江戸の時代に女性たちの物欲を掻き立てた「錦絵」=現代のインスタ!? 騙され、夢を踏みにじられても諦めない重三郎は【NHK大河『べらぼう』#4】
OTONA SALONE / 2025年1月29日 17時16分
*TOP画像/重三郎(横浜流星)と主人たち 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」4話(1月26日放送)より(C)NHK
吉原で生まれ育ち、江戸のメディア王に成り上がった蔦重の人生を描いた、大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の第4話が1月26日に放送されました。40代50代働く女性の目線で毎話、作品の内容や時代背景を深掘り解説していきます。
他人の手柄の横取りも厭わない主人たち
本放送では、重三郎(横浜流星)が『一目千本』の次の手として、女郎と呉服屋がコラボレーションした錦絵の制作のため奔走する姿が描かれていました。
大文字屋の主人・市兵衛(伊藤淳史)や大黒屋の女将・りつ(安達祐実)らは吉原から人出が引く前に次のうまい餌として錦絵の制作を提案します。重三郎は錦絵にかかる制作費を懸念しますが、女郎屋の主人たちは「んにゃもんは 任しとけ」「大船に乗ったつもりでいにゃ」と、重三郎をうまいことまるめこみます。重三郎は彼らの腹黒さもあくどさも十分知っているはずなのに、この話にのることに…。どこまでも純粋で、楽観的で、人を信じてしまう男です。
重三郎は女郎の志津山(東野絢香)、常磐木(椛島光)から責められ、女郎屋の主人の企てに気づきました。彼らは自身で制作費を工面するのではなく、女郎に中抜き分も含めて入銀させようと考えていたのです。しかも、女郎から信頼が厚い重三郎の名前を利用して。
さらに、重三郎は鱗形屋の主人・孫兵衛(片岡愛之助)と西村屋の主人・与八(西村まさ彦)にも騙されることに。
ふたりは重三郎に錦絵の制作を丸投げし、その成果を最後にまるっと横取りしようと企んでいたのです。吉原をよくするためのアイデアは考えようともしない彼らですが、悪知恵は思い浮かぶようですね。しかも、その手口というのが、重三郎に版元になるよう勧めて彼を期待させ、手のひらを返すというむごいもの。
また、女郎屋の主人たちも錦絵は重三郎が手を引けば出版できると平然と述べていました。
彼らは自分の損得には神経質かつ敏感ですが、他人の心の痛みにはおどろくほど無頓着です。
最終的に、重三郎は錦絵の出版から手を引くことを決め、「吉原のため いいものに仕上げてくだせえ」と涙を流しながら頭を下げました。彼のこの真摯な姿に同情し、涙があふれた視聴者は多いはずです。
「耕書堂」の誕生 その名前に秘められた思いとは 次ページ
「耕書堂」の誕生 その名前に秘められた思いとは
本放送では、「耕書堂」という名が源内(安田顕)によって誕生しました。耕書堂とは重三郎がのちに開業する書店の名前です。重三郎に堂号の名づけを頼まれた源内は「おめえさんはさ これから 版元として 書をもって 世を耕しこの日の本をもっと もっと豊かな国にするんだよ」という言葉とともに、彼にこの堂号を贈りました。
江戸のメディア王となる重三郎。彼は源内の言葉のとおり書をもって世を耕し、豊かな国づくりに貢献していくと期待できますね。
重三郎は他人にうらぎられても人や社会を憎まず、人間のあくどさを痛感しても人間嫌いになりません。周囲が怠ける中で笑顔で働き、仕事を丸投げされてもそれをチャンスととらえる……自分の利益のためでなく、他人や自分が生まれ育った街のため……。人間は欲もあるし、自己愛も強い……重三郎のような生き方は誰もができるものではありません。この男の姿を見ると”世の中捨てたもんじゃねぇ。私もちょいとがんばろう”と思えます。
【史実解説】江戸時代における「錦絵」=今のInstagram!?
【史実解説】江戸時代における「錦絵」は今でいうInstagramやファッション雑誌のようなもの!?
江戸の女性にとってファッションリーダーといえば、遊女や歌舞伎役者でした。本放送では、源内が「おうよ。路考髷 路考結び あいつのやるこた 何だって流行ってよう路考茶色の着物もよ」と、重三郎に語るシーンがありましたね。
上記のセリフの「あいつ」とは菊之丞のことです。画像の女性たちは菊之丞の舞台での着こなしを真似しているよう。
この時代、着物や帯結びなどの最新の流行は錦絵によっても伝えられていました。当時の人にとって錦絵は現代でいうファッション雑誌やブロマイドに似た親しみを感じられるものでした。
現代女性たちはInstagramに投稿された写真や雑誌を見て“私もこの服が欲しい”と物欲をかきたてられたり、 “この髪型がかわいい。真似してみよう”という気になったりしますが、江戸の女たちは錦絵を見てこうした気持ちになっていました。
いつの時代も、女性たちの心の中は“きれいな着物/洋服を着たい” “好きなスターと同じ着物/洋服を着たい” “おしゃれな髪飾りをつけたい”と、たいたいたい尽くしといえるでしょうね。
本編ではNHK大河『べらぼう』第四回の内容について深堀りしました。
≪アメリカ文学研究/ライター 西田梨紗さんの他の記事をチェック!≫
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