックな視点と語りをどうぞお楽しみに!
【アンヌ遙香、「映画と女」を語る #3】
なぜ人は若く見られたがるのか?
みなさま、ぶっちゃけ、実年齢より若めに見られたいですか?
わかりやすく言えば、それは見た目の問題ですが……
ある一定の年齢より上になってくると、自分の実年齢よりも下に見られた際なんとなく悪い気はしない、ですよね?どうですか?
逆に「いくつに見える?」なんて聞かれたら、印象よりも若めに言っておいた方が相手に失礼にならないかも、なんて暗黙の了解もあるわけで。
どうして、ある一定数の人々は若く見られること、もしくは若々しさをキープすることに価値を見出すのか?しかも「若さ問題」は大きなビジネスにもなるわけです。もちろんこの話は全員に当てはまる話ではないということは承知しております。こんな話題は不快だと言う方ごめんなさいね。
この問題に関して、ある人からは「それは社会が作り出した悪しき刷り込みだ」というご意見を頂戴し、なるほど納得だなと思った私。
しかし、その刷り込みの歴史を見てみれば、西太后は70歳になっても、黒々とした髪の毛をキープし、見た目の若々しさを保つために母乳を飲んでいた、なんて話を聞いたことがあります。ドラキュラのモデルと言われ、数々の若い女性の命を奪ったというエリザベスバートリなどもその一例と言えるでしょう。
とにかく見た目の若さをめぐる問題に関しては、長い歴史的背景があるのは事実。
若さ問題に対する「ある一つの答え」が導き出されたきっかけがこちら
さて、その私の疑問について、ある一つの答えを与えてくれたのが、長塚京三さん主演の映画『敵』でした。
オールモノクロ。美しい日本家屋で、自分の残された寿命やお金をカウントダウンしながら、一人静かな生活を送る元大学教授の話です。
映画館で予告編を拝見した際、映像美と長塚京三さんの佇まいにビビっと来るものがあり、「これは名作に違いない」と感じたのですが、まさか懸案の「若さ問題」について一つの答えを出してくれる映画だったとは。ちなみに2024年に行われた第37回東京国際映画祭でグランプリを含め3部門を受賞したことでも注目の作品です。
そもそも、なぜ私がこの「若さ問題」にぶち当たっているかというと、お恥ずかしいのですが、年末年始飲み会帰りにナンパをされて「かわいい」という言葉にちょっと悪い気がしないなと思ってしまったのと、親戚の子から実年齢よりもはるかに下の年齢を言われて、笑い飛ばしながらも心の奥底では嬉しくなっちゃった、なんていう出来事が最近あったから。
私はかつてアナウンサーという仕事をしていましたが、精神的には成熟していることが求められながらも、やはりルックス面ではある程度の若々しさが求められる現実がなきにしもあらず、ということもあったり。アナウンサーに限らず、 どの仕事もそうかもしれませんが……。
私はそんなところにちょっと反抗心すら抱いていて、女性アナウンサーこそ、さまざまなことを知り尽くした40代や50代こそが活躍すべきであり、「年齢なんてナンセンス!」「年齢なんてただの数字!」「若く見られなくて結構!!」なんていうのが私のモットーであったはずなのですが、まさか見た目の若さを想起させる言葉をかけられて、ちょっと喜んでしまう自分がいるなんて…。
不覚にも浮かれてしまったことが恥ずかしくもあり、つくづく「ああこれが人間の悲しき本能なのか」なんてしみじみと感じたわけです。
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